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今月の野菜

かぶの需給動向

  

 かぶは、千葉県、埼玉県および青森県の出荷量上位3県で、全国のおよそ5割を占めている。このほかに、京都府、北海道、滋賀県、山形県などが主産地である。原産地は、中央アジアという一元説と、これにヨーロッパ西南部の海岸地帯を加えた二元説があり、日本へは、中国またはシベリア方面から伝来したとみられ、中部地方で縄文時代後期から焼畑で栽培されていたといわれるなど、最も古く伝播した野菜の一つである。「日本書紀」(720年)で栽培を勧めた記録があるほか、江戸時代には凶作時の対策として栽培が奨励されるなど、かぶは重要な食料として全国で栽培されるようになった。このため、各地の気候や土壌条件などに応じて品種が分化し、特色ある地方品種が生まれた。また、大きさ(大かぶ、中かぶ、小かぶ)や色(白かぶ、赤かぶ、青かぶ)による分け方もある。

 かぶの生育適温は、15~20度で、40度を超えると著しく生育が抑制される一方、8度以下では根の肥大が抑制される。かぶは生育温度に合わせて、は種後30日(夏秋期)~60日(秋冬期)で収穫され、寒冷紗かんれいしゃなどによる高温対策やトンネル被覆による低温対策などを行うことで、周年栽培も可能である。

作付面積・出荷量・単収の推移

 作付面積は、25年は4750ヘクタール(前年比98.3%)と微減傾向で推移している。上位5県の作付動向は、

 ・千葉県 996ヘクタール(同 97.6%)
 ・埼玉県 481ヘクタール(同101.1%)
 ・山形県 299ヘクタール(同102.4%)
 ・青森県 217ヘクタール(同 93.1%)
 ・滋賀県 192ヘクタール(同110.3%)

となっている。

 出荷量は、25年は10万8500トン(前年比98.1%)と微減傾向で推移している。上位5道府県では、

 ・千葉県 3万3300トン(同97.9%)
 ・埼玉県 1万5000トン(同96.8%)
 ・青森県   7290トン(同96.6%)
 ・京都府   4670トン(同97.3%)
 ・北海道   4290トン(同89.7%)

となっている。

 10アール当たり収量については、青森県の3.82トンが最も多く、次いで千葉県および埼玉県の3.59トンと続いている。なお、全国平均は2.79トンとなっている。

主な品種と栽培方法

 かぶは、家庭で一般的に用いられる小かぶは、極早生種の玉里が多く、千枚漬けなどの加工用に用いられる大かぶは、早生種の京千舞が多く作付けされている。

 生産量第1位の千葉県は、夏どり栽培における高温対策による単収増加とキスジノミハムシ食害防止を両立させるため、0.4ミリメートル防虫ネットの上に既存の遮光資材(ダイオネット)を展帳することによる効果を実証し、その成果を県内のかぶ産地に普及するとともに、県のホームページなどを通して、全国に公表している。


東京都・大阪中央卸売市場における月別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成25年)を見ると、10月から6月が主な入荷時期となっており、周年で千葉県産が大半を占めている中、埼玉県産も入荷している。千葉県産の入荷量が減少する6月から10月は、青森県産の入荷量が増加している。

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成25年)を見ると、12月を最盛期に11月から3月の間が主な入荷時期となっている。徳島県産、福岡県産、石川県産の3県で年間入荷量の大半を占めている。入荷量の少ない4月から5月は千葉県産、6月から10月は青森県産が入荷している。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成25年)は、1キログラム当たり107~177円(年平均単価138円)の幅で推移している。直近3年間の価格の推移を見ると、天候などの影響を受けるものの、気温の高くなる夏期は、生育が抑制され入荷量が減少する7月以降、上昇基調となる。10月以降は気温が下がり、入荷量が増加することから、価格は下降基調となり、出荷が安定する6月ごろまで価格は安定して推移している。

消費の動向

 かぶは、「すずな」と呼ばれる春の七草のひとつで、同様に「すずしろ」と呼ばれるだいこんと共に、古くから日本で食されている。また、地方品種が多いことから、形や大きさが地方によってさまざまであるが、現在は小かぶが主力品種となっている。かぶは、浅漬けやみそ汁など和食のほかに、洋食では煮込み料理やスープなどに利用されている。だいこん同様に、かぶには、消化を促進するジアスターゼが含まれているが、熱に弱いため、サラダなど生で食した方がよい。その他に、葉酸やカリウムも多く含まれており、特に葉酸は、胎児の発育には必要不可欠な栄養素とされている。また、葉も栄養価が高く、カロテンの他に、ビタミンCも多く含まれており、だいこん同様に、寒さで甘みののったこの時期のかぶを、葉も捨てずに食したいものである。




今月の野菜「かぶ」 

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