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今月の野菜

しゅんぎくの需給動向

  

 しゅんぎくは、千葉県、大阪府、茨城県および群馬県の出荷量上位4府県で、全国のおよそ5割を占めている。このほかに、福岡県、兵庫県および栃木県が主産地である。しゅんぎくは、地中海沿岸が原産といわれており、欧州で観賞用として栽培されていた「ハナゾノシュンギク」が東アジアで野菜用に改良されたものと考えられている。日本には、室町時代に中国経由で渡来し、江戸時代末期頃に西日本を中心に栽培されるようになり、第二次世界大戦後には関東地方にも普及した。

 しゅんぎくの種類は、葉の大きさや切れ込み方によって、大葉種、中葉種、小葉種に大別され、さらに中葉種は株の形状により、株立ち型と株張り型に分かれている。大葉は、葉が大きく、切れ込みが浅く丸い形が特徴で、四国・九州地方を中心に出回っている。株立ち中葉は、茎が立ち上がって分枝し、伸長した茎を摘み取るもので、関東を中心に出回っている。株張り中葉は、茎が立ち上がらず、株が根元から横に張って生育するもので、主に関西地方で出回っている。

 しゅんぎくの生育適温は、15~20度と比較的冷涼な気候を好むが、5度以下になると生育が鈍くなるため、トンネルや施設栽培などによる低温対策を施しながら、周年で出荷される。

作付面積・出荷量・単収の推移

 作付面積は減少傾向で推移しており、24年は2070ヘクタール(前年比96.3%、80ヘクタール減)となっている。主産地の作付動向は、群馬県133ヘクタール(同93.0%、10ヘクタール減)、兵庫県125ヘクタール(同92.6%、10ヘクタール減)、福島県81ヘクタール(同88.0%、11ヘクタール減)と減少している。また、主産地以外の産地でも、1041ヘクタール(同97.2%、30ヘクタール減)と前年に比べ減少している。

 出荷量は、24年は2万5500トン(前年比94.4%、1500トン減)と作付面積同様、減少傾向で推移している。主産地のうち、栃木県は1240トン(同101.6%、20トン増)と増加したものの、群馬県1920トン(同88.1%、260トン減)、大阪府3710トン(同95.6%、170トン減)と減少している。主産地以外の産地も9490トン(同92.1%、810トン減)と減少している。

 10アール当たり収量については、栃木県の2.43トンが最も多く、次いで千葉県の2.34トンと続き、主産県は、総じて全国平均(1.54トン)より多くなっている。

作付されている主な品種

 しゅんぎくは、多くの産地で10月から順次出荷が始まるため、は種期は台風や秋雨前線の影響を受け、多湿条件下になる9月以降となる。べと病の菌が繁殖しやすい、低温多湿条件下での栽培となることから、各産地ともべと病への抵抗性品種である、早生種の「さとゆたか」が全国的に作付けされている。

 しゅんぎくは、登録農薬が他の品目より少なく、葉を食害するマメハモグリバエの防除などが課題となっている。主産地の大阪府では、平成5年に海外から侵入したマメハモグリバエによる食害により、ハウス栽培で大きな被害を受けたが、その後、ハウス内の太陽熱消毒による防除技術が確立された。また、25年には、地方独立行政法人大阪府立環境農業水産総合研究所が、しゅんぎくの下葉の枯れや腐敗の原因を究明し、「シュンギク苗腐敗病」と命名するなど、研究が活発に行われ、その結果は全国に発信されている。


東京都・大阪中央卸売市場における月別入荷実績

 東京都中央卸売市場のしゅんぎくの月別入荷実績(平成25年)を見ると、周年で出回るものの、冬場に需要が大きくなることから、12月を最盛期に、10月から3月の間が主な入荷時期となる。出荷量全国第1位の千葉県産を主体に、栃木県産、群馬県産、茨城県産など関東近県のほか、夏場は冷涼な気候の青森県産、岩手県産も入荷している。

 大阪中央卸売市場のしゅんぎくの月別入荷実績(平成25年)を見ると、東京都中央卸売市場同様、12月を最盛期に、10月から3月の間が主な入荷時期となっており、関西の主産地である大阪府産を中心に、和歌山県産、福岡県産のほか、滋賀県産、京都府産が入荷している。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成25年)は、キログラム当たり347~1562円(年平均単価749円)の幅で推移している。直近3年間の価格の推移を見ると、天候などの影響を受けるものの、いずれの年も、入荷量が増加する10月から下降するが、12月には鍋物需要で上昇するものの、その後は下降基調となり、3月ごろには、最安値となる。7月以降は、需要の減少などに伴い、入荷量は減少し、再び価格は高値基調となる。

消費の動向

 しゅんぎくは独特な香りが特徴で、鍋料理には欠かせない野菜として、根強い需要がある。関西で栽培されているものは、きく菜と呼ばれており、あくが少なく葉が柔らかいことから、サラダとしても生食されている。

 しゅんぎくには、体内で発生する活性酸素から体を守るといわれるβカロテンのほか、カルシウムやカリウムなども多く含まれている。鍋料理の他に、すき焼き、おひたし、ごまあえやてんぷらなどで食され、風邪などで体調を崩しやすいこの時期に、旬の野菜で栄養補給し、寒い冬を乗り切りたいものである。




今月の野菜「しゅんぎく」 

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