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海外情報 野菜情報 2022年6月号

イタリアのほうれんそうの生産、消費、輸出について

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調査情報部

【要約】

 イタリアでは、温暖な気候を生かしてさまざまな野菜が生産されている。特にほうれんそうの生産量はEU域内で最も多く、EU域内外に生鮮、加工、冷凍の形で輸出を行っている。また、日EU経済連携協定の発効に伴い冷凍ほうれんそうの輸入に係る関税率は段階的に引き下げられていることもあり、イタリア産冷凍ほうれんそうの日本への輸出量は増加傾向で推移している。しかし、日本の冷凍ほうれんそう輸入量の9割以上は中国産となっていることに加え、輸入単価でもイタリア産は中国産を上回ることから、イタリアからの冷凍ほうれんそうの輸入量の大幅な増加は見込めないと思われる。一方で、輸入量の大半を中国に依存している中、世界的な異常気象の常態化に加え、新型コロナウイルス感染症など想定外の事態の発生など、リスクヘッジの観点からも輸入先の多様化が求められる状況にもある。

1 はじめに

 冷凍ほうれんそうは、家庭で調理の手間がかからないなどの利点から、量販店などでの需要は高まっている。こうした需要を背景に、2021年の冷凍ほうれんそう輸入量は4万9207トン(前年比2.4%増)となり、10年前との比較では47.1%増と大幅に増加している。
 21年の冷凍ほうれんそう輸入量を輸入先別に見ると、最大の輸入先である中国が94%と大半を占めており、イタリアはわずか1%とその割合は低い。しかし、イタリアからの輸入量は、近年、増加傾向で推移しており、19年には台湾を抜いて中国に次ぐ輸入先となった。また、19年2月には、日EU経済連携協定(日EU・EPA)が発効し、イタリアを含む欧州連合(EU)域内から冷凍ほうれんそうを輸入する際の関税率(発効前は6%)が段階的に撤廃されることとなった。22年5月時点では、同関税率は1%まで引き下げられている。
 本稿では、近年、輸入量が増加しているイタリアのほうれんそうの生産、消費および輸出動向などについて報告する。なお、1ユーロ=137.33円(注1)を使用した。
(注1) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の4月末TTS相場。

2 冷凍野菜およびほうれんそうの輸入動向

  日本の冷凍野菜の輸入量を見ると、2014年以降、増加傾向で推移していた。20年は6年ぶりに前年を下回ったが、21年の輸入量は109万9401トン(前年比3.9%増)と再び増加に転じた(図1)。冷凍野菜の輸入量を品目別に見ると、ばれいしょ、その他の冷凍野菜の割合が多いものの、ほうれんそう等も品目別輸入量では第5位と、冷凍野菜の中で一定程度の地位を占める品目である。

図1 冷凍野菜の品目別輸入量の推移

 冷凍ほうれんそうの輸入量は、18年をピークに減少していたが、21年は4万9207トン(同2.4%増)と前年をわずかに上回った。輸入先別に見ると、中国が輸入量のうち94%と大半を占めているものの、近年、イタリアからの輸入量も増加傾向で推移し、19年には台湾(注2)を抜いて、中国に次ぐ輸入先となった(図2)。

注2) 台湾産冷凍ほうれんそうについては、野菜情報2020年4月号「台湾のキャベツ、ほうれんそうの生産・輸出動向について」<https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/2004_kaigaijoho01.htmll>を参照されたい。

図2 冷凍ほうれんそうの輸入先別輸入量の推移

 冷凍ほうれんそうの輸入単価を見ると、ここ10年間、中国産は1キログラム当たり150円前後で安定的に推移している。一方で、台湾産は同250円前後と上昇傾向にある(図3)。イタリア産は、輸入量が増加し始めた2016年以降は安定的に推移しているものの、同250円を超える水準となっており、台湾産と同様に中国産よりも同100円程度高い水準で推移している。

