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今月の野菜 野菜情報 2026年4月号

ブロッコリーのあれこれ~日本での需要も伸びるブロッコリー、指定野菜へ~

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調査情報部

主要産地

タイトル: p036
 
 ブロッコリーは、地中海東部を原産地とし、原種は古代イベリア人が薬草として用いていた「ヤセイカンラン」(キャベツなどさまざまな野菜の原種とされる)と呼ばれる野草で、古代ローマ帝国時代のイタリアを中心に食べられていたと言われており、17世紀頃に欧州各地に伝わったといわれている。19世紀にはイタリア系移民によって米国へ持ち込まれ、1920年代に米国でも商業栽培が本格化した。健康に良いとの研究報告などから、米国やヨーロッパでの需要も伸びている。
 日本へは、明治時代初期に渡来したものの、すぐには広まらず、1970年代以降、食の洋風化や緑黄色野菜ブームなどを背景に需要が増加してきた。本来の旬は冬で、端境期となる夏は、国内生産が難しく輸入品が出回っていたが、育種メーカーによる品種改良などもあり、国内の産地も増え、さらに予冷施設や冷蔵輸送が整うことなどにより、国産ブロッコリーの周年供給体制が確立した。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和6年の作付面積は、1万7300ヘクタール(前年比100.0%)と、前年並みであった。
 上位5道県では、
●北海道  3290ヘクタール(同 101.9%)
●香川県  1350ヘクタール(同 104.7%)
●埼玉県  1210ヘクタール(同 100.0%)
●長野県  1180ヘクタール(同 102.6%)
●長崎県 961ヘクタール(同 92.4%)
 となっている。
 
タイトル: p037a
 
 令和6年の出荷量は、14万6400トン(前年比93.6%)と、前年に比べてかなりの程度減少した。
 上位5道県では、
●北海道  2万8400トン(同 111.4%)
●埼玉県  1万2500トン(同 95.4%)
●香川県  1万2200トン(同 93.1%)
●長野県  1万1200トン(同 101.8%)
●愛知県  1万  200トン(同 76.7%)
 となっている。
 
タイトル: p037b
 
 出荷量上位5道県について、10アール当たりの単収を見ると、埼玉県・愛知県の1.20トンが最も多く、次いで長野県の0.99トン、香川県の0.97トンと続いている。その他の府県で多いのは、大阪府の1.43トン、徳島県の1.11トンであり、全国平均は0.93トンとなっている。
 
タイトル: p037c
 
 ブロッコリーの作付面積および出荷量について、平成元(1989)年から令和6(2024)年までの長期推移を見てみると、平成元年の作付面積は8150ヘクタールであったが、令和6年は1万7300ヘクタールと、35年前の2倍以上に増加した。また、出荷量も平成元年は7万7000トンであったが、令和6年は14万6400トンと1.9倍となっている。なお、令和6年は高温などの影響により出荷量が前年と比べ減少した。
 
タイトル: p038a

作付けされている主な品種等

 品種の分化は多くないが、現在の主流となっているのは「(ちょう)()蕾型(らいがた)」で、これは主枝に大きな花蕾を一つだけつけるタイプである。その他、わき芽が次々に生育し、各頂部に小さな花蕾をつけるスティック状の「(そく)()蕾型(らいがた)」は茎ブロッコリーとして人気を集めている。そのほかにブロッコリーの種子を発芽させ、その機能性成分からスプラウト(発芽野菜)人気の火付け役となった「ブロッコリースプラウト」や、アントシアニンにより花蕾が紫色になる「紫ブロッコリー」などがある。
 ブロッコリーは冷涼な気候を好むが、各種苗メーカーが幅広い時期に多様な地域で栽培できるよう品種改良を進め、耐暑性・耐病性を備えたものや、加工・業務用向けに向く花蕾の大きな品種などが開発されている。
 
