作付面積・出荷量の推移
ピーマンは、茨城県と宮崎県で全国の出荷量のおよそ5割を占めます。このほかに、高知県、鹿児島県、岩手県、北海道、大分県などでも生産されています。平成23年の作付面積は3,400ヘクタール、出荷量は12万2400トンです。平成16年と平成23年を比較すると、作付面積は、加温品目であることから経費の高騰等により、280ヘクタールの減少、出荷量は、天候の影響等により増減はありますが、8,400トンの減少となっています。全国ベースでは、作付面積と出荷量ともに減少しているが、茨城県は出荷量が増加となっています。
作付面積の推移
出荷量の推移
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」)
東京都中央卸売市場のピーマンの月別入荷実績(平成24年)を見ると、ピーマンは一般的に夏が旬ですが、施設栽培技術の普及から通年での栽培が可能となり、茨城県産は通年で入荷しています。4月から11月までの入荷は茨城県産が中心で、7月から10月にかけて岩手県産、青森県産、福島県産など東北産が入荷しています。11月から翌5月にかけて、宮崎県産、高知県産など西南暖地で栽培されたのものが入荷しています。
平成24年 ピーマンの月別県別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)
大阪中央卸売市場のピーマンの月別入荷実績(平成24年)を見ると、11月から翌6月にかけて、宮崎県産、鹿児島県産、高知県産など西南暖地で栽培されたものが入荷しています。7月から10月にかけて、主な入荷先は大分県になります。また、7月と8月は北海道産が、7月から9月にかけて地元の兵庫県産が入荷しています。
平成24年 ピーマンの月別県別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)
東京都中央卸売市場における価格の推移
平成24年の東京都中央卸売市場の価格(卸売価格)は、キログラム当たり157~800円(年平均単価393円)の幅で推移しています。
過去3年間の卸売価格の推移を見ると、天候の影響等を受けるものの、茨城県産の出荷が始まり総入荷量が増加する4月頃以降、卸売価格は下落基調となり、岩手県産などの東北の出荷がピークを迎える8月、9月には、最安値となります。主力である茨城県産の入荷量が減少する12月以降は、主な産地が西南暖地となり、総入荷量が減少することから、卸売価格は再び上昇基調となります。
資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」
輸入量の推移
ピーマンの輸入の大半は、肉厚の大果種である生鮮ジャンボピーマン(パプリカ)が占めており、そのほかに、ピザなどの冷凍食品向けの冷凍ピーマンが輸入されています。
平成16年に2万3834トンあったジャンボピーマンの輸入量は、平成19年には2万1811トンまで落ち込みましたが、平成20以降、輸入量は増加傾向に転じ、平成24年は3万2893トンまでに達しています。
平成16年に5,250トンあった冷凍ピーマンの輸入量は、増加傾向で推移したものの、平成19年以降、輸入量は減少傾向となり、平成24年は3,788トンまで減少しています。
ジャンボピーマンは、ポジティブリスト制度の導入などを契機に、一時期輸入量は減少しましたが、最近は、幅広く消費者から認知されたことなどが、輸入増加の要因です。
平成24年のジャンボピーマンの輸入量を国別で見ると、韓国2万635トン(62.7%)、オランダ7,798トン(23.7%)、ニュージーランド4,442トン(13.5%)となっています。冷凍ピーマンは、中国3,134トン(83.0%)、ベトナム437トン(11.6%)となっています。
資料:ジャンボピーマンは農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)、冷凍ピーマンは農林水産省「植物防疫統計」
注:冷凍ピーマンは、検査数量の数値である。
資料:ジャンボピーマンは農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)、冷凍ピーマンは農林水産省「植物防疫統計」
注:冷凍ピーマンは、検査数量の数値である。
購入量の推移
