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今月の野菜

かんしょの需給動向

  

 かんしょは、鹿児島県、茨城県および千葉県の収穫量上位3県で、全国のおよそ7割を占めている。このほかに、宮崎県、徳島県などが主産地である。かんしょは、中央アメリカが原産で、日本へは、17世紀初めに中国から沖縄に伝来した。その後、薩摩藩(現在の鹿児島県)を中心とした九州南部に広まった。18世紀には、蘭学者の青木昆陽が、飢饉ききん対策として全国に普及させた。

 かんしょは、発芽および発根温度が16度以上と、高温を好む野菜であり、9度以下になると冷害になるが、35度以上になると生育が減退する。また、乾燥に強いことから、夏の土壌乾燥にも影響を受けにくいが、定植時の乾燥は活着不良を招く。一方で多湿には弱いため、水はけの良いほ場を選定することが不可欠となっている。

作付面積・収穫量・単収の推移

 かんしょの作付面積は、平成21年から減少傾向にあり、25年は3万8600ヘクタール(前年比99.5%)となっている。主産地の作付動向は、鹿児島県1万3700ヘクタール(同99.3%、100ヘクタール減)、千葉県4440ヘクタール(97.8%、100ヘクタール減)と微減傾向だが、宮崎県では3440ヘクタール(同107.5%、240ヘクタール増)と、増加している。また、主産地以外の産地では、7333ヘクタール(同97.6%、177ヘクタール減)となっている。

 収穫量は、25年は94万2300トン(前年比107.6%、6万6400トン増)となっている。主産地の出荷動向は、千葉県11万100トン(前年比92.9%、8400トン減)と減少する中、鹿児島県37万4000トン(同116.8%、5万3800トン増)、宮崎県9万3900トン(同119.8%、1万5500トン増)と大きく増加している。また、主産地以外の産地では、11万8700トン(同105.6%、6300トン増)となっている。

 10アール当たり収量については、宮崎県および鹿児島県の2.73トンが最も多く、次いで茨城県の2.71トンと続いている。全国平均は、2.44トンとなっている。

作付されている主な品種

 主な品種を見ると、サツマイモネコブセンチュウや立枯病といった病害虫に対する抵抗性があり、いもの形状が優れた「紅はるか」の作付けが多い。

 かんしょは、うね立てとマルチングなどのほ場準備後、10アール当たり3000~4000本の挿苗作業を行うなど、挿苗までの作業が多い。また、中耕・除草やマルチ除去など、労力のかかる管理作業も多いことから、ほ場準備から収穫作業までの機械化体系が構築されてきた。近年では、これまで手作業であった挿苗作業における半自動挿苗機の導入や、マルチ除去時の回収機の導入などにより、一層の機械化体系が構築されている。


東京都・大阪中央卸売市場における月別入荷実績

 東京都中央卸売市場のかんしょの月別県別入荷実績(平成25年)を見ると、千葉県産および茨城県産の入荷が主体となっている。また、入荷量は少ないものの、ほぼ周年で徳島県産、鹿児島県産が、入荷量の少ない6~7月ごろは、香川県産や高知県産なども入荷される。

 大阪中央卸売市場のかんしょの月別県別入荷実績(平成25年)を見ると、関東の茨城県産と近在ものの徳島県産が周年で入荷している。その他に、宮崎県産、千葉県産、大分県産などが入荷しており、入荷量の少ない6~7月は、宮崎県産の入荷が多くなる。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成25年)は、キログラム当たり140~193円(年平均単価167円)で推移している。年別の価格の推移を見ると、天候などの影響を受けるものの、早掘りの始まる8月以降は、入荷量が増えることから、価格は下落する。年明け以降は貯蔵ものの入荷となり、4月以降は入荷量が減少することから、価格は上昇する。

輸入量の推移

 生鮮・乾燥かんしょの輸入量は、平成18年は2万3325トンあったものの、同年にポジティブリスト制度が施行されたため、19年以降は減少傾向で推移している。22年から24年は、国内の収穫量が天候不順などにより減少したことなどから、輸入量は増加したが、25年には国内の収穫量が増加したことから、1万2853トンと再び減少した。

 冷凍かんしょの輸入量は、18年から20年は2000トン前後で推移していたが、21年以降は増加傾向となり、25年には20年と比較しておよそ6倍の1万2436トンとなった。

 平成25年の輸入量を国別で見ると、生鮮・乾燥かんしょは、中国1万2798トン(輸入量に占めるシェア99.6%)のほかに、フィリピンからも輸入されている。冷凍かんしょは、中国6298トン(同50.6%)、ベトナム3420トン(同27.5%)、インドネシア2718トン(同21.9%)から輸入されている。

 

輸出量の推移

 生鮮・乾燥かんしょの輸出量は、増加傾向で推移しており、平成23年は東日本大震災の影響から減少したものの、24年には増加に転じ、25年は1029万トンと大きくに増加した。主に香港向けが増加しており、25年は前年比で171%となったほか、新たにマレーシアへ97トン輸出された。宮崎県のJA串間市大束では、15年から香港への輸出を開始。現在では、台湾やシンガポールなどにも輸出しており、25年は約380トンをアジアへ輸出した。

 

消費の動向

 かんしょの購入量は、食味の良い品種が開発されたことで安定しており、年間1000グラム前後で推移している。かんしょの主成分はエネルギー源となるでん粉で、ビタミンやミネラル、食物繊維も多く含まれている。ビタミンは、しみやそばかすを抑制するビタミンCや、強い抗酸化機能を発揮して老化を防止するビタミンEなどを含んでいる。特にビタミンCについては、熱に弱い性質を持つが、かんしょの場合は加熱によって糊化されたでん粉が、膜となってその消失を防いでいる。また、余分なナトリウムの排せつを促し、むくみの解消や高血圧予防に有効とされるカリウムや、鉄や銅などのミネラルも多く含む。そのほか、切り口から出る白い液体成分「ヤラピン」は、食物繊維とともに便秘解消の効果がある。紫色のかんしょは、健康にいいとされるアントシアニン色素を多く含んでおり、栄養豊富な機能性食品のひとつとして、利用したいものである。






今月の野菜「かんしょ」 

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