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調査・報告(野菜情報 2018年2月号)


野菜の簡便化商品に関する販売実態と展開方向

東京農業大学 国際食料情報学部 食料環境経済学科 教授 大浦 裕二
東京農業大学大学院 博士前期課程 玉木 志穂

【要約】

 わが国では、カット野菜や冷凍野菜など簡便化した商品を利用する食生活が普及しつつある。一方で、若者を中心に野菜の摂取量が不足しているという問題も抱えている。
 本稿では、消費者側の簡便化商品の利用状況を把握した上で、簡便化商品を販売する企業側から、野菜を使用した簡便化商品の販売実態を明らかにした。
 野菜の簡便化食品を販売する企業は、利用者像を的確に捉え、簡便化志向に加えて他のメリットを付加することが必要となる。

1 食の簡便化の進行

わが国では、食の簡便化が進行してきている。特に中食の伸展が顕著であり、『2017年版惣菜白書』によると、2005年の惣菜市場規模が7兆5804億円であるのに対し、2016年の惣菜市場規模は9兆8399億円に達している(図1)。

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単身世帯の増加や女性の社会進出が中食の進展の背景にあると言われているが、購入した惣菜などの中食商品をすぐに食べる「中食」だけでなく、一部の調理過程を外部化することができるカット野菜や冷凍野菜などの簡便化商品の伸長も著しい。

消費者は、従来の家庭内で生鮮食品を素材から調理する方法に加えて、最近では中食商品や簡便化商品を利用して食卓を充実させているのが実情である。一方で、栄養バランスの面においては、若者を中心に野菜の摂取量が不足していることが指摘されていることから、野菜の簡便化商品には野菜摂取量を増加させるという役割も期待される。

そこで、本稿では、はじめに野菜の簡便化商品の利用者像を把握するために、簡便化商品の利用が進んでいると考えられる都市部(東京都と大阪府)の消費者を対象にしたWebアンケート調査の結果を用いて、それぞれの簡便化商品の利用と消費者属性の関係を確認する。次に、簡便化商品を販売する側のパルシステム生活協同組合(以下「パルシステム」という)および株式会社ライフコーポレーション(以下「ライフコーポレーション」という)を事例として、野菜を利用した簡便化商品の販売実態を明らかにし、今後の野菜の簡便化商品の展開方向について考察する。

2 野菜の簡便化商品の種類および特性とそれらの利用状況

(1) 調査概要

ここでは都市部における消費者属性別の簡便化商品の利用状況の把握を行う。

本稿で用いるデータは、2016年月にインターネット調査会社を通して、東京都と大阪府に在住の20~60歳代の男女1260人(有効回答915人)を対象に実施したWebアンケート調査結果(注1)である。

対象とした野菜の簡便化商品は、表1のように簡便化商品1(中食商品)から簡便化商品5(カットしていない野菜のセット商品)の5つのタイプに分けた。事業者および消費者のどちらが担うかを食行動過程からみた食事形態別(外食、中食、内食)の特徴を整理したものである。参考として、外食と内食の食行動過程を入れた。

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この中で簡便化商品1(中食商品)、簡便化商品2(冷凍の惣菜等)、簡便化商品3(一次加工済み野菜)、簡便化商品5(カットしていない野菜のセット商品)に野菜の簡便化商品が含まれている。レシピ考案から調理までをすべて事業者が担う簡便化商品1(中食商品)に対して、簡便化商品2(冷凍の惣菜等)は一次加工を事業者が担い、簡便化商品5(カットしていない野菜のセット商品)では、購買行動における商品選択を事業者がっていることになる。簡便化商品と一口に言っても、どの部分を事業者が担当するか、すなわち外部化するかによって、商品の特徴が異なっている様子がうかがえる。

これらの簡便化商品別の利用頻度を「週に1回以上」を52回、「2週間に1回程度」を26回、「月に1回程度」を12回、「年に数回程度」を4回、「それ以下」を2回、「利用していない」を0回に年間利用回数に変換した上で、消費者属性別(性別、年代、世帯員数、1週間当たりの勤務時間数の4項目)の年間平均利用回数(以下「利用回数」という)を示した(表2)。

