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今月の野菜

スイートコーンの需給動向

作付面積・出荷量の推移

 スイートコーンの主産地は、北海道で、全国の出荷量の6割を占めます。このほかに、千葉県、茨城県、群馬県、山梨県などでも生産されています。平成23年の作付面積は2万5000ヘクタール、出荷量は19万2500トンです。平成16年と平成23年を比較すると、作付面積は、1,900ヘクタールの減少、出荷量は、その年の天候等により左右され、増減はありますが、1万2000トンの減少となっています。作付面積、出荷量ともに全国ベースでは減少ですが、北海道では増加となっています。

作付面積の推移



出荷量の推移


資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」)


 東京都中央卸売市場のスイートコーンの月別入荷実績(平成24年)を見ると、代表的な夏の旬野菜であるため、6月から9月にかけて入荷が集中します。5月のハウス栽培ものの入荷に次いで、トンネル栽培、露地栽培されたのもが、順次入荷されます。産地別に見ると、5月の入荷は九州産が主体ですが、6月から7月は関東産、8月と9月は北海道産と、産地は移行していきます。

平成24年 スイートコーンの月別県別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)



資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:平成24年東京都中央卸売市場年報)
 注:(  )内の数値は、月別出荷量全体に占める割合(%)である。

 大阪中央卸売市場のスイートコーンの月別入荷実績(平成24年)を見ると、東京都中央卸売市場同様に、6月から9月にかけて入荷が集中します。東京と比較すると、入荷量に差があるものの、大阪近郊では愛知県と長野県のほかに主要な産地がないため、北海道産が入荷する8月がピークになるものと思われます。

平成24年 スイートコーンの月別県別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)



資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:平成24年大阪市、大阪府中央卸売市場年報)
 注:(  )内の数値は、月別出荷量全体に占める割合(%)である。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場の価格(平成24年)は、キログラム当たり169~534円(年平均単価325円)の幅で推移しています。
 年別の価格の推移を見ると、天候等の影響を受けるものの、ハウス栽培の出荷が始まる5月から下落基調となり、露地栽培の出荷がピークを迎える8月や9月には、最安値となります。夏野菜のため、10月以降は品薄となることから、再び価格は上昇基調となります。

資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」

輸入量の推移

 冷凍スイートコーンの輸入量は、平成16年には年間4万8126トンありましたが、平成20年以降、減少傾向で推移し、平成22年には4万2420トンとなりました。平成23年に輸入量は増加に転じ、平成24年には4万8607トンに達しました。
 その他調製スイートコーンの輸入量は、平成16年には年間5万620トンありましたが、平成19年以降、減少傾向で推移し、平成21年には4万7028トンとなりました。平成22年に輸入量は増加に転じ、平成24年には5万8928トンまでに達しました。
 冷凍スイートコーンおよびその他調製スイートコーンは、ポジティブリスト制度の導入などを契機に、輸入量は減少しましたが、最近は、冷凍野菜の需要が増えていることなどから、輸入量は増加傾向となっています。
 平成24年の冷凍スイートコーンの輸入量を国別で見ると、米国3万4006トン(70.0%)、タイ7,553トン(15.5%)、ニュージーランド4,759トン(9.8%)となっています。その他調製スイートコーンは、タイ2万9598トン(50.2%)、米国2万5878トン(43.9%)となっています。

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)

国別輸入量

資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)


今月の野菜 

甘く食べ応えのある夏野菜“スイートコーン”


主流の
「ゴールドラッシュ」


実が真っ白な
「ピュアホワイト」


市場から

 米、小麦と並び、世界三大穀物のひとつであるとうもろこし。原産地は、メキシコから南アメリカ北部にかけてといわれており、5000年以上も前から利用されていたようです。コロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパへ持ち帰ったことで、世界中に広まりました。日本へはじめて伝わったのは1579年。ポルトガル人によって、長崎に伝わりました。
 とうもろこしは、長い栽培の歴史のなかで、多くの品種が誕生しました。スイートコーンは、とうもろこしの中の甘味種に属するものの総称で、生食用や加工用に利用されます。このほか、タコスやトルティーヤなど、主に穀物として利用される硬粒種(フリントコーン)、家畜の飼料として利用される馬歯種(デントコーン)、ポップコーンに利用される爆粒種(ポップコーン)などがあります。
 スイートコーンとしての栽培が一般的になったのは、1800年代初頭のアメリカです。日本への導入は明治時代に入ってからで、その後多くの品種が導入されました。第二次世界大戦後からは、急速に栽培が普及していきました。
 スイートコーンは、糖度によってスイート種とスーパースイート種に、実の色によってイエロー系、シルバー系、バイカラー系に大別できます。現在、流通の主流となっているのは、イエロー系のスーパースイート種です。甘みが強く、どれを買ってもはずれがありません。また、今年は天候にも恵まれ、より甘いスイートコーンが流通しています。
季節感のある野菜のひとつで、旬は7~8月。甘く食べ応えのあるスイートコーンを、たっぷりと味わいましょう。

もっとおいしく!