タイトル: p038b
 
タイトル: p039a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和6年)を見ると、11月~翌5月までは香川産、熊本産、長崎産といった西南暖地に加えて、愛知産や埼玉産が入荷している。6~10月までは産地が北に移り、北海道産、長野産、福島産、青森産からの入荷に加えて、輸入の中国産などの入荷があった。
 
タイトル: p039b
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和6年)を見ると、11月~翌6月までは徳島産の入荷が多く、他に鳥取産、香川産、長崎産など九州や中四国からの入荷があり、また、近隣の兵庫産なども入荷している。6~10月は産地が移行して長野産、北海道産など冷涼な地域からの入荷が増える。徳島産は秋から6月頃までの入荷が多いものの、年間を通して出荷があることが分かる。
 
タイトル: p040a

東京都中央卸売市場における価格の推移

 令和7年の東京都中央卸売市場における国内産ブロッコリーの卸売価格は、1キログラム当たり350~665円の間で推移し、価格の上下が大きかった。直近3年間の動きを見ると、9月に高くなる傾向がある。外国産については、7年は512~545円で推移し、6年と同程度の値動きで年間を通して安定して推移している。
 時期によっては、国内産の方が安くなる場合もあることが分かる。


輸入量の動向

 生鮮ブロッコリーの輸入量は、大きく減少する傾向にあり、平成30年から令和3年までは、米国産が大きな割合を占めていたが、近年は米国産は大きく減少し、中国産の割合が高まっている。
 一方、冷凍ブロッコリーの輸入量は、平成30年から見ると年々増加している。冷凍ものの輸入先としては、中国産とエクアドル産で9割以上を占めている。
 
タイトル: p041
 
 生鮮と冷凍を合わせたブロッコリーの輸入量について見ると、平成12(2000)年から令和7(2025)年の25年間の長期の推移は、平成12年頃は、生鮮ものについては約8万トンで推移していたが年々減少し、令和元年には1万トンを下回り、その後も減少して、令和7年は2000トンを下回った。一方、冷凍ものは、平成12年には1万5000トン程度であったが、年々増加して、平成26年に生鮮ものを上回り、この年以降、冷凍ものと生鮮ものが逆転し、令和7年の冷凍ものは9万5000トンを超えた。
 
タイトル: p042a
 
 次に、国内産ブロッコリーの卸売価格(東京都中央卸売市場)と輸入数量の多い中国産・エクアドル産の冷凍ブロッコリーの輸入価格およびその価格差について、直近(注1)と20年前(注2)を比較してみる。為替相場・その他の関係もあり、一概に言い切れないところはあるが、20年前は、国産品と海外産との価格差は、国産品が中国産の2.6倍、エクアドル産の1.5倍であったが、徐々にその価格差は縮まり、直近では、国産品は中国産の1.9倍、エクアドル産の1.3倍となっている。
(注1)直近は令和5~7(2023~2025)年を指す。
(注2)20年前は平成15~17(2003~2005)年を指す。
 
タイトル: p042b
 
 冷凍を含めた加工・業務用向けのブロッコリーを取り巻く状況を、以下に紹介する。
 
 現在、農林水産省において、加工・業務用野菜の国産シェア奪還プロジェクトが進められており、ブロッコリーについては、国産品と輸入品の価格差が大きくないため、花蕾を小房状にカットするフローレットカット加工に対応する体制を整え、加工業者が必要とする用途で提供することなどにより、輸入品を国産へ置き換えることができる可能性1)が示唆されている。
 実需側では、マーケットインの観点で市場が求める形態を把握し、加工の段階において、ニーズに応じたカットや冷凍などの加工に対応することの必要性など2)が示唆されており、生産側では、増収と省力化が同時に実現し得る「大型花蕾生産技術」は、加工・業務用ブロッコリーの国産化において非常に有効な手段となり得るとの調査報告もある3)。消費者への訴求の観点では、冷凍時のブランチング(事前の加熱)処理の方法により、製造過程で生じやすい栄養・機能性成分(主にビタミンC含有量で比較)の低減を改善するために、ブランチング方法や急速冷凍方法などの適切な組み合わせを行い、食味に加えて、栄養・機能性の観点で消費者や実需者へアピールし、価値訴求を行っていくことの必要性なども報告されている4)
 本誌では、過去において、以下の記事を掲載しているので、詳しくは過去の記事をご参照ください。

