しょうがは、薬用や香辛料として世界中で利用されている。原産地は熱帯アジアといわれ、日本へは3世紀以前に中国から伝わったとされる。アジアでは、調理用の香辛野菜として炒め物や煮物の香りづけに使われるほか、薬味などに利用されている。欧米では、ジンジャークッキーやジンジャーエールなど、加工原料として使われている。
しょうがは、塊茎の大きさの違いによって、大しょうが、中しょうが、小しょうがに分類され、また栽培・収穫方法によって、根しょうが、葉しょうが、矢しょうがに大別される。根しょうがは、地下の塊茎部分を食用とするもので、収穫直後の白く軟らかいものを新しょうが、2カ月以上貯蔵したものをひねしょうがという。葉しょうがは、小指ほどになった根茎を葉とともに収穫したものである。みそを付けて食べたり、甘酢漬けにするのが一般的で、「谷中しょうが」もその一種である。矢しょうがは、遮光されたところで軟化栽培したもので、出荷前に太陽に当てて茎元を紅色にする。辛みが穏やかで軟らかく、焼き魚の付け合わせなどに使われる。
作付面積・出荷量・単収の推移
平成26年の作付面積は、1870ヘクタール(前年比96.9%)と、前年より減少傾向で推移している。
上位5県では、
●高知県462ヘクタール(同100.0%)
●千葉県320ヘクタール(同97.9%)
●熊本県177ヘクタール(同92.2%)
●鹿児島県134ヘクタール(同109.8%)
●宮崎県89ヘクタール(同78.1%)
となっている。
26年の出荷量は、3万9100トン(前年比101.3%)と、前年より微増した。
上位5県では、
●高知県16100トン(同101.9%)
●熊本県4460トン(同105.4%)
●鹿児島県3120トン(同113.9%)
●和歌山県2730トン(同98.6%)
●宮崎県2510トン(同81.0%)
となっている。
10アール当たりの収量は、和歌山県の7.13トンが最も多く、次いで高知県の4.37トン、岡山県の3.42トンと続いている。全国平均(単純平均)は2.65トンとなっている。
作付けされている主な品種等
出荷量の多くを占めるのは大しょうがであり、多くの県で作付けされている品種の「土佐一」(土佐1号)も大しょうがの一種である。生産性や貯蔵性に優れる品種を育成したり、優良系統を選別することにより、品質や収穫量の向上を目指す産地が多い。土佐一は、そうした育成や選別のもととなるケースが多い品種でもある。
東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、1年を通して、高知産が5割前後を占め、中国産も周年入荷している。また、6月から9月は、和歌山産の入荷も多く、大部分が新しょうがとなっている。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、1年を通して高知産が大きなウェイトを占めている。6月から8月の入荷は和歌山産がトップであり、東京都と同様にその大部分は新しょうがである。
東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場の価格(平成27年)は、1キログラム当たり578~744円(年平均633円)の幅で推移している。1年を通して比較的安定しているが、27年は前年および前々年を上回る価格となっている。
輸入量の推移
平成27年の輸入量を見ると、生鮮しょうがは1万9820トンであり、塩蔵しょうがが1万3731トン、酢調製しょうがが1万6842トン、その他調製しょうがが2万6802トン、乾燥しょうがが555トンとなっている。塩蔵や酢調製などの加工ものは、ガリや紅しょうがなどに利用される。
また輸入先を見ると、塩蔵しょうがはタイと中国が多く、それ以外は中国が大半を占めている。
輸出量の推移
平成27年の輸出量を見ると、生鮮しょうがが12.9トン、その他調製しょうがが18.3トンとなっている。27年に生鮮しょうがが増加したのは、前年までなかったフィリピンへの輸出が10.7トンあったためである。
主な輸出先は、フィリピン、香港、米国、インドなどである。
消費の動向
しょうがの供給量(収穫量+輸入量)を見ると、近年は13万~15万トンと、比較的安定した推移となっている。さまざまな料理に使えるしょうがは、買い置きしておきたい野菜として家庭の中に定着し、ガリや紅しょうがなど加工・業務用としても安定した需要を持つ。
しょうがに含まれる香り成分や辛み成分は、さまざまな機能性を発揮する。中でも「ジンゲロール」と呼ばれる辛み成分は、ポリフェノールの一種で強い抗酸化作用を持ち、がんや動脈硬化、老化などの予防効果があるといわれている。また、さまざまな薬効作用や強い殺菌作用があることに加え、消化吸収を助けたり、体を温めたり、発汗作用を高める働きもある。多くの効用を持つしょうがを、普段の食事に上手に取り入れたいものである。