キャベツは、愛知県、群馬県および千葉県の出荷量上位3県で、全国のおよそ5割を占めている。このほかに、茨城県、神奈川県、長野県および鹿児島県が主産地である。キャベツは、ヨーロッパ地中海・大西洋沿岸が原産で、もともとの野生種は、青汁の原料にも使われるケールのような非結球タイプのものである。これをケルト人がヨーロッパ各地に広め、その過程で花を食べるブロッコリーやカリフラワー、わき芽を食べる芽キャベツ等に分化し、現在のような結球タイプのキャベツが生まれた。食用としてのキャベツが日本に渡来したのは、江戸時代末期である。
キャベツの生育適温は、15~20度程度で低温に強く、全国で露地栽培されており、出荷時期によって春キャベツ、夏秋キャベツ、冬キャベツと大きく3つに分類される。キャベツは、比較的冷涼な気候を好むことから、産地は春から夏にかけては北上し、秋から冬にかけては、再び南下する。産地リレーによる出荷や作型により、周年で供給されている。
キャベツの作付面積は微増で推移しており、平成24年は3万4100ヘクタール(前年比101.2%、400ヘクタール増)となっている。主産地では、愛知県(同103.5%、190ヘクタール増)、群馬県(同102.2%、80ヘクタール増)、鹿児島県(同105.1%、80ヘクタール増)、長野県(同100.7%、10ヘクタール増)で作付面積が増加している。多くの産地が増加しているなか、千葉県と神奈川県は、それぞれ、30ヘクタール、20ヘクタールと減少しているが、最近では、ほぼ横ばいで推移している。作付面積が増加している背景には、キャベツの消費量が増加していることが影響しているもと思われる。
出荷量は、126万5000トン(前年比104.6%、5万6000トン増)となっている。主産地の愛知県(同115.0%、3万2300トン増)、群馬県(同106.4%、1万3600トン増)、鹿児島県(同107.5%、3700トン増)、長野県(同106.2%、3500トン増)は増加しているが、千葉県、神奈川県等では、作付面積の減少に伴い、出荷量が減少した。
10アール当たり収量については、群馬県が6.98トンと最も高収量である。2位の神奈川県以下から全国平均まで、4.75トンから4.23トンとなっている。冷涼な気候を生かした、夏秋キャベツの生産量日本一である群馬県の単収の高さがうかがえる。
主なキャベツの品種は、春系が金系201、寒玉系が冬のぼり、彩音などとなっている。生育速度から見ると、春系は極早生~中早生、寒玉系は中早生~晩生となっており、生育速度の速い春系は、柔らかく生食に向いているのに対し、生育速度の遅い寒玉系は、しっかり結球し、じっくりを甘みを蓄えているのが特徴である。歩留まりを重視する加工業務向けは、しっかり結球して重量のある寒玉系が適している。また、各品種とも、連作による萎黄病抵抗性を持った品種が多いのもキャベツ品種の特徴である。
関東地方では、4~5月どりでは春系が主であったが、近年高まっている加工業務用需要に対して、主産地である千葉県や神奈川県を中心に、春どりの寒玉系品種の栽培試験等が活発に行われている。
東京都中央卸売市場のキャベツの月別県別入荷実績(平成24年)を見ると、春キャベツは、4~6月に、神奈川県産、千葉県産や茨城県産の関東近在産地が入荷されている。夏秋キャベツは、7~10月に冷涼な気候の群馬県産のほかに、岩手県産が入荷し、11月から翌4月は寒玉系の冬キャベツとなり、千葉県産、愛知県産が入荷されている。このように、キャベツは産地リレーにより、周年供給されている。
大阪中央卸売市場においても、東京都中央卸売市場と同様に、キャベツは産地リレーにより、周年供給されている。キャベツの月別県別入荷実績(平成24年)を見ると、春キャベツは、4~6月に、兵庫県産、茨城県産や福岡県産などが入荷されている。夏秋キャベツは、7~10月に冷涼な気候の長野県産や群馬県産が入荷し、11月から翌4月は寒玉系の冬キャベツとなり、愛知県産のほかに、大阪府産、兵庫県産や和歌山県産などから入荷されている。
東京都中央卸売市場における価格の推移
国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成25年)は、キログラム当たり61~140円(年平均単価98円)の幅で推移している。年別の価格の推移を見ると、春キャベツの入荷が始まる4月以降に下がり始め、夏秋キャベツから冬キャベツに切り替わる11月に上昇する。
なお、平成25年の6月以降の高値水準については、5月上旬からの少雨と6月下旬の曇雨天などの天候不順の影響により生育停滞となり、葉茎菜類のキャベツは、結球、肥大が進まず、入荷量が少なかったことによるものである。11月以降の高値は、10月の台風による影響などによるものである。このことから、キャベツは家庭用および業務用の代表的な野菜であることから、天候不順等により卸売価格は大きな影響を受ける。
輸入量の推移
キャベツ等あぶらな属の輸入量は、平成18年の残留農薬等に関するポジティブリスト制度の施行により、平成17年の6万8725トンから大きく減少し、20年は、6万1841トン減の6,884トンとなった。その後は、年々輸入量が増加し、24年は、2万8101トン増の3万3964トンとなったが、25年には3,628トン減の3万746トンとなった。
冷凍キャベツは、平成25年には169トン輸入されており、23年と比較して90トンの減となった。19年には、299トンの輸入量があったが、減少傾向となっている。生鮮、冷凍ともに主に加工原料用として輸入されている。
平成25年のキャベツ等あぶらな属の輸入量のうち、結球キャベツを国別で見てみると、中国2万7732トン(輸入量に占めるシェア90.4%)、韓国2,165トン(同7.1%)、台湾777トン(同2.5%)となっている。冷凍キャベツは、中国159トン(輸入量に占めるシェア94.0%)、ベルギー10トン(同5.7%)などから輸入されている。
消費の動向
キャベツは、野菜炒めや焼きそばなどの炒めもの、ロールキャベツやポトフなどの煮物、サラダなど、さまざまな料理に幅広く使用されている。日本人の好きな定番食材であり、1人当たりの年間購入量は、およそ6,000グラムで推移している。キャベツの特徴は、胃腸に効くとされるビタミンUが多く含まれるとともに、ビタミンCやカルシウム、食物繊維が含まれることがあげられる。ビタミンUはアミノ酸の一種で、キャベツから発見され、主に胃腸薬に使われている。