注1:参考文献(1)

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(2) 簡便化商品の全体の利用状況

各簡便化商品の合計の利用回数を見ると、スーパーの惣菜(16.7回)、コンビニの惣菜(12.7回)、サラダ用カット野菜(10.3回)など簡便化商品1(中食商品)の利用回数が多くなっている。一方、冷凍の惣菜(11.7回)や冷凍の麺・ご飯類(11.3回)、冷凍野菜(11.3回)など簡便化商品2(冷凍の惣菜等)および簡便化商品3(一次加工済み野菜)でも利用回数が10回以上の商品も見られた。

(3) 消費者属性別の特徴

ア 性別

性別では、対象とした簡便化商品18品目のうち、惣菜専門店の惣菜と冷凍野菜のみ女性の利用回数が多いが、その他の品目では男性の利用回数が多い。また、野菜の簡便化商品に限って見ると、簡便化商品1(中食商品)であるサラダ用カット生野菜(袋入り)とサラダ用カット生野菜(カップサラダ)、簡便化商品3(一次加工済み野菜)のカット生野菜(加熱調理用)、簡便化商品5(カットしていない野菜のセット商品)の野菜詰め合わせセットでは、男性と女性の間で利用回数に差が見られ、男性の利用回数が多い。

このうち、サラダ用カット生野菜(袋入り)、サラダ用カット生野菜(カップサラダ)、カット生野菜(加熱調理用)では、生鮮野菜にカットという一次加工が施されているという点で共通している。これらを踏まえると、調理の外部化は女性に比べて全体的に男性が好んでいるが、なかでも野菜の一次加工の外部化は女性よりも男性が利用していることから、男性の方が野菜を切ることへの負担感が大きいことが考えられる。

イ 年代別

年代別では、コンビニの惣菜やお弁当専門店のお弁当、宅配ピザ、冷凍の麺・ご飯類で高齢層に比べて若年層の利用回数が多い。また、野菜の簡便化商品においてもカット生野菜(加熱調理用)や野菜詰め合わせセット、野菜ボックスでは若年層の利用が多いが、調理を必要としないサラダ用カット生野菜(袋入り)やサラダ用カット生野菜(カップサラダ)については、60代の利用回数がやや少ないものの、20代~50代の利用回数にはほとんど差が見られない。

このことから、簡便化商品全般の傾向としては、外部化の程度が高い商品においては若年層の利用回数が多いが、野菜の簡便化商品に限ると、外部化の程度が高い商品については、20~50代では同程度の利用頻度であり、今後、幅広い年代に一層利用されることが考えられる。

ウ 世帯員数

世帯員数について、スーパーの惣菜やコンビニの惣菜では1人世帯の利用が多いのに対し、冷凍の惣菜や冷凍の麺・ご飯類、冷凍野菜、野菜の缶詰は世帯員数が多い属性において利用回数が多い傾向が見られた。

これは、スーパーの惣菜やコンビニの惣菜が含まれる簡便化商品1(中食商品)に比べて、冷凍できる商品は冷凍庫の中にストックしておき、急に必要になったときに食事の品目を増やしたり、冷凍野菜を加えて料理にボリュームを出すといった保存性の高さを活かした利用をしていることが考えられる。一般的には、世帯員数の減少を背景に調理の外部化が進展するといわれるが、簡便化商品の中でも日持ちのする冷凍野菜や野菜の缶詰は複数人世帯においても浸透していることがうかがえる。

エ 勤務時間数

勤務時間数を見ると、簡便化商品1(中食商品)と簡便化商品3(一次加工済み野菜)、簡便化商品5(カットしていない野菜のセット商品)で勤務時間数の多い人の利用回数が多い品目が見られた。一方で、簡便化商品2(冷凍の惣菜等)では勤務時間数による利用回数の差がそれほど見られず、この背景には上述したような冷凍できることによる保存性の高さがあることが考えられる。

また、仕事による時間制約が強い人では、簡便化商品3(一次加工済み野菜)、簡便化商品5(カットしていない野菜のセット商品)のような内食の際の材料の取りそろえや、一次加工を外部化したものと簡便化商品1(中食商品)のようなすぐに食べられる外部化の程度の異なる商品のどちらも利用して簡便化を図っていることがうかがえる。

