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今月の野菜 さやえんどう



さやえんどうの需給動向   調査情報部

  

 さやえんどうは、えんどうのうち、若いさやごと食べるものを指す。えんどうは、さやえんどう以外にも、若い茎芽の豆苗、未成熟の実のグリーンピース、また、完熟実のえんどう豆など、成熟するまでのステージごとにさまざまな形で食されている。

 さやえんどうの原産地は、中央アジアから中近東地域とされており、ここから東西へ伝播したと言われている。栽培の歴史は古く、古代ギリシャやローマ時代にはすでに栽培されていたが、この時代は、乾燥したえんどう豆を利用していた。

 日本への渡来時期は、700年代に中国から、えんどうが穀物として伝えられたことに始まると言われている。さやえんどうとしては、江戸時代にヨーロッパから伝えられたが、越冬栽培が難しいため、あまり普及しなかった。しかし、明治時代に入り、欧米各国から良質な品種が導入されたことで栽培が普及した。

 なお、スナップえんどうは、1970年代に米国から導入された、えんどうの一種である。

作付面積・出荷量・単収の推移

 作付面積は、25年は3110ヘクタール(前年比77.8%)と前年より減少している。上位5県では、

 ・鹿児島県 343ヘクタール (同 74.2%)
 ・福島県   286ヘクタール (同 87.7%)
 ・愛知県   142ヘクタール (同 93.4%)
 ・千葉県   135ヘクタール (同 95.1%)
 ・岩手県   104ヘクタール (同 96.3%)

となっている。

 出荷量は、25年は1万2800トン(前年比77.6%)と前年より減少している。上位5県では、

 ・鹿児島県  3480トン (同 89.0%)
 ・愛知県    1100トン (同 98.2%)
 ・福島県     885トン (同 85.1%)
 ・和歌山県   830トン (同 27.9%)
 ・熊本県     685トン (同 99.7%)

となっている。

 10アール当たりの収量は、熊本県の1.46トンが最も多く、次いで和歌山県の1.28トン、鹿児島県の1.18トンと続いている。全国平均は、0.66トンとなっている。

作付けされている主な品種

 主産地の作付品種は、極早生種で着莢ちゃくきょう性が高い「ニムラサラダスナップ」が多い。

 主産地の動向として、品種開発では、和歌山県が調製作業の省力化に資する品種として「紀州さや美人」を育成し(平成23年6月品種登録出願公表)、普及を図っている。防除技術では、北海道が平成20年から23年にかけて、道の基準で化学合成農薬としてカウントされない5剤(注)の活用によるうどんこ病の減化学農薬防除体系を構築し、道内での普及を図っている。

注:水和硫黄剤フロアブル、炭酸水素ナトリウム・銅水和剤、脂肪酸グリセリド乳剤、炭酸水素ナトリウム水溶液、バチルスズブチリス水和剤


東京都・大阪中央卸売市場における月別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成25年)を見ると、周年で国産さやえんどうが入荷している。産地ごとの入荷状況を見ると、鹿児島産は10月から翌4月まで、愛知産は11月から翌5月まで、秋冬期中心の入荷となるのに対し、福島産は5月から6月の春期、北海道産は7月から10月の夏秋期の入荷となっており、国産さやえんどうのリレー入荷体制が整っている。輸入ものについては、周年で中国産が入荷している。

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成25年)を見ると、近在産地である和歌山産の入荷が多くなっている。輸入ものについては、冬春期にタイ産が入荷しており、中国産は春期を除いた入荷となる。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成26年)は、1キログラム当たり886~2571円(年平均単価1139円)の幅で推移している。月別の推移を見ると、国内産の入荷量が減少する7月以降は上昇基調となり、国内産の入荷量が減少する8月から9月の価格が最も高くなる。鹿児島産の入荷が増える11月以降は価格が落ち着き、福島産の入荷ピークとなる6月の価格が最も安くなる。

輸入量の推移

 生鮮えんどうの輸入量は、平成19年は3746トンだったものの、同年12月から20年1月に発生した中国産冷凍ギョーザが原因と疑われる健康被害の事例を受け、20年以降は大きく減少した。その後、24年に向けて輸入量は増加傾向となったものの、25年から減少傾向に転じ、26年は669トンとなっている。冷凍えんどうは、19年の1万5612トンから減少傾向になっており、26年は1万2813トンとなっている。

 26年の輸入先国を見ると、生鮮えんどうは、主に中国(輸入量に占めるシェア81.9%)、タイ(同17.8%)から輸入しており、冷凍えんどうは、主に中国(同48.1%)、米国(同28.2%)、ニュージーランド(同20.9%)から輸入している。

消費の動向

 さやえんどうは、料理の彩りとして用いるだけではなく、油炒めやみそ汁など、主役の具材としても用いられることが多く、シャキッとした歯触りと甘みが特徴の野菜である。

 さやえんどうは、老化やがんの抑制に効果的といわれるカロテンや、強い抗酸化力により活性酸素を抑制し、脂質の酸化を防いで生活習慣病を予防する効果や、細胞の老化予防に効果があるといわれるビタミンCが豊富である。

 4月から6月は、さやえんどうが最もおいしい時期と言われている。今が旬のさやえんどうを、ぜひ召し上がっていただきたい。




今月の野菜「さやえんどう」 

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