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今月の野菜 ごぼう



ごぼうの需給動向   調査情報部

  

 キク科のごぼうは、細くて長い「滝野川系」と、短くて太い「大浦系」に大きく分類されるが、主に流通しているのは、根が細くて長い滝野川系のごぼうである。主に日本で食されている野菜だが、最近では、日本向けのごぼうを生産している中国、台湾でも、健康ブームを背景に食用にされるようになっている。

 原産地はユーラシア大陸北部、ヨーロッパ、中国といわれ、平安時代に中国から薬草として伝わったとされ、宮中料理の献立にも記述が残っている。現在も「悪実わるざね」の別称で漢方薬としても知られている。

 冬場の需要にあわせた秋どりが主流を占めるが、貯蔵を経て一年中、出荷される秋どりごぼうに対して、トンネルで霜を避けながら栽培される春どりごぼうは、アクが少なく生食にも向くことから、「新ごぼう」や「サラダごぼう」と呼ばれており、香りのよさが特徴である。九州産の春ごぼうは12月頃から出荷される。

作付面積・出荷量・単収の推移

 作付面積は、25年は8570ヘクタール(前年比97.3%)と前年より微減した。上位5道県では、

 ・青森県 2360ヘクタール (同100.4%)
 ・茨城県 1090ヘクタール (同 96.5%)
 ・北海道  814ヘクタール (同 97.1%)
 ・宮崎県  645ヘクタール (同 98.0%)
 ・群馬県  491ヘクタール (同 99.4%)

となっている。

 出荷量は、25年は13万3600トン(前年比93.7%)と前年より減少した。
上位5道県では、

 ・青森県 4万6300トン (同 87.9%)
 ・茨城県 2万 200トン (同102.0%)
 ・北海道 1万6500トン (同 96.5%)
 ・宮崎県 1万0000トン (同104.7%)
 ・千葉県   7220トン (同 85.5%)

となっている。

 10アール当たりの収量は、大阪の2.62トンが最も多く、次いで北海道、青森県の2.18トンと続いている。全国平均は1.84トンとなっている。

作付けされている主な品種

 関東、東北の主要産地では、滝野川系統から生まれた早生タイプで、秋まき、春まきどちらにも対応できる柳川理想が主に栽培される。サラダごぼうと呼ばれているタイプは柳川理想をさらに早く、短いまま収穫できるようにしたものである。最近は買い物袋に入れても飛び出さないという理由で短根種の人気が高まっている。

 そのほか、関西を中心に5~6月に市場に出回る、葉を食べる葉ごぼうもある。


東京都・大阪中央卸売市場における月別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、青森産が周年で入荷しているほか、茨城産が8月から4月、群馬産が6月から10月まで入荷している。

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成26年)を見ると、冬場は北海道からの入荷が多くなり、茨城産が8月から5月、群馬産が6月から10月に入荷する。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成26年)は、1キログラム当たり197~469円(年平均314円)の幅で推移している。年末が需要期となることから12月に価格が上がる傾向がある。

輸入量の推移

 平成26年の生鮮ごぼうの輸入量は、前年比116%に増加した。25年末から26年にかけて、主要輸入先国である中国が、水害や干ばつに見舞われたことから収穫量が減少し高騰しているが、中国産ごぼうは、韓国からの需要が伸びており、台湾の他ベトナムから日本向けの輸入がみられた。

 冷凍ごぼうについては、中国からの輸入が大半を占めており、輸入量は需要先が決まっているためか、ほぼ同水準で推移している。

消費の動向

 平成26年の1人当たり年間購入量は、前年比89%と大きく減少している。ごぼうの小売価格を見ると、近年はゆるやかな上昇傾向で推移しているが、26年は前年比112%と大きく上昇している。

 近年は、サラダやチップスなど食べ方の幅が広がるとともに、腸内細菌の餌となるフラクトオリゴ糖のもとである水溶性食物繊維のイヌリンや、便秘の改善が期待できる不溶性食物繊維のヘミセルロースやリグニンが含まれていることから、機能面でも注目を集めている。

 若い女性だけでなく、便秘に悩む高齢者も増えている。腸内環境改善の第一歩として毎日の食生活にぜひ取り入れたい野菜である。

(参考)小売価格(東京都区部)の動向




今月の野菜「ごぼう」 

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