オ さまざまな消費者に利用されている簡便化商品

以上の結果を踏まえると、簡便化商品の中でも、調理過程の多くを外部化した中食商品、特にスーパーやコンビニの惣菜の利用回数が多いものの、その他の簡便化食品も少なからず利用されており、消費者は単に調理過程の外部化のみを志向しているのではなく、場面によって外部化の程度の異なった簡便化商品を使い分けていると予想される。

また、野菜の簡便化商品については、女性や60代の利用が少ないものの、多様な消費者に利用されていることから、野菜を気軽に摂取することができる手段になっていると言えよう。

3 パルシステムの概要および簡便化商品に関する取組状況

(1) パルシステムの概要

パルシステムは、1990年に設立し、現在はパルシステム東京など14会員で組織され、約155万世帯が加入、会員生協総事業高は2107億2000万円となっている(2017年3月31日時点)。

パルシステムでは、商品カタログをもとに注文用紙またはネットで必要な商品を注文し、1週間に1度、決まった曜日に商品が宅配されるサービスを行っている。商品カタログは、組合員のニーズにあわせて大きく3種類展開している。子どもがいる世帯向けに定番商品や徳用規格を充実させた「コトコト」、少人数家族に適した商品を掲載する「きなり」、高齢者向けに注文用紙とカタログが一体となった「きなりセレクト」がある。また、上記の3種類とは別に、乳児から未就学児までの子どもがいる世帯向けの「yumyum」やアレルギーに配慮した商品を掲載した「ぷれーんぺいじ」など個人の生活に対応した多様なカタログを配布している。

(2) 高い産直の比率と販売の特徴

パルシステムの大きな特徴として、産地と食卓をつなげることを目的に「産直」を行っていることが挙げられる。30年以上前から産直を開始しており、現在では米、卵、牛乳、鶏肉は取り扱い商品のすべてが産直品となっている。この他にも、青果物96%、牛肉91%、豚肉91%のように高い産直比率を有している(2016年度実績)。

産直産地数は386カ所に上り、農畜産物を生産・出荷するだけでなく、組合員との交流会も実施しており、年間1万7144人(2016年実績)が産地を訪問している。なお、パルシステムでは、食料自給率を上げることや農薬が使用されていない安心できる食品を販売するために、輸入品はほとんど使用していない。

産直品を使用する取り組みは生鮮品だけでなく、加工品においても同様のことが言える。パルシステムにおいても、調理の一部を外部化し、調理の負担を軽減することができる簡便化商品は販売されており、冷凍食品など652商品が「パルシステムオリジナル」というプライベートブランド(PB商品)として販売されている。ただし、袋詰めのカット生野菜については、野菜を事前にカットすることによって、各家庭に配達される頃には栄養価が落ちてしまうという観点から、一部のお料理セットを除いて販売は行っていない。一般的にPB商品は「低価格」を掲げているブランドが多い中、「パルシステムオリジナル」では、主原料の農畜産物にこだわるだけでなく、使用する食品添加物には厳しい基準を設け、主原料の加工方法にも配慮するなど、他のPB商品とは異なった商品展開を行っている。

(3) 組合員のニーズに対応した国産野菜を使用した冷凍野菜

わが国では、冷凍野菜の原料となる野菜の多くを海外産に依存しているが、パルシステムでは、ほうれんそうやこまつな、えだまめ、さといもの冷凍野菜(写真1)の原料の100%を国産で扱っていて、主力産地の一つの宮崎県都城地区イシハラフーズ株式会社では、残留農薬の検査および多くの人の目で品質を確認し、栽培から加工までを同地区で行っている。

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一般的に冷凍さといもは、皮をむいたさといもを冷凍にするため、生鮮の状態から70%程度が廃棄されているが、パルシステムでは環境に配慮した生産を行うことを目指し、廃棄量を50%にとどめている。

また、パルシステムでは、国産の農畜産物を厳重な品質管理に基づき加工していることを生かして、離乳食向けの裏ごし冷凍野菜を販売している。北海道で生産された甘味の強いスイートコーンや、にんじん、かぼちゃ、ばれいしょを使用し、離乳食に適した裏ごしした上記の野菜を小分け冷凍して販売している。

