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調査・報告(野菜情報 2018年4月号)


少量多品目の生産を生かした地域野菜のブランド化 ~箱根西麓三島野菜を事例に~

日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 准教授 木村 彰利

【要約】

 農地の集約化や生産の大規模化などに課題を抱えながらも、高品質野菜としてのブランドが確立されている「箱根西麓三島野菜」について、これまでの経緯や現状などの検討を行った。
 生産者の自発的な取り組みとしてブランド化が志向され、実施に当たってはJAや行政などの協力を得ながら展開されていた。同時に、箱根西麓三島野菜に加えて地理的表示(GI)を取得した三島馬鈴薯やそれを使ったみしまコロッケと併せた普及啓発を行うことによって、認知度向上の相乗効果が見られていた。

1 はじめに

野菜産地が有利な販売を実現していく上において、ブランド化は方向性の一つとなっており、実際に産地ではさまざまな取り組みが見られている。そして、その多くは特定の品目や品種をブランド化の対象とするケースが多く、多品目にわたる野菜が同一の名称においてブランド化されることは少数派であるといえよう。

ところが実際には、生産者のじょうが小規模に区分けされているだけでなく、傾斜地に分散して存在するなどの理由から、農地の集約化や生産の大規模化に課題のある野菜産地も多い。そして、このような小規模経営が前提となる産地では、出荷ロットの関係から遠隔地の拠点市場に出荷するのではなく、比較的小規模な近隣市場を中心とする出荷対応が行われるケースが一般的である。同時に、品目的にも特定の品目に生産を特化させるのではなく、多品目にわたって生産・出荷が行われるという特徴がある。

しかし、このような多品目の野菜生産が行われる産地においても、より有利な販売を実現していくための方策としてブランド化戦略の重要性は高く、その実現に向けた事例の検討は重要であると考えられる。

このため本稿においては、生産条件において課題を抱えながらも、高品質の野菜生産が盛んに行われているだけでなく、普及啓発活動の展開を通じてブランドが確立されつつある「箱根西麓三島野菜(以下「三島野菜」という)」を取り上げて、ブランド化を進めている箱根西麓三島野菜ブランド推進協議会(以下「協議会」という)、生産面において、重要な役割を果たしている三島かんなみ農業協同組合(以下「JA三島函南」という)などについて報告し、これまでのブランド化の経緯や今後の課題について検討することとしたい。

2 三島市農業およびJA三島函南の概要

(1) 三島市農業の概要

三島市は静岡県の東部、伊豆半島の付け根に位置する人口11万977人(注1)の都市である。同市の西側は比較的へいたんであり、さらにその西は沼津市や清水町を経て駿河湾へと続いている。一方、市の東側は標高1438メートルの箱根山西麓に展開される傾斜地となっている。気候的には年間平均気温が16.2度、年間降水量は1800ミリ(注2)というように比較的温暖な地域である。

三島市の農業については、以下の通りとなる。表1に示したように、同市の耕地面積839haのうち、田が32.5%であるのに対して畑は67.5%を占めているように、概して畑割合の高い地域である。同市の農地についても市の西側を中心とする平坦地域と箱根山の西麓の傾斜地とに大別され、前者には田も含まれているが、後者はほぼ畑によって占められている。経営耕地面積についても同様の傾向にあり、畑が57.5%と高い割合を占めている。また、農業経営体については544のうち97.4%までが家族経営体となっているように、法人化は概して進んでいない。

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表2に示すように、販売実績のある500の経営体のうち単一経営経営体(注3)は353、割合では70.6%を占めている。これをさらに首位部門でみれば、稲作は35.1%、果菜類を中心とする施設野菜は 13.6%となっているが、これらの生産は主として市内の平坦地で行われている。一方、露地野菜は35.4%となっているが、本稿で検討する三島野菜は傾斜地などで生産される露地野菜に含まれている。このように、同市の野菜生産は平坦地の施設栽培と傾斜地で行われる露地栽培に大別されるという特徴がある。

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農業経営体の販売方法についてまとめたものが表3である。なお、つの経営体が複数の販売方法を採るケースがあることから、各販売方法の合計は100.0%を超えている。また、販売先の割合は販売実績の有無を示すものであり、販売額の割合ではない。同表によれば、経営体全体の49.4%が農協(注4)に出荷しており、次いで卸売市場が44.0%となっている。また、消費者に直接販売するケース(31.8%)や地元スーパーや農産物直売場などの小売業者(10.4%)も比較的高い割合となっているように、同市では多様な方法によって出荷が行われている。

