はくさいの原種は地中海沿岸に自生していた非結球の野生種であるが、中国に持ち込まれて育成され、11世紀ごろ現在のような形状になったといわれ、西洋のキャベツに匹敵する東洋の代表的な野菜である。
日本に昔からあると思われているが、導入されたのは明治初期で、全国に普及したのは大正時代である。品種群としては、野崎群(愛知県)、松島群(宮城県)、加賀群(石川県)の3つに分かれ、今もこのいずれかの系統から新しい品種が作られている。
はくさいは結球タイプ、半結球タイプ、非結球タイプの3つに大きく分かれるが、現在日本で流通しているのは大半が結球タイプである。中でも、頭部の葉がしっかり重なる円筒形で内側が黄色の黄芯系と呼ばれる品種が主流となっている。
26年の作付面積は、1万7800ヘクタール(前年比100.0%)と前年と変わらない。
上位5道県では、
・茨城県 3340ヘクタール (同 99.7%)
・長野県 2730ヘクタール (同 99.3%)
・北海道 725ヘクタール (同101.1%)
・群馬県 622ヘクタール (同 99.5%)
・福島県 614ヘクタール (同 98.2%)
となっている。
26年の出荷量は、73万6600トン(前年比100.8%)と前年より微増した。
上位5道県では、
・茨城県 22万3300トン (同 99.7%)
・長野県 19万7000トン (同 99.1%)
・北海道 2万7100トン (同107.5%)
・群馬県 2万3100トン (同100.4%)
・長崎県 2万1900トン (同102.8%)
となっている。
10アール当たりの収量は、長野県の8.15トンが最も多く、次いで和歌山県の7.75トン、茨城県の7.13トンと続いている。全国平均(単純平均)は5.14トンとなっている。
作付けされている主な品種
「きらぼし」「晴黄」「黄ごころ」といった黄芯系の品種が主流を占め、長野県では、高冷地で栽培される同県向けに開発された、主に6月から8月にかけて収穫される品種である「信州大福」が、茨城県では、冬から春にかけて収穫される「黄楽」などが多く作付けされている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、6月から10月は長野産が大きなウェイトを占め、11月から翌5月までは茨城産が多くを占めている。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、6月から10月は東京都中央卸売市場と同様に長野産が入荷量の多くを占め、11月から翌5月までは茨城産、愛知産、長崎産の入荷が多くなっている。
東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場の価格(平成26年)は、1キログラム当たり33~146円(年平均65円)の幅で推移している。6月下旬以降の長雨などの影響によって8月から9月に価格が上がったが、その後は安値で推移した。
輸入量の推移
はくさいの輸入量は少なく、漬物の原材料として輸入される程度であるが、その量は年による変動が大きい。平成23年に生鮮はくさいの輸入量が急増したのは、兵庫産の不作と、東日本大震災によって物流が滞ったものを漬物業者が輸入物で代用したためである。一方、冷凍はくさいは、23年の増加以降、その水準が続いている。
国別にみると、平成26年の生鮮はくさいは中国が全体の約6割を占め、冷凍も中国の独占状態となっている。
消費の動向
はくさいは、漬物、鍋物や煮物など日本の食生活に欠かせない野菜である。家計消費量は安定しているが、近年は鍋物需要が定着したことなどによって次第に増える傾向にあり、平成26年は2955グラムと、3000グラムに近づく水準となっている。