 甘いスイートコーンは、ゆでたり蒸したりして、丸かじりするのが一番です。皮とひげを取り除いてさっと水洗いし、軽く塩を振ってラップで巻いて電子レンジで加熱する方法も、手軽な調理法としておすすめです。
 ゆでておけば、お子様の手軽なおやつにも最適です。今が旬のスイートコーンをお楽しみください。 情報提供:東京青果株式会社
 加藤 宏一
おいしいスイートコーンを選ぶには

 ひげの1本1本が、実のひと粒ひと粒につながっています。ひげが多く、実がぎっしりと詰まっているものを選びましょう。また、ひげの褐色が濃いものは、よく熟して甘みがあります。
 古くなると、皮の色が薄くなったり水分が蒸発して粒がへこんでしまうので、皮の緑色が鮮やかで、粒がふっくらとしているものを選びましょう。

 

 

 

 

スイートコーンの栄養と機能性


 スイートコーンの主な成分はでんぷんやブドウ糖などの炭水化物で、エネルギー補給や疲労回復に効果的です。
 ビタミンB群の一種で、赤血球の新生に必要な成分である葉酸や、同じくビタミンB群の一種で、エネルギーの代謝に不可欠な成分であるナイアシンを豊富に含みます。また、スイートコーンの粒皮は、セルロースという不溶性の食物繊維でできているため、便秘の改善や大腸がんの予防効果も期待できます。
 とくに、粒の胚芽部分(白い部分)に栄養が詰まっています。実をはずす時は手でむしるなどして、この部分を捨てないようにしましょう。

「日本食品標準成分表2010」スイートコーン(未熟種子、生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるスイートコーン(未熟種子、生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、食物繊維は目標量、カリウムは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた。)



コレステロール値低下作用があるスイートコーンの“リノール酸”



 スイートコーンの胚芽部分は、リノール酸を含みます。リノール酸は、血液中のコレステロール値を下げて、高血圧や動脈硬化を抑制する働きがあります。
 リノール酸は必須脂肪酸のひとつです。成長や健康維持のために不可欠な成分で、体内で合成することができないため、食べ物から摂取する必要があります。必須脂肪酸が不足すると、皮膚炎を起こしたり感染症にかかりやすくなる場合がありますが、逆に摂取し過ぎると、アレルギー症状の悪化やがんのリスクを高めることもあります。適度な摂取を心がけるようにしましょう。

監修:実践女子大学教授
田島 眞





スイートコーンのいろいろ

種類・品種の特徴

※クリックすると拡大します。


写真:農畜産業振興機構「野菜ブック」
監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和


スイートコーンの主要産地  注:図中の番号は収穫量の多い順番、期間は主な出荷期間を表しています。
資料:農林水産省「平成23年産野菜生産出荷統計」、東京都「東京都中央卸売市場年報」、大阪府「大阪府中央卸売市場年報

調理のヒントと保存方法

調理のヒント

 甘くておいしいスイートコーンは、ゆでたり蒸したりと、シンプルな味付けで手軽に楽しめます。ひと手間加え、刷毛でしょうゆを数回塗って網で軽く焼けば、香ばしい焼きとうもろこしの出来上がり。
 実をはずして炒め物やかき揚げにしたり、スープやグラタンに加えたりと、用途もさまざまです。色鮮やかなスイートコーンは、料理に彩りを与えてくれます。

保存方法

 鮮度の低下が激しく、時間とともに風味や甘みが減ってしまうので、なるべくなら買ったその日に食べたいもの。すぐに食べないときは、ゆでるか蒸してからラップで包み、冷蔵庫で保存しましょう。生のまま保存するより、おいしさを保てます。
 冷凍保存する際は、ゆでてから実をはずし、密閉袋に入れて冷凍します。必要な分だけ手軽に使え、便利です。









今月の野菜「スイートコーン」 

産地紹介
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