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今月の野菜

すいかの需給動向

  

 すいかは、熊本県、千葉県および山形県の出荷量上位3県で、全国のおよそ4割を占めている。このほかに、鳥取県、長野県、新潟県および茨城県が主産地である。すいかは、南アフリカが原産といわれ、日本へは、16世紀にポルトガル人によって伝えられたとされているが、室町時代の僧である義堂周信の著作「空華集」に、すいかの詩らしきものが登場しているなど、渡来時期は定かではない。その後は、江戸時代中期以降に、換金作物として栽培されるようになり、全国に広まった。

 すいかの生育適温は、25~30度程度で高温を好む。乾燥にも比較的強いが、低温条件下(13度以下)では生育が鈍くなり、裂果することもある。すいかは、土壌病害リスクを回避し、低温伸長性を高めることを目的として、かんぴょうを台木にした接木苗の利用が主流となっている。すいかの作型は、ハウス、トンネル、露地および抑制に大きく分類され、春~冬まで各産地より出荷されている。

作付面積・出荷量・単収の推移

 すいかの作付面積は、年々、減少傾向となっており、24年は1万1300ヘクタール(前年比99.1%、100ヘクタール減)となっている。主産地の作付動向は、熊本県1560ヘクタール(同97.5%、40ヘクタール減)、千葉県1150ヘクタール(97.5%、30ヘクタール減)と微減傾向だが、新潟県621ヘクタール(同103.8%、23ヘクタール増)、茨城県468ヘクタール(同101.5%、7ヘクタール増)と、微増の産地もある。また、主産地以外の産地では、5639ヘクタール(同99.4%、124ヘクタール減)となっている。

 出荷量は、作付面積の減少に伴い減少しているが、24年は31万6200トン(前年比102.3%、7000トン増)となっている。主産地の出荷動向は、鳥取県2万300トン(同111.5%、2100トン増)、新潟県1万7700トン(同118.0%、2700トン増)と増加しているが、熊本県は高齢化などによる作付面積の減少により、5万2500トン(同94.4%、3100トン減)となっている。主産地以外の産地は11万9700トン(同104.5%、5200トン増)と増加している。

 10アール当たり収量については、長野県の5.32トンが最も多く、次いで鳥取県の5.25トンなど、主産県の単収が高い。全国平均は、3.28トンとなっている。

作付されている主な品種

 主な品種を見ると、大玉品種で食味の良い「祭りばやし」系統の品種が多く、既存の祭りばやしだけでなく、気象条件や作型により、低温寡日照の影響が少ない777(スリーセブン)、777より熟期が2日程度長いが耐暑性がある11(イレブン)などがある。また、ハウス栽培に適した「春のだんらん」の作付けも多い。各主産県の主な作付品種は大玉系であるが、小玉系の作付けもされており、主な品種は、低温条件下でも生育が良い「ひとりじめ」系統である。

 すいかは夏に向けた出荷が盛んに行われているが、千葉県では、消費者のニーズに対応すべく、10月の小玉系ハウスどり技術の開発を行った。既存の作型では低温期の育苗で、高温期に向かった生育ステージになるが、10月どりのポイントは、高温期の育苗で、低温期に向かった生育ステージとなる。特には種が8月中旬のため、育苗の高温対策が重要となること、また、果実肥大初期の温度確保対策として、9月中旬までに受粉を行うことなどがあげられる。


東京都・大阪中央卸売市場における月別入荷実績

 東京都中央卸売市場のすいかの月別県別入荷実績(平成25年)を見ると、夏を代表する果実的野菜であるため、6月から8月にかけて入荷が集中している。4月のハウス栽培ものの入荷に始まり、トンネル栽培、露地栽培ものが順次入荷されている。産地別に見ると、4月の熊本県産の入荷に始まり、6月の千葉県産、7月は山形県産、新潟県産、8月は長野県産、秋田県産と、リレー出荷されている。

 大阪中央卸売市場のすいかの月別県別入荷実績(平成25年)を見ると、東京都中央卸売市場と同様に、入荷量に違いがあるものの、6月から8月にかけて入荷が集中している。4月の熊本県産の入荷に始まり、鳥取県産、石川県産の入荷が多く、7月以降は、山形県産、秋田県産、長野県産などが入荷されている。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成25年)は、キログラム当たり167~314円(年平均単価227円)の幅で推移している。年別の価格の推移を見ると、天候などの影響を受けるものの、ハウス栽培ものの出荷が始まる4月から下降基調となり、露地栽培ものの出荷がピークを迎える8月には最安値となる。低温条件下での生育は鈍くなるため、気温が低下する10月以降は、品薄となることから、再び価格は高値基調となる。

輸入量の推移

 生鮮すいかの輸入量は、平成17年以降は、500トン未満と低迷しているが、23年は3055トンと大きく増加し、25年は1133トンとなった。23年に輸入量が増えた要因は、日本国内の猛暑などの影響により、国内産の出荷量が減少したことによるものと思われる。

 冷凍すいかの輸入量は、18年には39トンであったが、同年の残留農薬などに関するポジティブリスト制度の施行などにより大きく減少し、22年は8トンまで落ち込み、25年は22年比6トン増の14トンとなった。

 平成25年の輸入量を国別で見ると、生鮮すいかは、米国776トン(輸入量に占めるシェア68.5%)、メキシコ292トン(同25.8%)のほかに、韓国からも輸入されている。冷凍すいかは、業務用にカットされたものであり、ほぼ全量タイから輸入されている。

 

輸出量の推移

 国内生産量が減少している中で、生鮮すいかは、鳥取県や福井県などから輸出されている。少量ではあるがロシアへの輸出量が増加しており、その他に、香港、台湾などにも仕向けられている。

 

消費の動向

 すいかは、その歯ごたえとみずみずしさから、夏定番の果実的野菜であり、1人当たりの年間購入量は、およそ1400グラム前後で推移している。すいかは、英名で「ウォーターメロン」と呼ばれ、水分を多く含む。1玉中の水分含量は、約9割であることから、体を冷やす作用があり、夏場の熱中症予防や解熱などに効果がある。また、美肌効果が高いと言われるシトルリンが含まれているとともに、抗酸化力が高いリコピンや肌の老化防止に役立つβ-カロテンなども含まれており、美容にも良い。
 生育温度帯が高く、本来は夏の果実的野菜であるすいかだが、熊本県のハウス栽培などにより、周年で供給されるようになっている。
 すいかの消費量は、果物消費の多様化などにより減少傾向にあり、また、長雨や冷夏が続くと消費が伸び悩むと言われている。最近では、カットされた状態で販売されることが多く、昔に比べ消費者も求めやすくなっている。夏の限定商品として、ジュースや菓子などへの利用が浸透するなど、生食以外の用途も広がっている。





今月の野菜「すいか」 

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