ピーマンは、ビタミン類が豊富に含まれ栄養価が高く、炒め物、煮物、揚げ物、サラダなど幅広く利用されています。料理としての用途が広いため、消費が安定しており、平成24年の1人当たり年間購入量は873グラムと、最近では増加傾向で推移しています。
鮮やかな色合いで食卓を飾る“ピーマン”
ピーマンと同属同種のとうがらしの原産地は中南米で、15世紀にコロンブスがスペインに持ち帰り、その後、香辛料としてヨーロッパに伝わり、世界中に広まったとみられています。本来は、ピーマンは辛みのあるとうがらし(辛とうがらし)の一種ですが、辛みのないとうがらし(甘とうがらし)が‘ピーマン’と呼ばれています。
日本に辛とうがらしが持ち込まれたのは、江戸時代の初めといわれています。現在食されているような甘とうがらしのピーマンは、明治の初期に品種改良されたアメリカ産が由来です。戦後の食生活の欧米化に伴い、消費が伸びた野菜です。また、ピーマンの語源は、フランス語の‘ピマン(piment)’(辛とうがらし)といわれています。
ピーマンは、形状によって薄肉中型種と厚肉大型種に大別できます。流通の主流は薄肉中型種ですが、ジャンボピーマンやパプリカといった厚肉大型種など、さまざまな品種が店頭に並んでおり、ついついいろいろ買ってみたくなるものです。北から南まで、ピーマンの産地は全国に分布しており、周年で味わえる野菜です。ビタミンCが豊富に含まれ、色鮮やかなピーマンを、いろいろな料理で味わいましょう。
ピーマンはビタミンCが多く、たくさん摂りたい野菜です。サラダだけでなく、肉や油と組み合わせて調理することによって、カロテンの吸収を高めることができます。
ただ、加熱しすぎると栄養価が落ちてしまいますので、強火でサッと調理しましょう。
栄養価が高いのはわかるけど、青臭さが苦手という場合は、サッと湯通ししてみると良いでしょう。青臭さがやわらぎます。
情報提供:東京青果株式会社
加藤 宏一
おいしいピーマンを選ぶには
多少曲がっていたり、へこんでいても味には問題ありません。皮にシワがよっているもの、色が黒ずんでいるものは、鮮度が落ちている証拠です。
ピーマンの栄養と機能性
ピーマンは栄養豊富な野菜で、レモンの2倍、トマトの5倍のビタミンCを含んでいます。中くらいの大きさのピーマン4個で1日の摂取量をとることができます。美肌効果や抗酸化作用が期待できるので、夏の厳しい日差しで日焼けした肌のお手入れに最適です。
そのほか、ビタミンAなどのビタミン類や食物繊維を豊富に含んでおり、加熱調理しても栄養価が損なわれることが少ないので、どんな料理でも栄養バランスよく食べられる野菜といえます。また、赤ピーマン(完熟したもの)の方が、緑色のピーマンより栄養に富んでいます。
「日本食品標準成分表2010」青ピーマン(果実、生)、赤ピーマン(果実、生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合における青ピーマン(果実、生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、食物繊維は目標量、ビタミンKおよびビタミンEは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた。)
監修:実践女子大学教授
田島 眞
種類・品種の特徴
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ピーマンは炒めてもビタミンCを多く吸収することができます。また、肉や油と組み合わせて調理するとカロテンの吸収を高めることができます。
サラダなど生食にも向きますが、独特の香りが気になる場合は、サッと湯通しをしてみると良いでしょう。加熱料理の場合は、さらに甘味が増します。カラーピーマンなど大型のものは皮が固いので、表面の水気を拭いてから直火で焦げるまで焼き、冷水につけると簡単に皮がむけます。
加熱しすぎると栄養価が落ちてしまいますので、強火でサッと調理しましょう。また、切り方によって歯触りが異なるので、料理によって切り方を使い分けるのも面白いです。
ピーマンは、水気に弱いので、通気性を良くした穴あきのポリ袋などに入れて保存しましょう。また、冷やしすぎると品質が落ちるので、10℃前後の冷蔵庫の野菜室に入れれば、1週間は保存が可能です。
1つが傷むとほかのものの傷みが早くなるので、まとめて保存する場合はヘタの色をこまめに確認し、傷んだものを取り除くのが良いでしょう。
冷凍保存する際は、ゆでてから実をはずし、密閉袋に入れて冷凍します。必要な分だけ手軽に使え、便利です。