注1:平成29年12月現在。三島市役所ホームページによる。

注2:JA三島函南へのヒアリングによる。

注3:「単一経営経営体」とは首位部門が80%以上を占める経営体をいう。

注4:農協には総合農協だけでなく専門農協が含まれている可能性がある。

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(2) JA三島函南の概要

続いて、箱根西麓地域を管内に持ち、三島野菜の生産・出荷において重要な役割を果たすJA三島函南の概要は表4の通りである。同JAは平成5年に旧JA三島および旧JA函南の合併により設立されており、このためその管轄区域も三島市と函南町の2市町となっている。平成27年度末時点の正組合員数は3786名、准組合員数では1万2933名である。

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同JAの農産物販売額の推移について取りまとめたものが図1である。同図にあるように、平成24年度において20億304万円であったものが、28年度には22億5454万円となっているように、販売額は微増傾向で推移している。また、28年度の内訳について確認すれば、三島野菜(注5)が7億9689万円、トマトなどの施設野菜を含むその他野菜が8億5883万円、菌茸類が1億1468万円となっている。また、農産物直売所(注6)などは3億3812万円である。

注5:後述するように箱根西麓三島野菜はJA共販だけでなく、卸売市場への個人出荷や農産物直売所、スーパーのインショップなどにも出荷されていることから、実際の販売額はさらに多い。

注6:農産物直売所の販売品目は、同地域の農業生産を踏まえるならば、野菜の割合が高いと考えられる。

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3 三島野菜の現状

(1) 要件と生産環境

最初に三島野菜の要件について確認すると、「三島市内の標高50メートル以上の畑で生産された野菜」と定められている。そして、同要件を満たした野菜が全て該当するのではなく、三島野菜の生産者として認定を受けることが前提となっている。この場合、生産部会または個人が認定の対象であり、手続き的には申請者からの申請をJA三島函南が受理し、JAと三島市が審査したものを最終的に協議会が承認することによって行われている。また、販売方法に関する規定はないことから、三島野菜はJA共販だけでなく、卸売市場への個人出荷や農産物直売所などを通じた販売も行われている。

 三島野菜は標高50メートル以上が要件となっていることから、その生産地域は三島市内でも比較的標高の高い、具体的には箱根山の山麓に展開される圃場に限定されている。そして、同地域は山の西側斜面にあたることから、日照時間が比較的長くなるという特徴があり、土質的にも火山灰性の表層腐植質黒ボク土であることから、高品質の野菜生産に適した環境にある。加えて、同地域の耕土は深く、根菜類の生産に適するという特徴も存在している。

その一方で、同地域の圃場は小規模に分散化されているだけでなく、傾斜地に展開されていることから農地の集積化や大型機械の導入などは難しく、労働生産性という意味では条件的に不利な地域となっている。

(2) 主要品目と特徴

 三島市の箱根西麓地域においては少量多品目の野菜生産が展開されており、特定の品目に特化した経営はレタスなど一部の品目に限定されている。ここで、JA三島函南が取り扱った三島野菜の品目構成について見ると図2の通りとなる。

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最も割合の高い品目はレタス(注7)であり、全体の35%を占めている。それ以外では、金額割合の高いものから、ばれいしょ、はくさい、ブロッコリー、さといも、セルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)、キャベツなどと続いている。このように同地域では多くの品目が生産されているが、レタスを除けば生産品目は特定のものに特化するのではなく、多くの品目を組み合わせた生産が行われるという特徴がある。なお、つまもの類も14.1%と高い割合となっているが、これについては「春の七草」のパック品が中心である。

このように多くの品目が含まれる三島野菜であるが、このうち代表的な品目の特徴について確認すると表5の通りとなる。

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前述のように、三島野菜の認定は生産部会もしくは個人に対して行われているが、このうち対象となる部会名と会員数、および会員の年齢構成について取りまとめたものが表である。平成29年3月段階の部会数は17であり、部会員数の合計は217名となっている。部会員の年齢は50歳代からと60歳代が多く、高齢化が進行しつつある。このうち、20歳から39歳までの後継者を確保している部会員は35名であり、確保率も16.1%にとどまっている。生産者の平均作付面積は1人当たり394アールであり、専作化の傾向が強く年間複数回の耕作が可能となるレタス以外は小規模な生産が行われている。

注7:レタスは平成20年ごろからJA主導によって生産が奨励されたことから、現在でも高い共販率が維持されている。

(3) 三島野菜の販売状況

三島市内の農業経営体の販売方法については表3ですでに確認しているが、JAなどへのヒアリングによれば三島野菜の販売方法に関しても同様の傾向にあり、JA共販、市場への個人出荷、農産物直売所などへの販売に大別されている。