この他にも、高齢者向けの冷凍弁当・おかずセットも販売している。ごはんと主菜、複数の副菜が1つのパックに入っており、冷凍のまま電子レンジで加熱すると食べられる商品である。この商品は、簡単に食べられるという商品特性を有していながら、化学調味料や保存料は不使用、さらに塩分が低いなど健康志向に配慮している。

このように生産方法や加工方法にこだわった冷凍野菜を販売することで、近年、高まっている健康志向に対応すると同時に、冷凍食品の有する簡便性にも対応し、子育て世代や高齢者など組合員のニーズに合った商品を販売していることが考えられる。

(4) 国産かつ産直の食品提供の課題

一方で、組合員に安心できる食品を提供することでの課題も存在する。上記のような組合員のニーズに合った商品展開を行っているが、国産かつ産直を重視しているため、需要に対して生産が追い付かず、先に述べた簡便化商品の一部について販売量が前年を下回る場合もある。

パルシステムでは契約じょうからの産直を行っており、台風や天候不順などによって野菜の生産量が減少することに伴う需要に十分対応できていないことから、これが組合員の食生活に影響を与えている可能性もある。

なお、パルシステムでは2016年の九州および北海道の台風による被害で、2017年は一部の商品が欠品しているが、代替できるパルシステムの商品をカタログに掲載する、または、生産地の現状を組合員に伝えるなどして対応を行っている。

 ライフコーポレーションの概要および簡便化商品に関する取り組み状況

(1) ライフコーポレーションの概要

ライフコーポレーションは、1956年に食品問屋から貿易部門が独立し、「清水実業株式会社」として設立された。その後、1961年にライフコーポレーションとしてスーパーマーケットの運営を開始し、豊中店(大阪府豊中市)を開店した。現在では、「地域密着」を掲げ、都市部を中心に264店舗(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県など首都圏116店、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県など近畿圏148店2017年月末)まで拡大し、営業収益は6529億7400万円(2017年月期)、さらに最近ではスーパーマーケットだけでなくネットスーパー事業の展開も行っている。

また、PB商品の開発・販売にも取り組んでおり「スマイルライフ」「ライフプレミアム」「ライフナチュラル」の3ブランドを展開している。このうち「ライフプレミアム」では素材や製法にこだわり、おいしさを追求した商品を、「ライフナチュラル」では健康志向や自然志向を意識して有機野菜や添加物の少ない商品の販売を行っている。このように、近年、高まりを見せる健康や安全への志向に対応する商品の展開にも取り組んでいる。

この他にも、地場産農産物のコーナーを設置し、一時は地場産農産物の商品数を増やすことに力を入れていたが、都市部に位置する店舗が多数であるため、現在では取り扱う地場産商品を絞り込むこととし、地場産に限らず新鮮な野菜を仕入れて販売することを重視している。

(2) 簡便化商品に関する取組状況

ライフコーポレーションにおいて特筆すべき点として、袋やカップに入っているカット野菜(写真2)の売り上げの増加に伴う事業強化が挙げられる。生鮮野菜の価格の変動にかかわらず、カット野菜の売り上げは伸びていることから、ライフコーポレーションにおいて重要な品目となっている。これを受けて1年ほど前から、カット野菜部門を強化するために、カット野菜の加工を自社工場で行っている。

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 現在は、カット野菜部門における売り上げの7割が自社生産、3割は他の企業から仕入れた商品が占める。なお、2016年9月からカップ野菜の販売を開始するなど、新しい取り組みにも着手している。

具体的な商品としては、カップや袋に詰められたサラダ、野菜炒めセット、だいこんおろしのパック詰め、刻みねぎなどを展開している。カット野菜の原料となる野菜としてはキャベツを最も使用し、次いでねぎ、はくさいと続く。キャベツについては、春キャベツのような柔らかいキャベツに比べて、実の詰まった硬いキャベツはロスが少なくて済むという理由から、群馬県嬬恋村から加工に適したキャベツを仕入れている。その他の野菜については、北海道や九州の農業法人と契約している。

