トウモロコシの原産地は、メキシコから南アメリカ北部にかけてといわれており、5000年以上前から利用されていた。15世紀になり、コロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパへ持ち帰ったことで、世界中に広まった。日本に伝わったのは16世紀で、明治時代の北海道開拓を機に本格的な栽培が始まった。
米、小麦とともに世界三大穀物のひとつであるトウモロコシは種類が多く、主に穀物として利用される硬粒種(フリント種)、家畜の飼料として利用される馬歯種(デント種)、ポップコーンに利用される爆粒種(ポップ種)、未成熟トウモロコシである生食用や加工用の甘味種(スイート種)などがある。
野菜として利用している生食用甘味種の未成熟トウモロコシをスイートコーンと呼び、昭和40年代から全国で栽培されるようになった「ハニーバンタム」以来、甘味の強い品種が主流となっている。
作付面積・出荷量・単収の推移
平成26年の作付面積は、2万4400ヘクタール(前年比100.0%)と、前年と同水準で推移している。
上位5道県では、
●北海道9250ヘクタール(同99.1%)
●千葉県1790ヘクタール(同103.5%)
●長野県1340ヘクタール(同99.3%)
●茨城県1230ヘクタール(同100.0%)
●群馬県1200ヘクタール(同101.7%)
となっている。
26年の出荷量は、20万1400トン(前年比105.4%)と、前年よりやや増加した。
上位5道県では、
●北海道10万9200トン(同104.2%)
●千葉県1万5500トン(同109.9%)
●茨城県9460トン(同103.2%)
●群馬県8530トン(同104.7%)
●山梨県7250トン(同130.4%)
となっている。
10アール当たりの収量は、宮崎県の1.49トンが最も多く、次いで北海道の1.24トン、香川県の1.22トンと続いている。全国平均(単純平均)は1.02トンとなっている。
作付けされている主な品種等
スイートコーンは、糖度によってスイート種とスーパースイート種、実の色によってイエロー系、シルバー系、2つの色をもつバイカラー系に分けられる。現在、主流となっているのはイエロー系のスーパースイート種で、ゴールドラッシュや味来などが多く作付けされている。
シルバー系にはピュアホワイト、バイカラー系にはゆめのコーン、甘々娘などがあり、いずれも甘味が強いことを特徴としている。
東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成27年)を見ると、代表的な夏の野菜であるため、6月から9月に集中している。5月のハウス栽培ものの入荷に始まり、トンネル栽培、露地栽培へと作型が移っていく。また、5月の九州産から、関東産、北海道産へと産地も移動していく。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成27年)を見ると、東京都中央卸売市場と同様に、6月から9月にかけて集中的に入荷している。東京と比較すると、愛知産や徳島産、長野産などの入荷が目立つ。また8月は、北海道産が8割近くを占めている。
東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場の価格(平成27年)は、1キログラム当たり175~539円(年平均260円)の幅で推移している。ハウス栽培ものの入荷が始まる5月から下落基調となり、入荷が極端に減少する11月から上昇基調へと転じている。
輸入量の推移
冷凍スイートコーン、その他調製スイートコーンともに、平成24年をピークに輸入量は減少傾向にある。生鮮スイートコーンの輸入量はごく少なく、25年以降は10トン台で推移している。
国別の27年の輸入量を見ると、生鮮と冷凍では5割以上を米国が占め、その他調製スイートコーンではタイが6割近くを占めている。
輸出量の推移
冷凍スイートコーンの輸出量を見ると、台湾や米国への輸出が多かった平成25年が突出しているが、近年では10トン以下となっている。その他調製スイートコーンの輸出量は、23年までは減少傾向であったが、24年以降は増加傾向にある。
消費の動向
スイートコーンの供給量(収穫量+輸入量)を見ると、近年は32万から36万トンの間で推移し、比較的安定している。
今が旬のスイートコーンは、夏休みの手軽なおやつとしても最適である。甘いスイートコーンは、ゆでて、あるいは蒸して丸かじりするのが一番だが、刷毛でしょうゆを数回塗りながら焼けば、香ばしい味覚を楽しめる。
スイートコーンの主な成分はでん粉やブドウ糖などの炭水化物で、エネルギーの補給や疲労回復に効果的である。また、粒の胚芽部分(白い部分)にはリノール酸を含んでおり、血液中のコレステロール値を下げ、高血圧や動脈硬化を抑制する働きをもつ。
ゆでたり蒸したりして手軽に楽しめるスイートコーンだが、炒め物やかき揚げにしたりスープなどに加えたりと、用途の広い食材でもある。最近は、甘味が強くおいしいスイートコーンの品種がたくさん出ているので、気軽に味わってみてはいかがでしょうか。