このうちJA共販の年次推移についてまとめたものが図3である。最も金額割合が高いレタスは比較的年次変動が少なく、安定した生産・販売が行われている。三島野菜全体の販売額については、後述するブランド化の効果もあって経年的に拡大し、平成24年度の5億9807万円から28年度には7億9689万円というように、この間33.2%の増大となっている。

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JA共販の出荷先市場は品目ごとに異なっているが、総じて近隣の卸売市場に出荷されていることから、県内市場だけで全体の8割程度を占めている。このことから、三島野菜は地産地消的な性格が強いブランドということができる。しかし、ばれいしょについては県外市場が中心であり、東京や大阪など大消費地への出荷割合も高い。

一方、個人出荷についての詳細は不明であるが、後述する生産者細井氏へのヒアリングによれば、地方卸売市場三島青果市場(注8)への出荷割合が高いとのことである。

注8:地方卸売市場三島青果市場はかつて三島市の市街地内にあったが、三島野菜の集荷を容易にするため、平成24年に箱根西麓に移転している。

(4) 生産者細井氏の経営概況

本節においては、後述する協議会の会長であるだけでなく、三島野菜のブランド化に当たっては後述する最初のだいこん祭りのごろから中心的な役割を果たしてきた細井要(注9)の農業経営について紹介したい。

細井氏の自宅は三島市三ツ谷新田にあり、箱根山西麓の傾斜地にある合計110アールの圃場において三島野菜を生産している(写真1、2)。圃場のうち30アールについては平成19年に有機JAS農地の認定を取得しており、そこでは有機栽培による野菜生産が行われている。なお、細井氏は現在70歳代と比較的高齢であることから、野菜生産は主として同氏が担う一方で、販売に関しては細井氏の配偶者が農産物直売所に持ち込むなど、夫婦間で役割が分担されている(写真3)。

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細井氏が生産する野菜は多品目であり、総数で数十品目を組み合わせながら年間を通じた生産・販売を行っている。代表的な生産品目としては、にんじん、だいこん、キャベツ、はくさい、ねぎ、ピーマン、さといもなどが挙げられる(写真4)。また、販売先は主として農産物直売所となっているが、これ以外にスーパーのインショップやホームセンターでも販売しており、多様な販路を用いている。

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以上見てきたように産地の特徴である少量多品目を強みとし、年間を通じて多様な多品目の野菜を生産し、出荷するという三島野菜に特徴的な農業経営を行っている。

注9:細井氏は、それ以外にも三島市農業委員や三島市有機農業推進協議会会長、MOA自然農法三島普及会会長などの職にあるだけでなく、かつては三島市議会議員を務めるなど同市の農業発展に寄与している。

4 ブランド確立に向けた取り組みの経緯

(1) 箱根西麓における野菜生産の経緯

現在では三島市の地域ブランドとして定着している三島野菜であるが、本章ではそれがどのような経緯によって確立されてきたかを確認したい。

ちなみに、昭和40年代までの箱根西麓地域は、だいこんや長にんじん、ごぼうなど根菜類の生産が中心であり、特に漬物の原料となる干しだいこんが特産品となっていた。しかし、昭和50年代以降は上記産品に加えてキャベツやレタス、ブロッコリーなどが新たに生産されるようになり、多品目の野菜生産が展開される地域へと変化している。

(2) ブランド化の経緯と三島野菜の成立

三島野菜のブランド化の経緯についてまとめたものが表である。前述の細井氏によれば、ブランド化は平成11年ごろ、ある会合の場で他地域に居住する知人や親類に野菜を送っていた生産者が、「箱根西麓で生産された野菜は旨いと評判」である旨を報告したことが契機となっている。

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また、ブランド化は当初、生産者の自発的な取り組みとして試行されたという特徴がある。取り組みの手始めとしては、13年12月に三島市役所や三島市観光協会の協力を得ながら「だいこん祭り」が開催されている。同イベントでは地域内の公民館を借りて消費者に干しだいこんの直売を行ったが、1日で約1000万円を売り上げるなど大変盛況であった。このため、その後もJAの協力を得ながら10年間にわたって継続されていた。また、14年には同様に「馬鈴薯祭り」が開催されている。

このような取り組みを踏まえて、20年ごろからばれいしょ、かんしょ、にんじん、レタスなどを対象に「箱根西麓野菜」の名称によるブランド化の検討が開始されたが、地域名を含まない名称では生産地が特定できないことから、最終的に現在の名称である「箱根西麓三島野菜」と定めた。

そして、24年には協議会が設立され、ブランド化に向けた取り組みの推進拠点として機能することになった。

(3) ブランド化の推進体制と取組内容

現在、ブランド化に向けた取り組みは協議会を中心に展開されている。なお、同協議会の事務局はJA三島函南が担当し、構成員は同JAに加えて三島市、三島市観光協会、静岡県東部農林事務所というように農業以外の団体も含まれていることから、全市的な推進体制が構築されている。

