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今月の野菜

ブロッコリーの需給動向

作付面積・出荷量の推移

  

 ブロッコリーは、北海道、愛知県、埼玉県および香川県で、全国の出荷量のおよそ5割を占めている。このほかに、長野県、長崎県、徳島県、鳥取県などが主産地である。ブロッコリーは、生育適温が18~20度で冷涼な気候を好む野菜であることから、夏でも冷涼な気象条件である、北海道、東北北部および長野県が7~10月に出荷しており、東北南部以南の産地は、高温期を避けて10~6月の出荷となっている。

 ブロッコリーは、出荷時期により大きく、春作(3~6月)、夏作(7~9月)、秋冬作(10~2月)の作型に区分されている。春作は埼玉県(主な出荷時期:10~6月)、愛知県(11~5月)、および香川県(12~5月)、夏作は北海道(7~10月)および長野県(6~10月)、秋冬作は埼玉県、愛知県および長崎県(10~6月)が主要な産地である。なお、秋冬作と春作は、連続して作付けを行う産地が多い。

作付面積・出荷量・単収の推移

 平成23年の作付面積は、1万3400ヘクタールと前年同となっている。各産地の作付動向は、福島県は東日本大震災の影響により、167ヘクタール(前年比75.4%)減少し、その他に、長野県(同93.4%、54ヘクタール減)などで作付面積が減少している。北海道は、十勝地方では畑作4品目の輪作体系に組み込まれていて、大きく増減するものの、旭川、札幌近郊を中心に増加していることから、70ヘクタール(同102.9%)増加し、その他に、香川県(同110.0%、70ヘクタール増)、鳥取県(同110.0%、64ヘクタール増)、徳島県(同108.3%、39ヘクタール増)、長崎県(106.0%、32ヘクタール増)などで作付面積が増加となっている。

 出荷量は、11万5300トン(前年比101.0%、1,100トン増)となっている。各地の状況は、秋冬作および春作の産地は、福島県(同79.7%、930トン減)、埼玉県(同93.9%、800トン減)、鳥取県(同87.4%、520トン減)、群馬県(91.8%、410トン減)は減少したが、香川県(同116.7%、1,080トン増)、徳島県(同108.0%、360トン増)などで増加となっている。夏作の産地は、長野県(同97.4%、170トン減)は減少したが、北海道(同112.4%、2,200トン増)が大きく増加している。

 平成22年は、2月の低温、多雨や夏場の高温の影響などから、出荷量は前年比で1万600トンの減少となった。平成23年は、夏場の高温や9月の台風の影響などがあったが、出荷量は前年比で1,100トンの増加となった。このうち、北海道は、2,200トンと大きく増加した。

 10アール当たり収量については、大阪府が1.99トンと最も高収量で、愛知県が1.58トンで続き、全国平均では0.97トンとなっている。主産地では、北海道の単収が0.86トンとなっている。

 これは、他産地と比較して北海道は大面積のため、土寄せなどの作業で乗用管理機などの機械化が進んでいることから、うね間が広くとられており、他産地と比較して、栽植本数が少ないためである。また、愛知県などの秋冬および春作産地では、共同育苗施設の整備によるセルトレー育苗、自動移植機を導入するなど、省力化により作付面積の拡大を図ってきた。ブロッコリーは、天候により、一度に収穫期を迎えてしまうことから、早生種、中早生種、中生種および晩生種の使い分けを行うとともに、段播き(収穫期に幅を持たせるため、播種日をずらすこと)や、ほ場ごとに定植密度を変えることなどにより、収穫期を分散させ、長期出荷を行うことで、収穫遅れによるほ場廃棄を防いでいる。また、厳冬期に生育する1~2月収穫ものについては、マルチによる地温確保や、不織布のベタがけによる保温対策により、低温障害を回避し、ロス率の低減を図っている。埼玉県などでは、早くから、大型トンネル栽培と、厚手の不織布を浮き掛けする換気省力化の技術を導入することにより、3~4月収穫ものの収穫量を向上させている。

 出荷量全国第1位の北海道は、低温および降雪のため、厳冬期に作業ができないことから、夏作に特化した産地である。栽培期間が限られていることから、早生種中心の栽培となるが、夏作を、春播き作と初夏播き作の2作型に細分化することにより、分散収穫による長期出荷を行っている。ブロッコリーは、高温条件下での輸送が、品質を劣化させる要因となることから、北海道、香川県、長崎県などでは、氷詰め出荷が行われている。また、その他の産地でも、劣化対策として、真空予冷処理やコールドチェーン、鮮度保持包装資材の導入を行うなど、収穫後のロス率軽減対策を行っている。

作付されている主な品種

 春作および夏作は早生種中心、秋冬作は早生種から晩生種をリレー作付されている。このため、夏作の北海道は早生種が中心で、愛知県などでは、早生種から晩生種までバランス良く作付されている。品種は、「おはよう」が多く作付されている。