図3 冷凍ほうれんそうの輸入先別輸入単価の推移

 近年、冷凍ほうれんそうは量販店での販売も増えており、販売金額も10年前と比較して増加している(表1)。なお、機構が実施したコロナ禍における野菜消費の変化を調べた調査では、20年の冷凍ほうれんそうの購入額は大きく増加している(注3)

注3) 機構HP「加工・業務用野菜に関する調査」内のコロナ禍における野菜消費の変化<https://www.alic.go.jp/y-gyomu/yajukyu02_000176.html#10>を参照されたい。

表1 冷凍ほうれんそうの千人当たり販売金額の推移

3 生産動向

(1)作付面積、生産量
 イタリアの国土面積は約30万平方キロメートルと日本の約5分の4程度であるが人口は日本の半分以下である。
 2020年のイタリアの農業産出額を部門別に見ると、野菜・園芸部門は21%と最も高く、同国の農畜産業の中で主要部門となる(図4)。

図4 農業産出額に占める部門別割合(2020年)

 地中海に面したイタリアは、夏の日差しが強く、国土の大部分が年間を通じて降雨量の少ない地中海性気候に属しているため、温暖な気候を生かした野菜の露地栽培が盛んであり、EU有数の生鮮野菜生産国である。このため、イタリアのほうれんそう生産量はEU域内で最も多い(表2)。

表2 EUのほうれんそう生産量の上位 5カ国 (2020年)

 ほうれんそうの栽培適地は、低地の南地中海性気候の地域とされている。イタリア国家統計局によると、露地栽培のほうれんそうの主な産地はエミリア=ロマーニャ州、プーリア州、ラツィオ州、マルケ州、アブルッツォ州である(図5、表3)。作付面積の上位5州でイタリア全体の約7割を占めており、生産量も同様に上位5州で約7割を占めている。

図5 ほうれんそう(露地栽培)の主要生産州


表3 ほうれんそう(露地)の作付面積、生産量の上位5州(2020年)

 ほうれんそうは露地とハウスの両方で栽培されており、20年の作付面積全体の92.8%が露地栽培で5697ヘクタール(前年比1.8%減)となり、同7.2%がハウス栽培で444ヘクタール(同8.8%減)であった(図6、写真1、2)。また、同年の生産量は露地栽培で8万7986トン(同0.3%増)と全体の86.5%を生産し、ハウス栽培では1万3790トン(同7.3%減)と同13.5%であった。17年にはハウス栽培の作付面積と生産量が前年から大幅に増加したが、20年時点で露地栽培の方がハウス栽培に比べて作付面積で12.8倍、生産量で6.4倍多く、現在もなお、ほうれんそうの生産は露地栽培を中心に行われている。同年の単収は、露地栽培で10アール当たり1.5トン、ハウス栽培で同3.1トンとハウス栽培の方が約2倍多い。なお、日本のほうれんそうの単収は同1.0トンのため、イタリアの単収は日本よりも高い水準となっている。

図6 イタリアのほうれんそうの生産量および作付面積の推移(栽培形態別)

写真1 栽培風景(露地)

写真2 栽培風景(ハウス)

 イタリアの野菜生産者の多くは比較的小規模な家族経営が中心とされ、農場労働力のほとんどが家族で構成されている。加えて、先祖代々受け継がれた特定品目の生産に特化していることが多い。イタリア国家統計局によると、生鮮野菜の生産者戸数は16年時点で8万6198戸である。16年以降の統計数値がないが、13年には9万5862戸であったことから、作付面積に大きな変動が見られない中で、生産者の規模拡大化の傾向があるといえる。

(2)栽培および収穫
 イタリアは、年間を通じて降雨量の少ない地中海性気候に属していることから、年間を通して安定的にほうれんそうの収穫が可能である(図7)。()種から収穫までの期間は、栽培時期によって異なるが、夏は播種後20~25日、冬は播種後40~50日で収穫が行われる。

図7 イタリアのほうれんそうの作型

 (かん)水は、圃場にスプリンクラーを設置して行われ、収穫は、自走式の収穫機で行われることが多い(写真3)。圃場で収穫したほうれんそうは、不要部分の下処理を行った後、品質低下を避けるために速やかに低温を維持出来る運搬用トラックにより加工工場へ運ばれる(写真4)。