協議会においては、三島野菜のブランド化に向けた推進手法などの検討が行われるだけでなく、ロゴマークの策定、普及パンフレットやのぼりの作成・配布(注10)、各種イベントへの出展などの取り組みが行われている(写真5~7)。また、平成28年には生産者の意識向上を目的として「箱根西麓三島野菜農業基準」を作成し、翌29年から生産現場での運用が開始されている。

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また、協議会によって作成されたのぼりは三島市内の飲食店や食品小売店だけでなく、JAの出荷先である東京都内などの卸売市場内にも立てられることによって、広く三島野菜のPRが行われている。

注10:三島野菜の普及啓発に当たっては、三島市などの補助金が用いられている。

(4) 三島馬鈴薯とみしまコロッケについて

三島野菜の1つに三島馬鈴薯があるが、同品目は平成28年に地理的表示(GI)保護制度(注11)に登録されている。また、29年には三島馬鈴薯を用いて作られるみしまコロッケが地域団体商標(注12)として登録されており、三島野菜を普及させる一因となっている。ちなみに、みしまコロッケは平成20年に、市や関係団体による町おこしの一環として作られたものであり、現在では市内の認定店において販売されている。

その後、みしまコロッケはテレビ番組の影響もあって全国的に知名度が向上し、市への観光客誘致に一役買うとともに、市民に対しても三島馬鈴薯や三島野菜に対する認知度の向上をもたらしている。そして、みしまコロッケが有名になることによって、コロッケの原料となる三島馬鈴薯の単価も引き上げられたことから、生産者の所得向上にも結び付いている。

注11:特定の産地と品質等の面で結び付きのある農林水産物・食品等の産品の名称(地理的表示)を知的財産として保護し、もって、生産業者の利益の増進と需要者の信頼の保護を図ることを目的とし、平成27年から施行され、平成30年2月7日現在59件が登録されている。

注12:平成18年度から施行され、地域ブランドの育成のため、地域名と商品名からなる商標を登録する制度で、平成30年1月31日現在621件が登録されている。

5 三島野菜の課題

これまで三島野菜の現状や歴史的な展開について見てきたが、本章ではJA三島函南が指摘する課題について確認したい。

第一に、労働力の確保が挙げられている。三島野菜が将来的にブランドを維持していくためには生産量の拡大が求められるが、生産者の高齢化が進む現状では雇用を通じていかに労働力を確保していくかが課題となっている。そのための対策として、①JA職員の援農ボランティアの充実、②JAを求人窓口とする雇用労働力の無料紹介、③農作業機の共同利用の促進などが挙げられている。なお、援農ボランティアとはJA職員による農家への作業補助を意味しており、調査時現在、年間延べ人数で約130名が参加しているとのことである。

第二に、三島野菜の生産者は全て個人であり、このため圃場集積が停滞していることに加えて、条件の悪い耕地が放棄されつつある点が課題として指摘されている。このため生産量を今後も維持していくには、中心的な担い手となる生産者に優良農地を集積していくことが求められている。

第三に、生産者のリタイアへの対策として、農業への新規参入促進や生産部会の支援強化を図るとともに、将来的にはJA出資による生産法人の設立についても検討していきたいとのことであった。

6 おわりに

本稿においては、傾斜地に展開される小規模分散圃場という生産条件に加えて、少量多品目の野菜生産が行われている三島市の箱根西麓地域を対象地域として、三島野菜のブランド化に向けた取り組みについて検討を行った。

その結果、かつては根菜類を中心とする産地であった同地域が多品目生産へと切り替わるなかで、食味の良さに着目した生産者がブランド化を志向し、生産者の主体的な取り組みとして展開されてきたことが明らかとなった。そして、取り組みが継続していくなかにおいて、JAだけでなく行政などを加えた全市的な推進体制のもとで普及啓発活動が展開されていた。同時に、三島野菜のブランド化を図る一方で、三島馬鈴薯のGI取得やそれを原料とするみしまコロッケの地域団体商標登録などが行われることによって、認知度向上への相乗効果が見られたことが確認できた。

このような取り組みの結果、三島野菜の販売額が着実に拡大していく一方において、生産者の高齢化に伴う労力不足や農地集積の遅れという課題も残されており、将来的な生産量の維持拡大に向けた対策の検討がなされているところである。

最後に、本稿の作成にかかるヒアリング調査の実施と資料収集に当たっては、JA三島函南、三島市役所および生産者の細井要氏にご協力いただきました。関係したすべての方々に感謝申し上げます。



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