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今月の野菜



レタスの需給動向   調査情報部

  

 サラダ用食材の代表格といえるレタスは、シャキッとした食感が魅力の野菜。原産地は、地中海沿岸から西アジアといわれ、古代ギリシャやローマでは非結球タイプのレタスが食べられていた。日本には奈良時代に、葉を下の方からかき取って食べるものが中国から伝わり、「ちしゃ」と呼ばれていた。

 現在のような結球レタスが導入されたのは、江戸時代末期のこと。第二次大戦後、アメリカ進駐軍が食べていたシーザーサラダがきっかけとなり、本格的な栽培が始まった。

 レタスには、多くの栽培種がある。形状によって、結球レタス、非結球(リーフ)レタス、半結球の立ちレタス、茎が伸び葉をかき取って食べる茎レタスなどに大別される。現在、流通の大半を占めるのは結球レタスである。

作付面積・出荷量・単収の推移

 平成26年の作付面積は、2万1300ヘクタール(前年比100.0%)と、前年と変わらない。

 上位5県では、

 ・長野県 5870ヘクタール (同 99.5%)
 ・茨城県 3710ヘクタール (同100.5%)
 ・群馬県 1280ヘクタール (同100.0%)
 ・兵庫県 1240ヘクタール (同100.8%)
 ・福岡県 1040ヘクタール (同104.6%)

となっている。

 26年の出荷量は、54万6700トン(前年比99.9%)と、前年より微減した。
上位5県では、

 ・長野県 18万9200トン (同 96.6%)
 ・茨城県 8万6000トン (同102.9%)
 ・群馬県 4万7800トン (同 94.7%)
 ・兵庫県 3万2100トン (同107.7%)
 ・長崎県 3万 100トン (同109.9%)

となっている。

 10アール当たりの収量は、群馬県の3.92トンが最も多く、次いで長崎県の3.60トン、長野県の3.29トンと続いている。全国平均(単純平均)は2.71トンとなっている。

作付けされている主な品種

 レタスは、低温伸長性や耐暑性に重きを置いた育種が行われ、栽培地域の気候条件や作型の違いに合わせた多様な品種が存在する。生産者は安定した出荷を目指し、地域の条件により適合した品種を求めて選定のための検討を重ねている。

 結球レタスを見ると、「ウィザード」「スターレイ」「ラプトル」などの品種が多く作付けされている。

 またレタスは、サラダやカット野菜としてコンビニやファストフード、レストランなどの中食・外食用の需要も多く、そうした加工・業務用レタス向けの品種も注目されている。

 そこで求められる品種の特性は、①安定した出荷が目指せること、②加工歩留まりがよいこと、③傷みにくいことなどである。ただし、これらは品種の選定のみで実現できることではなく、栽培技術などにも大きく左右される。さらに、植物工場用に特化したレタス品種も開発されている。


東京都・大阪中央卸売市場における月別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、3~5月、10~11月の春と秋は茨城産が多く、6~9月は長野産や群馬産などの高冷産地が大きなウェイトを占めている。1~2月と12月は静岡産や兵庫産、香川産、長崎産など、温暖な産地からの入荷が多い。

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、1~4月、11~12月の冬と春は兵庫産、徳島産が多い。5~10月は長野産が多く、特に6~9月は圧倒的なシェアを占めている。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場の価格(平成27年)は、1キログラム当たりで結球レタスが102~294円(年平均198円)、リーフレタスが180~607円(年平均352円)の幅で推移している。いずれも、年始の高値から徐々に値を下げた後、夏場にかけて再び値を上げる傾向にある。ただし、夏場は露地栽培が中心となるため、天候の影響によって価格の変動が大きくなりやすい。

輸入量の推移

 レタスは中食・外食などの業務用需要が強く、また低温、高温、台風などの気象の影響により、生産量が左右されやすい。平成24年、25年は、特に冬場の低温の影響を受けて国内産レタスが生育不良となり、輸入量が増加した。それ以降も、年間1万トン程度で推移している。

 種類別に見ると、そのほとんどが生鮮の結球レタスである。国別に見ると、27年の結球レタス(生鮮)では台湾が70%以上を、リーフレタスなどのその他レタス(生鮮)では米国が80%以上を占めている。

輸出量の推移

 レタスの日本からの輸出は、長野県の産地などが積極的に取り組んでおり、大半が結球レタスである。そのほとんどが台湾向けであるが、平成27年は香港、シンガポールにも輸出している。27年の国別輸出量を見ると、台湾48.3トン(結球レタス)、香港3.3トン(その他レタス)、シンガポール2.5トン(結球レタス)となっている。

消費の動向

 レタスは、サラダとしての一定の需要があり、安定した消費量を保っている。1人当たり年間購入量は、平成27年は小売価格が高かったことから前年より減少したものの、近年は2000グラム前後で推移している。結球レタスは一般家庭で消費されることが多く、リーフレタスはパック詰めサラダやサンドウィッチ、ハンバーガーなどの食材として、加工・業務用に使われることが多い。

 サラダにする際は、水分を十分に除いてから使うと水っぽくならず、ドレッシングの量も抑えられる。スープやチャーハンなどにしてもおいしく食べられるが、シャキシャキとした歯ごたえを生かすには、加熱しすぎないような手早い調理がおすすめである。

 レタスは95%が水分だが、ビタミンKや葉酸などを多く含んでいる。また、リーフレタスは結球レタスに比べて約9倍のβ-カロテン、約2倍のカリウムを含む。

 野菜売場には、さまざまな種類のレタスが並んでいるので、食感の違いを手軽に楽しんではいかがでしょうか。




今月の野菜「レタス」 

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