写真3 ほうれんそうの収穫風景


写真4 収穫されたほうれんそう

(3)今後の生産見通し
 ほうれんそうの生産は、小規模農家による栽培が中心とみられているが、今後は生産や流通の効率化に向けた取組みが進むと予想されている。また、現地の生産者や加工業者によると、ほうれんそうの生産量は全体的に増加傾向であり、現在は需要に見合った量となっている。一方で、需要に応じて、生産量を増やすことは可能との声も聞かれるため、まだ生産余力はあるものと思われる。

4 消費動向

(1)販売形態
 イタリアでは、生鮮野菜は都市部のスーパーマーケットや食品市場、小売店などで販売されているが、戸別訪問販売も盛んである。また、イタリアでは、米国の地域支援型農業(注4)に類似する形で消費者によって組織化された購買グループ(例:Gruppi di Acquisto、Gruppi diAcquisto Solidale)が生産者や大手小売業者からまとめて農産品を購入することで、公正な価格、生産による環境への影響の配慮などを推進している場合がある。このような購買グループがもたらした大きな影響のひとつにサプライチェーンの短縮化が挙げられる。

(注4) 野菜情報 2017年7月号「主要国の野菜の生産動向等」
<https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/1707_kaigaijoho01.html>を参照されたい。


(2)小売価格
 イタリア農業食品市場サービス協会によると、2021年のほうれんそうの小売価格は、5月に1キログラム当たり0.54ユーロ(74円)と年間を通じて最も安値になった一方で、12月に1キログラム当たり0.94ユーロ(129円)と最も高値となった(表4)。小売価格は、秋から冬にかけて価格が上昇する傾向がある。

表4 ほうれんそうの小売価格の推移(2021年)

 なお、ほうれんそうは生鮮、カット野菜、冷凍野菜などさまざまな形態で販売されている(写真5~7)。

写真5 スーパーマーケットの陳列風景

写真6 カットほうれんそうの陳列風景

写真7 冷凍ほうれんそうの陳列風景

【コラム1】 コロナ禍におけるイタリアの野菜消費

 2020年のイタリアの野菜消費は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴うロックダウンなどにより、大きな影響を受けた。外食店の営業が止められたことから、自宅での調理機会が増え、家庭内での野菜消費量は増加したものの、野菜全体の消費量の増加には結びつかなかった(コラム1-図)。しかし、21年に入り、COVID-19に関する規制が解除され外食店の営業が再開したことから、生鮮野菜の小売販売量は減少した。一方で、コロナ禍で消費者の健康や栄養への関心が高まったこともあり、野菜の消費量は増加した。


コラム1-図 イタリアの野菜の消費量の推移

 イタリアでは、パック包装されている野菜への馴染みが薄かったものの、コロナ禍では衛生的な理由から消費量が増加した。また、外出規制などの影響もあり、小売店への訪問頻度が低下する中、特に保存期間が長い冷凍野菜の販売が増加した。さらに、イタリア冷凍食品協会によると、近年、イタリアでも新たな食事スタイルとして流行しているフレキシタリアン(注1)やビーガン(注2)などの人々の植物性タンパク質消費量の増加と共に果物、野菜、特に冷凍品の消費を支えているとした。また、冷凍食品の世界でも植物性タンパク質の消費拡大傾向が定着しつつあり、製品の種類も増加しているとしている。
 今後も在宅勤務などの新たな生活スタイルが定着していくことが予想されており、家庭内で過ごす時間が増えることから、野菜の消費量も増加すると予想される。中でも調理の利便性が高い野菜として、たまねぎやトマトの消費量の増加が見込まれている。

