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今月の野菜



生しいたけの需給動向   調査情報部

  

しいたけは日本と中国の原産で、コナラ、クヌギ、シイなどのタンニンを含む枯れ木に寄生するきのこである。西洋のマッシュルーム、東南アジア・中国のフクロタケとともに、世界三大栽培きのこの一つとされている。温暖湿潤な日本には6000種を超えるきのこがある。このうち食用きのこは約200種類、栽培きのこは約100種類あり、その代表の一つがしいたけである。

食用の歴史は古く、江戸時代に原木に自生したきのこを採取したのが、しいたけ栽培の始まりといわれている。伐採した原木にナタで傷をつけ、しいたけの胞子が付着するのを待つというものだった。昭和17年になって農学博士の森喜作氏により、人工的に菌を植え付ける「原木栽培」が開発された。原木栽培は、原木(ほだ木)の持ち運びが大変であったり、気象条件によってしいたけの発生が左右されることから、現在では「菌床栽培」が大半を占めている。菌床栽培とは、おがくずに米ぬかなどを混ぜて固めて作った培地に菌を植える栽培法である。菌床栽培の普及により、生しいたけは一年を通して出回るようになった。

生産量の推移

平成26年の生しいたけ(菌床栽培+原木栽培)の生産量は、6万7510トン(前年比99.4%)と、前年より微減している。

上位5道県では、

徳島県8619トン(同100.9%)
北海道7557トン(同92.7
岩手県5155トン(同102.4
群馬県3608トン(同99.9
秋田県3532トン(同115.2%)

となっている。

そのうち菌床栽培の生産量を見ると、6万73トン(前年比99.7%)と、前年より微減しているものの、19年と比較すると増加している。

上位5道県では、

徳島県8602トン(同101.0
・北海道7315トン(同92.9
岩手県4955トン(同103.2
秋田県3399トン(同116.1
崎県3391トン(同102.3%)

となっている。

一方、原木栽培の生産量は7437トン(前年比96.5%)であり、年ごとに減少し、19年と比較すると半減している。

上位5県では、

静岡県767トン(同94.6
鹿児島県727トン(同109.8
熊本県667トン(同101.9%)
大分県532トン(同98.7
群馬県529トン(同74.7%)

となっている。

作付けされている主な品種等

しいたけの品種には、傘や柄の大きさや形、発生の温度や期間などの違いによって多くの種類がある。各産地では、それぞれの気象条件や立地条件に適した品種を選定し、その品種の特性を生かせるような栽培管理を徹底している。

比較的多く栽培されているのは、菌床栽培用では北研607号、北研705号、森XR1号など、原木栽培用では森M655である。

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、秋から冬にかけての入荷が比較的多くなっている。1年を通して、岩手産や秋田産が多いなど、東日本からの入荷が目立つ。

大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、10月から12月が入荷のピークとなっている。徳島産が各月とも50~70%を占めており、そのほかには岐阜産、秋田産、長崎産などが入荷している。

東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場の価格(平成27年)は、1キログラム当たりで894~1137円(年平均1008円)の幅で推移している。年間を通して比較的安定した推移となっており、年による差もあまり見られない。

輸入量の推移

生鮮しいたけの輸入量は、平成22年をピークに年々減少して、27年では2388トンと、20年と比較すると半減している。

乾燥しいたけの輸入量は微減傾向にあるものの、27年では5029トンとなっており、5000トンを維持している。

また輸入先は、生鮮しいたけが全量、乾燥しいたけも大半が中国となっている。

消費の動向

しいたけの近年の1人当たり購入量を見ると、年間で500~600グラムとなっている。また小売価格は、100グラム当たり160~190円で推移している。

漢方薬としても使われているしいたけは、食物繊維やミネラル、ビタミンB群・Dなどを豊富に含んでいる。また、ほかのきのこ類にはないエリタデニンという成分も含んでいる。エリタデニンは生理活性物質の一種で、血中コレステロールを低下させて高脂血症を予防する効果があるといわれている。

健康志向や和食回帰といった傾向の中で、低カロリーで栄養豊富なしいたけは根強い人気があり、食卓に欠かせないものとなっている。




今月の野菜「生しいたけ」 / 

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