東京都・大阪中央卸売市場における月別入荷実績

 東京都中央卸売市場のブロッコリーの月別入荷実績(平成24年)を見ると、通年で安定した入荷となっており、季節に応じて、秋冬作と春作は、主に愛知県産、埼玉県産、夏作は、北海道産、長野県産が多く入荷している。10月から5月は埼玉県産、11月から5月は愛知県産、香川県産、7月から10月は北海道産、6月から10月は長野県産が入荷している。海外からは、年間を通じて米国産が輸入されている。

 大阪中央卸売市場のブロッコリーの月別入荷実績(平成24年)を見ると、東京都中央卸売市場同様に、通年で安定的に入荷している。東京と比較すると、入荷量に差があるものの、季節に応じて、徳島県産、長野県産、北海道産、鳥取県産などが入荷している。米国産も、通年で入荷しているが、月別で見ると、米国産の占める割合は、東京都中央卸売市場に比較して多くなっている。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 国内産の東京都中央卸売市場の価格(平成24年)は、キログラム当たり272~462円(年平均単価364円)の幅で推移している。
 年別の価格の推移を見ると、天候等の影響を受けるものの、1月以降は、春作の愛知県産の入荷量が増加するため、卸売価格は、下落基調となる。夏作に入ると、ブロッコリーは冷涼な気候を好むことから、産地が北海道および長野県に限定され、入荷量が減少し、9月にかけて卸売価格は、上昇基調となる。10月以降は夏作の終盤もの以外に秋冬作の埼玉県産、愛知県産が出荷されるため、卸売価格は再び下落基調となる。
 平成22年の春作は、2月からの低温などの影響により入荷量が減少したため、卸売価格は上昇した。平成22年秋冬作においては、12月は気温が高く、降水量が多かったことから入荷量が増加したため、卸売価格は下落した。平成24年秋冬作においては、12月は低温で日照が少なかったことから、入荷量が減少したため、卸売価格は上昇した。

 外国産の東京都中央卸売市場の価格(平成24年)は、キログラム当たり206~303円(年平均単価247円)の幅で推移している。
 輸入のおよそ9割を米国産が占めており、卸売価格は247円前後で安定した価格で推移しているが、外国産の卸売価格は、国内産の入荷量の影響を受けることから、国内産と同じような値動きとなっている。

輸入量の推移

 生鮮ブロッコリーの輸入量は、平成16年には年間7万1220トンであるが、平成17年以降、減少傾向で推移し、平成21年には2万9540トンとなった。平成22年には、輸入量は増加に転じ、平成24年には4万9735トンに達した。
 冷凍ブロッコリーの輸入量は、平成18年には年間2万4979トンであるが、平成19年以降、減少傾向で推移し、平成20年には2万2712トンとなった。平成21年には、輸入量は増加に転じ、平成24年には3万6059トンとなっている。
 ブロッコリーは、ポジティブリスト制度の導入などのほかに、国内におけるブロッコリーの消費量が順調に伸びたことから、国内産の出荷量が増加し輸入量が減少した。平成22年以降に増加した要因は、国内の天候不順等の影響、消費者の低価格指向やカット野菜などの業務用への用途が増えたことによるものと思われる。冷凍ブロッコリーは、安全安心の観点から一時輸入量は減少したものの、業務用向けに輸入量は増加傾向となっている。
 平成24年の生鮮ブロッコリー輸入量を国別で見てみると、米国4万5090トン(輸入量に占めるシェア90.7%)、中国4,563トン(9.2%)となっている。冷凍ブロッコリーは、中国1万9940トン(55.3%)、エクアドル1万3636トン(37.8%)となっている。

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)

国別輸入量

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)

消費の動向

 ブロッコリーは、ビタミンCが豊富に含まれ栄養価が高く、一般家庭では、食の洋風化により、温野菜やシチューなどの食材として、また、炒め物など中華料理の食材として、幅広い用途により高い需要がある。このため、安定した消費となっており、1人当たり年間の購入量は、最近では1,200グラム前後で推移している。量販店等でのブロッコリー販売では、国産ものと輸入ものが併売されているが、国産ものは、葉付き調整などにより差別化を図っている。なお、国産ものは、夏作産地である、冷涼な北海道産の場合、高温障害を受けにくいことから、花蕾(ドームの部分)の直径は15センチメートル程度の大きなものも出回るが、春作および秋冬作の産地のものは、高温時は品質劣化防止のため、低温時は生育が鈍くなることから、花蕾の直径は12センチメートル程度のものが出回る。
 外食および中食では、さまざまな料理の主材料としてだけでなく、肉料理の付け合わせなど、彩り野菜としての需要も高い。付け合わせ等で使用されるブロッコリーは、冷凍品が多い。




今月の野菜「ブロッコリー」 

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