(参考)
1)野菜情報 2025年7月号「加工・業務用野菜の国産シェア奪還に向けた品目別課題調査について」
  https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/2507_chosa2.html
2)野菜情報 2025年7月号「マーケットインの観点から見る加工・業務用野菜の生産振興と商品開発」
  https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/2507_chosa1.html
3)野菜情報 2021年2月号「加工業務用ブロッコリーに有望な大型花蕾生産について」
  https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/2102_chosa01.html
4)野菜情報 2025年4月号「加工・業務用野菜の生産・供給拡大に向けた取り組みの方向」
  https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/wadai/2504_wadai1.html

消費動向など

 近年の東京都区部における小売価格は、1キログラム当たり約600~770円台で推移している。
 1人当たり年間購入数量は、平成30(2018)年の1366グラムから令和7(2025)年には1605グラムと239グラム増加し、直近8年間も同水準で推移している。次に、平成2(1990)年から令和7(2025)年までの35年間について見てみると、平成2年は535グラムであったが、令和元年には1500グラムを超え、7年は1605グラムと平成2年の約3倍に伸びている。
 
タイトル: p044
 
 さらに、単身世帯の支出金額の統計が公表されるようになった平成13(2001)年以降の1人当たりの支出金額について、2人以上世帯と単身世帯を比較して見てみると、平成24(2012)年頃までは、両世帯ともあまり違いは見られないが、25年以降は単身世帯の方が上回って推移しており、令和7年は、2人以上世帯は990円であったのに対し、単身世帯は1239円と2人以上世帯を25%上回っている。


 ブロッコリーは「栄養素の宝庫」と呼ばれるほど、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素を含む緑黄色野菜であり、また、たんぱく質を比較的多く含んでいることが知られている。電子レンジなどを用いて手軽に調理できることなどから、単身世帯も好んで購入する野菜であることがうかがえる。
 ブロッコリーを使ったレシピを以下に紹介する。
 
 
 
 そのほか、2023年以降に、「野菜情報」に掲載したブロッコリー関連の記事を、以下にご紹介しますので、ぜひご活用ください。
 
【参考 2023年以降に野菜情報に掲載されたブロッコリー関連記事】
〇野菜情報 2026年1月号【話題】
産地形成への道のりがこの1玉に詰まっている~JA鳥取西部「大山ブロッコリー®」~
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/wadai/2601_wadai1.html
 
〇野菜情報 2026年1月号【調査・報告】
統計データを用いたブロッコリーの需給動向の「見える化」
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/2601_chosa1.html
 
〇野菜情報 2025年10月号【話題】
ブロッコリーの指定野菜への追加について
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/wadai/2510_wadai1.html
 
〇野菜情報 2024年11月号【産地紹介】
熊本県 JAやつしろ
選ばれる産地を目指して!JAやつしろの氷冷箱詰めの新鮮ブロッコリー
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/santi/2411_santi1.html
 
〇野菜情報 2024年11月号【海外情報】
エクアドルのブロッコリー生産の現状と輸出拡大への取り組み
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/2411_kaigaijoho1.html
 
〇野菜情報 2024年5月号【機構から】
野菜ブック~野菜の魅力を品目ごとに紹介(ブロッコリー)
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kikoukara/2405_kikoukara1.html
 

〇野菜情報 2023年8月号【調査・報告】
ブロッコリーの産地づくりと出荷予測システムの導入 -JA香川県の新たな取り組み-
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/2308_chosa1.html
 
〇野菜情報 2023年3月号【海外情報】
中国産野菜の生産と消費および輸出の動向(第11回:ブロッコリー)
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/2303_kaigaijoho1.html