前述のようなカット野菜をはじめとする簡便化商品の販売増加を受けて、冬季限定でカットしたはくさいやねぎなどを含む鍋用の食材セットを生産している。鍋用の食材セットには、肉や魚を併せたセットとして販売した方が簡便化の需要に対応できると感じているものの、自社内での安全検査の基準をクリアできないことから、野菜と肉や魚を組み合わせた鍋の食材セットの販売には至っていない。この他には、一部の店舗でダイス状やスライスしたカットトマトの販売を実施したことがあるが、売り上げには結びつかず、現在は販売していない。

このような経験から、消費者は生鮮品を調理した後の生鮮品の皮のごみがでることに抵抗感があると考え、カットフルーツの強化、特にカットパイナップルや皮をむいたキウイフルーツの強化を図っている。

なお、カット野菜における今後の取り組みとしては、既存のカットサラダに苦味のあるケールを追加した商品を販売することである。自社工場ですでに洗浄したケールを入れて、そのまま食べられるような商品の開発・販売に向けて動いている。

5 野菜の簡便化商品の展開方向

今後も簡便化商品の需要はさらに増し、それに伴い、今まで以上に多様な簡便化商品が展開されると考えられる。ただし、パルシステムおよびライフコーポレーションの事例からわかる通り、従来の簡便化商品の製造量を増やすだけでは十分ではないだろう。

パルシステムでは、簡便化商品の中でも冷凍野菜に力を入れて販売を行っているが、産直原料を使用することや添加物をなるべく使用しないなど、簡便性だけでなく安全志向や健康志向にも対応できる商品を展開している。また、冷凍食品は持ち運ぶにあたり、「重い」という特徴を有するが、パルシステムでは主に商品を配達することが一般的であるため、冷凍食品のデメリットの影響を受けにくい。

さらに、前述したように、簡便化商品の多くは1人世帯で多く利用されているが、日持ちのする冷凍野菜では、世帯員数が多い世帯で利用されていた。子どもがいる世帯をターゲットとしたカタログがあるように世帯員数が多い組合員を対象に販売することを想定しているパルシステムにおいて、冷凍食品に力を入れることは、都市部の消費者の傾向と合致した商品展開を行っているといえるだろう。

一方で、ライフコーポレーションでは、単身世帯が増加している都市部を中心に「地域密着」を掲げて多店舗展開を果たす中で、簡便化商品の中でも冷凍食品ではなく、袋やカップに詰められたカット野菜など日持ちのしない商品の拡充を行っている。さらに、カット野菜の加工の多くを自社工場で行うことで、消費者のニーズに柔軟に対応した多様な商品ラインナップを展開することが可能になっている。

従って今後は、その企業において想定される消費者の特徴を捉え、簡便化志向に加えて他のメリットを付加することが重要となろう。パルシステムのように簡便化志向と健康・安全志向の両方に対応した冷凍食品を提供する、あるいは、ライフコーポレーションのようにさまざまな簡便化商品を販売することで、消費者の多様化にも対応するといった方向である。

この他にも、消費者が、好きな野菜を好みの量で組み合わせることができるオーダーメイドのカット野菜セットや冷凍ミックス野菜などを導入することによって、簡便化志向はもちろんのこと、消費者のニーズに一層近づいた多様な食志向に対応することできるのではないだろうか。以上のような企業の取り組みや新たな野菜の販売方法の提案が、わが国の消費者の野菜不足を解消するための一つの手段となることを期待したい。



参考文献

(1)玉木志穂、大浦裕二、山本淳子「食事形態と簡便化商品の選択行動からみた中食および中食商品の特徴-都市部の住民を対象としたWeb調査から-」『フードシステム研究』23(3)、2016、pp187-192。

(2)株式会社ライフコーポレーション「株式会社ライフコーポレーション会社案内社会・環境活動報告書2016」

(3)パルシステム生活協同組合連合会「パルシステムガイド2017」

(4)パルシステム生活協同組合連合会 広報・商品活動課(企画・編集)、パルシステム生活協同組合連合会(制作・発行)「パルシステム商品ブック 作り手と組合員をつなぎ、未来を育む。」

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