(注1) フレキシブル=柔軟性、ベジタリアン=菜食主義者の二つを組み合わせた造語で、通常の食生活を送るが、たまにベジタリアンになるという柔軟な食生活を送る人々。

(注2) と畜することによって得られる食肉の摂取だけでなく、鶏卵や乳製品、はちみつなどの家畜による生産物の搾取も望まない人々。

5 冷凍ほうれんそうの製造状況など

(1)冷凍野菜の生産動向
 欧州では、1968年頃まで冷凍野菜が一般的ではなかったが、米国で冷凍野菜が販売されていることを知ったフランスのボンデュエル社が商品化に取り組み、販売を開始したことで、その後、欧州でも冷凍野菜の販売が広がったとされている。その後、同社はイタリア市場に参入し、72年に現地法人を立ち上げ冷凍野菜の事業を開始している。
 イタリア国家統計局によると、冷凍野菜の製造量は年によってバラつきがある、20年は38万2033トン(前年比29.8%減)と前年を大幅に下回ったが18年を27%上回っている(図8)。

図8 イタリアの冷凍野菜の製造量の年別推移

(2)冷凍ほうれんそうの製造工程など
 冷凍ほうれんそうの製造工程は図9の通りである。圃場で収穫後、工場まで低温で運搬され、搬入時に成熟度・色・大きさなどの検査、分析などを行う。今回聞き取りを行った加工企業の一つでは、ほうれんそうの収穫から工場までの運搬は3時間程度となる。工場に搬入後、洗浄して土などの異物を取り除いた後、余分な部分などを取り除くためのカット処理を行う。カット後は光学選別機などで大きさごとに選別し、ブランチング(加熱)処理を行う。その後、マイナス30度で個別急速冷凍(IQF)され、最終製品は段ボールなどに梱包、マイナス18度で保管して、保冷車で取引業者へ配送される。

図9 冷凍ほうれんそうの製造工程

 なお、イタリアでは、冷凍ほうれんそう加工業者はほうれんそう生産者から原料を調達し、製造を行っているのが大半を占めており、原料生産から製品製造および輸出までを一貫して行っている企業は少ない。
 今回、聞き取りを行った加工企業の一つでは、梱包する際の包装材料について、環境への影響を低減した素材を使用しているとのことである。さらに、冷凍ほうれんそうの製造施設として製品の全体的な品質と安全性を向上させるために常に最先端の製品ラインに更新しており、大型の完全自動冷凍倉庫、生産および包装ラインに最新の光学・レーザー選別機を設置している。

6 輸出動向

(1)EU域内外向け輸出量
 欧州委員会によると、イタリアの生鮮ほうれんそう輸出量は、EU域内外向けともにEU第2位に位置している(表5)。一方で、冷凍ほうれんそう輸出量は、EU域内向けが同第5位、EU域外向けが同第6位に位置している(表6)。

表5 生鮮ほうれんそうの国別輸出量(2020年)

表6 冷凍ほうれんそうの国別輸出量(2020年)

 イタリアの冷凍ほうれんそう輸出量は、年による増減はあるものの、EU域内外向けともにおおむね増加傾向で推移している(図10)。

図10 イタリアの冷凍ほうれんそうの輸出量の推移

 なお、20年のEU域外向け輸出量は1795トンとなり、このうち日本向けがほぼ半数(948トン)を占めている。

(2)輸出に関する政府・関係団体
 イタリアの冷凍ほうれんそうの輸出促進を目的とした組織はないものの、イタリアと海外のビジネスマッチングを促進する団体などはある。また、輸出向けとして、「Made in Italy」の生産と供給の促進を目的とする政府機関もある。イタリア貿易促進機構(ITA)は、企業の海外ビジネスを支援するとともに、イタリアへの外国投資の誘致を促進する政府機関である。
 日本国内では、イタリア大使館の貿易振興部がイタリアとのビジネスに関心のある日本企業などとの窓口を担っている。また、ITAは日本の企業や消費者に同国の製品を紹介するとともに、イタリア企業とマッチングする貿易フェアや展示会を開催している。

(3)今後の輸出見通し
 イタリアでは、野菜生産全体に占めるほうれんそうの割合はそれほど高くないが、EUでは最大のほうれんそう生産国である。また、EU域外向け冷凍ほうれんそうの輸出でも主要国の一つとなっている。
 冷凍ほうれんそう加工企業への聞き取りでは、基本的に輸出に関してはかなり前向きな姿勢を示しており、条件が合えば積極的に輸出を増加させるとしている。

