れんこんは、出荷量第1位の茨城県が、全国の5割を占めている。このほかに、徳島県、佐賀県、愛知県、山口県などが主産地である。れんこんは、中国が原産で日本へは観賞用として1500年前に、食用としては、鎌倉時代に中国から伝えられたといわれている。本格的に栽培されるようになったのは、明治以降で、現在のような栽培様式になったのは、大正初期になってからであった。
れんこんの種類は、食用にする地下茎の形状により、中国種と在来種に分かれる。中国種は、地下茎が浅く伸び、節間が短く太いのに対し、在来種は、地下茎が深く伸び、節間が長くややほっそりしている。
現在、日本に流通しているれんこんのほとんどは、中国種を品種改良したものである。
れんこんの生育適温は、25~30度と高温を好み、生育には15度以上の温度を確保する必要があるが、露地、トンネル、ハウス栽培などにより、周年で出荷される。
作付面積は、25年は3960ヘクタール(前年比99.0%)と微減傾向で推移している。上位5県では、
・茨城県 1630ヘクタール(同 99.4%)
・徳島県 529ヘクタール(同100.4%)
・佐賀県 337ヘクタール(同105.3%)
・愛知県 302ヘクタール(同 95.9%)
・山口県 223ヘクタール(同 97.8%)
となっている。
出荷量は、25年は5万3000トン(前年比101.7%)と作付面積が微減傾向の中、増加傾向で推移している。上位5県では、
・茨城県 2万6500トン(同100.4%)
・徳島県 6480トン(同108.0%)
・佐賀県 3760トン(同112.9%)
・愛知県 3500トン(同106.1%)
・山口県 2820トン(同 97.9%)
となっている。
10アール当たり収量については、茨城県の1.88トンが最も多く、次いで岡山県の1.72トンと続いている。なお、全国平均は1.60トンとなっている。
れんこんは、関東地方を中心に普及している金澄(かねすみ)20号、晩生種の備中、ハウス用品種であるロータスなどの中国種が全国的に作付けされている。
出荷量第2位の徳島県は、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)による食害に対処するため、平成24年度新技術導入広域推進事業(国庫事業)を活用して確立した、市販のカニ籠を使用した駆除技術の普及活動をしており、その成果は、農林水産省のホームページなどを通して、全国に公表されている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成25年)を見ると、周年で茨城県産が入荷しており、露地栽培の収穫が始まる8月から入荷量が増加する。特に冬期に需要が大きくなることから、12月が最盛期となり、5月まで入荷が続く。6月から7月はハウス栽培ものが入荷するほか、徳島県産や熊本県産なども入荷する。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成25年)を見ると、入荷量に差があるものの、東京都中央卸売市場同様、12月を最盛期に、9月から5月の間が主な入荷時期となっており、徳島県産を主体に、茨城県産、佐賀県産などが入荷している。
東京都中央卸売市場における価格の推移
国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成25年)は、1キログラム当たり259~695円(年平均単価400円)の幅で推移している。直近3年間の価格の推移を見ると、天候などの影響を受けるものの、収穫が始まり、入荷量が増加する8月以降、下落基調となる。12月は正月需要で上昇するものの、その後は5月ごろまで安定した価格となる。6月から7月は、ハウスやトンネル栽培の促成ものが収穫されるが、全体的に入荷量が減少することから価格が上昇する。
輸入量の推移
れんこんの輸入量は、国産の出荷量の増減に連動した動きとなっているが、残留農薬に関するポジティブリスト制度の施行などより、平成18年をピークに減少傾向で推移している。
生鮮れんこんは、18年と比較して、25年は837トン減の360トンとなった。冷凍れんこんは、主に業務用に利用されており、18年と比較して、25年は402トン減の467トンとなった。塩蔵等れんこんは、主に水煮などに加工され利用されており、18年と比較して、25年は4480トン減の6545トンとなった。
生鮮れんこんと冷凍れんこんの輸入は、ほぼ全量が中国からとなっている。塩蔵等れんこんも、中国6545トン(輸入に占めるシェア99.7%)、ベトナム19トン(同0.3%)と、大部分が中国から輸入されている。
消費の動向
れんこんは、しゃきしゃきとした独特な歯応えが特徴で、穴から先が見通せることから、縁起物として正月料理などの伝統料理には欠かせない野菜として、根強い需要がある。1人当たりの年間購入量は、増加傾向にあり、平成18年の379グラムから25年は515グラムとなっている。最近では、れんこんに含まれるポリフェノールの抗アレルギー作用などが注目されていることから、購入量の増加につながっているとみられる。
れんこんは、鶏肉やさといもなどと一緒に煮込んだ煮物や炒め物、きんぴらなどのほか、すりおろしてひき肉と混ぜて、団子にしたりと、さまざまな料理で食されている。また、加熱時間を短くすると歯応えが残り、しっかり火を通すとホクホク感が増すので、料理によって食感を楽しむことができる。
旬を迎えたこの時期、正月料理以外でも、さまざまな料理で食したいものである。