わが国のブロッコリーの主要輸入先は、中国、エクアドル、米国である。近年、輸入量が増加している冷凍品は、中国およびエクアドルが、過去には輸入量が多かったものの近年は減少した生鮮品は中国、米国が主要輸入先となっている。それぞれに違った生産地としての特徴を有している。国別の概況を以下の通りまとめる。
(1)中国
中国でのブロッコリー栽培は、1980年代にいくつかの省で導入されて以降、日本や韓国などへの輸出向けを中心に生産が拡大した。中国のブロッコリー栽培は、南北の地域にまたがる産地リレーによって周年供給体制が構築されている。
中国産の野菜は、中国農業農村部国家質量監督検査検疫総局(以下「質検総局」という)が2002年に施行した「輸出入野菜検査検疫管理弁法」に基づき、輸出登録生産基地以外からは輸出することはできない。質検総局から輸出登録生産基地の承認を受けるには、輸出企業は直営農場だけではなく、生産委託する農家の
圃場管理を徹底し、残留農薬などの検査を行う体制を整備する必要がある。中国の冷凍野菜生産工場は、工場から距離があっても、広域の野菜産地から多種多様な野菜を集め、年間を通じて操業期間を確保する工夫を行っていることが多い。
中国からの主要輸出先は、生鮮品はベトナム、マレーシア、タイなどであり、冷凍品は日本や韓国向けが多いとされている。
(参考)中国のブロッコリー生産などに関しては、以下の記事も参照ください。
○野菜情報 2019年3月号「中国における輸出向け野菜の生産・加工・輸出状況」
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/1903_kaigaijoho02.html
○野菜情報 2019年5月号「主要国の野菜の生産動向等」
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/1905_kaigaijoho01.html
○野菜情報 2023年3月号「中国産野菜の生産と消費および輸出の動向(第11回:ブロッコリー)」https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/2303_kaigaijoho1.html
(2)エクアドル
エクアドルの主な産地は、内陸部のアンデス山脈に位置するコトパクシ県であり、同県が生産量全体の7~9割程度を占める。同県は標高が2500メートル以上と高いにもかかわらず、赤道付近に位置していることから、日照時間が長く温暖な気候であり、周年で露地栽培が可能である。かんがい施設も整っており、年間で3回作付けることができる。標高が高いことにより、害虫の発生が少ない一方、低温や降霜の被害を受けることがある。
同県には大手の加工企業が拠点を構えていることに加え、輸出港であるグアヤキル港までの輸送インフラが整備されていることから、50ヘクタール以上の栽培規模を持つ大規模生産者が多く集まっている。
エクアドルで生産されるブロッコリーの9割以上は、北米、欧州、日本などへ輸出されており、輸出先から求められる規格での生産や認証取得が必要なことから、輸出に重点を置いた生産体制が整備されている。このため、加工企業による垂直統合(インテグレーション)が進展しており、日系企業が現地加工企業を子会社化している事例もある。
冷凍ブロッコリーの形態としては、米国向けは茎が長く細長いフローレット(小花蕾)である一方、欧州や日本向けは茎を短くカットする小ぶりなフローレットが多い。米国向けは、同国内の需要が高まる年末年始(11月から翌1月まで)にかけて輸出量が増える傾向にある。
冷凍ブロッコリーは通常、1箱に8~10キログラム程度詰めて輸出される。カットから冷凍までの所要時間は最大48時間となっている。個別急速冷凍(Individual Quick Frozen、以下「IQF」という)により、2年間保存が可能とされ、リーファー(冷蔵・冷凍)コンテナで輸送される。コトパクシ県からグアヤキル港までトラックによる所要時間は12時間ほどであり、日本向けの貨物は同港から約30日で日本に到着する。
なお、エクアドルでは米ドルが法定通貨となっており、米ドルの為替変動が直接、同国からのブロッコリー輸出に影響する構造となっている。
(参考)エクアドルのブロッコリー事情に関しては、以下の記事も参照ください。
○野菜情報 2024年11月号「エクアドルのブロッコリー生産の現状と輸出拡大への取り組み」
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/2411_kaigaijoho1.html
(3)米国
米国の主産地はカリフォルニア州であり、同州は生産額ベースで約9割のシェアを有している。同州の生産地はモントレー郡であり、州全体の生産額の6割以上を占めている。同郡が位置するセントラルバレーでは、1年を通してブロッコリー栽培が行われている。
同州のブロッコリーは
直播かつ密植されることが多いこと、また、スプリンクラーや点滴かんがい施設の導入も進んでいることから、平均単収は2024年で1エーカー当たり1万4000ポンド(10アール当たり1570キログラム)と、日本の930キログラムに比べて多い。一方、近年ではかんがい水不足や夏の高温の影響から、生産量は横ばい傾向である。
米国で生産されるブロッコリーのほとんどが生鮮品として販売され、2024年の冷凍仕向け量は全体の3%強と少ない。このため、同国で消費される冷凍品の大半は、メキシコなどからの輸入によって賄われている。このように日本から見て低コストで生産が可能な米国であっても、国内向け生鮮ブロッコリーは主として自国産により供給されている一方、冷凍野菜は輸入に依存する構造となっている。
同国からの輸出は生鮮ブロッコリーとしてであり、カナダやメキシコ向けが全体の8割以上を占める。