【コラム2】 欧州グリーンディールの導入に伴う影響評価

 オランダのワーヘニンゲン大学は2022年1月、欧州グリーンディール内(注)の「Farm to Fork(F2F)戦略」および「生物多様性戦略」で掲げる目標を達成した場合の影響を予測した報告書を発表した。
 報告書では、以下の4つの条件を設定している。
(1)化学農薬の使用を50%削減し、より有害な農薬の使用を50%削減
(2)土壌栄養分の流出を50%低減し、肥料の使用量を20%削減
(3)EUの農地の25%を有機農法による農地とする
(4)(1)と(2)の条件に加え、EUの農用地の10%を生物的多様性維持のために保全する
 そして、現行の共通農業政策(CAP)がそのまま継続された場合を基準(図の0%のライン)として、これら4つの条件を前提とした影響について公表している。同報告書内では、具体的な事例として、4つの条件下でのイタリアの加工用トマトの生産量および価格への影響を示している(コラム2-図)。

 コラム2-図 各条件における生産量と価格の増減率

 生産量は全ての条件下で10~20%減少すると予測されている。一方で、価格は(3)の有機農法の条件の時のみ上昇すると予測されている。有機農法では慣行農法と比べて生産量が減少することに加え、有機農産物は市場規模がまだ小さく、価格弾力性が低い(価格が上昇しても需要が落ちにくい)ことから価格が高くなりやすいとしている。
 また、同報告書内でF2F戦略および生物多様性戦略によりEUへの輸入品と公平な条件ではなくなり、貿易依存度が高まることや持続可能な開発目標(SDGs)内の「飢餓をゼロに」に対するEUの貢献度が低下する可能性があることを考慮して影響緩和に向けて努力する必要があるとしている。

(注) 畜産の情報2021年11月号「EUにおける有機農業の位置付けと生産の現状」<https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001853.html>を参照されたい。

7 おわりに

 イタリアのほうれんそう生産は、比較的小規模な家族経営の農家が中心となっているものの、近年は規模拡大の傾向にある。また、同国の多くの企業では品質管理の取組が行われており、農場から物流まで冷蔵や冷凍の設備が整備されている。このため、EU域内のみならず、日本をはじめとした第三国への農産物輸出が可能な状況となっている。しかし、イタリアでは冷凍ほうれんそうを原料生産から輸出まで一貫して行っている企業は少なく、製造に際して原料の確保が重要とされている。ほうれんそうの生産現場では、需要に見合った生産が行われているが、今後の生産余力はあるものとみられる。また、冷凍ほうれんそう加工企業からは、輸出拡大に向けた積極的な意見も聞かれた。こうした背景に加え、日本では、日EU・EPAの発効に伴い同国との貿易機会を拡大しようとする取り組みとも相まって、イタリア産冷凍ほうれんそうの輸入量が増加した側面もある。
 しかし、日本国内での冷凍ほうれんそう需要の拡大に対しては、中国からの輸入品を中心に供給されている状況にある。輸入単価の面でも中国がイタリアと比べて安価なため、イタリアからの冷凍ほうれんそうの輸入量の大幅な増加は難しいとされる。
 一方、日本では実需者からの国産野菜の安定調達ニーズに対応するため、加工・業務用向け野菜の生産者への支援などを行っているものの、冷凍ほうれんそうの需要拡大に対応するためには、まだ輸入品に頼っている状況である。そうした中、特に中国産のシェアが約9割を占めるため、世界的な異常気象の常態化に加え、COVID-19をはじめとしたさまざまな想定外の事態の発生など、リスクヘッジの観点からも輸入先の多様化が求められる状況にもあるといえる。また、2002年の中国産ほうれんそうの残留農薬問題の発生後に中国産以外の輸入が増えたように、イタリアなどの輸入実績のある国について、今後の動向を把握していく必要があると考えられる。



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