作付面積・出荷量の推移
かぼちゃの生産地は、主に北海道で、全国の出荷量のおよそ6割を占めます。このほかに、鹿児島県、茨城県、長崎県などでも生産されています。平成23年の作付面積は1万7900ヘクタール、出荷量は16万2900トンとなっています。平成16年と平成23年を比較すると、作付面積は、1万6800ヘクタールから1万7900ヘクタールと1,100ヘクタール増加していますが、出荷量は、16万8100トンから16万2900トンと5,200トン減少しています。
作付面積の推移
出荷量の推移
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」)
東京都中央卸売市場のかぼちゃの月別入荷実績(平成24年)を見ると、夏が旬のため、6月以降、国産の入荷が増えます。産地は、沖縄県産、鹿児島県産、神奈川県産、茨城県産、北海道産と、北上していきます。冬から春は端境期に当たり、この期間はメキシコ産やニュージーランド産の輸入品が増えています。
平成24年 かぼちゃの月別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)
大阪中央卸売市場のかぼちゃの月別入荷実績(平成24年)を見ると、冬から春の端境期はメキシコ産、ニュージーランド産等の輸入が多くなります。端境期における海外からの輸入により、周年供給が可能となっています。
平成24年 かぼちゃ(ナンキン)の月別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)
東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場の価格(平成24年)は、キログラム当たり87~223円(年平均単価141円)の幅で推移しています。
平成22年から平成24年の価格の推移を見ると、輸入の減少する春には、卸売価格は上昇します。国産の出荷が増加すると、卸売価格は下落し、北海道産のピークを迎える10月ごろには、最安値となります。
資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」
輸入量の推移
生鮮かぼちゃは、平成17年には年間12万トンを超える輸入量がありましたが、平成18年以降は、残留農薬など安全性の問題などから輸入量は減少し、平成20年には10万トンまでに減少しました。ただ、平成23年に輸入の増加に転じ、平成24年には12万5024トンまでに増加しました。
平成24年の生鮮かぼちゃの輸入量を国別で見ると、ニュージーランド6万5182トン(52.1%)、メキシコ5万4549トン(43.6%)となっています。冷凍かぼちゃは、中国771トン(88.1%)、ベトナム104トン(11.9%)となっています。冷凍かぼちゃ属は、中国952トン(65.7%)、ニュージーランド434トン(29.9%)となっています。
資料:生鮮かぼちゃは農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)、
冷凍かぼちゃと冷凍かぼちゃ属は農林水産省「植物防疫統計」
注:冷凍かぼちゃと冷凍かぼちゃ属については、検査数量の数値である。
冷凍かぼちゃは、輸入検査の申請書において、「クロダネカボチャ」
「セイヨウカボチャ」「カボチャ」「ペポカボチャ」のように、
和名または種小名まで明らかに記載されているもの。
冷凍かぼちゃ属は、輸入検査の申請書において、
カボチャ属やカボチャ属の一種のように記載されたもの。
資料:生鮮かぼちゃは農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)、
冷凍かぼちゃと冷凍かぼちゃ属は農林水産省「植物防疫統計」
注:冷凍かぼちゃと冷凍かぼちゃ属については、検査数量の数値である。
購入量の推移
かぼちゃは、カロテンが豊富に含まれ栄養価が高く、煮物、天ぷら、サラダなどの野菜としての利用のほか、ケーキやパイの食材としても人気があります。料理としての用途が広いため、安定した消費となっています。1人当たり年間の購入量は、最近では1,500グラム当たりで推移しています。
資料:農畜産業振興機構「べジ探」(原資料:総務省「家計調査年報」)
冬至に食べる風習のある“かぼちゃ”
「冬至に食べると風邪をひかない」といわれるかぼちゃ。昔から、健康野菜として知られています。
原産地はアメリカ大陸。コロンブスが発見する以前から、アメリカ大陸では重要な作物のひとつとして、かぼちゃが栽培されていたようです。
かぼちゃを大きく分けると、日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃがあります。
日本に最初に伝わったのは日本かぼちゃです。室町時代末期、ポルトガル船が豊後(大分県)に漂着した際、かぼちゃの種が献上されたことで、栽培がはじまりました。この時、寄港地のカンボジアからもたらされた野菜であると伝えられたことが、かぼちゃの名の由来となっています。
西洋かぼちゃは、江戸時代末期にアメリカから渡来し、北海道を中心とした関東以北の冷涼地で栽培されました。明治初年には開拓使によって多くの品種が導入され、大正時代には関東以南でも栽培されるようになりました。昭和40年以降になると、粉質で甘い品種が登場し、需要が上昇していきました。主流だった粘質系の日本かぼちゃは栽培が減少し、西洋かぼちゃが主流になっていくのは、この頃からです。中でも、「えびす」や「みやこ」を代表とする黒皮栗かぼちゃが、現在、流通の大半を占めています。
ペポかぼちゃは、大正時代に中国から導入された金糸うり(そうめんかぼちゃ)やズッキーニといった野菜用のほか、ハロウィンでおなじみの観賞用や飼料用があります。日本では飼料用以外の栽培は少ないですが、最近ズッキーニの流通が増加しています。
国内産のかぼちゃは、主に夏から秋にかけて出荷されます。ビタミン類をたっぷり含むかぼちゃを食べて、暑い夏を元気に過ごしましょう。
ホクホク感の強いもの、ねっとりとやわらかなものなど、お好みに合わせて選びましょう。特に、6月以降は粉質系の国内産かぼちゃが出回ります。ホクホク感を楽しみたい方は、是非この機会に。
おすすめの食べ方は、しょうゆと砂糖で味付けをした、シンプルな煮物です。また、天ぷらや素揚げにし、かぼちゃの甘みを楽しむのも良いですね。
情報提供:東京青果株式会社
加藤 宏一
おいしいかぼちゃを選ぶには
カットしたかぼちゃを買う時は、果肉の色が赤みを帯びているもの、種がふっくらしていてぎっしりと詰まっているものを選びましょう。
かぼちゃの栄養と機能性
炭水化物(糖質)を多く含み、高エネルギーで食べ応えのあるかぼちゃは、ビタミンEをはじめ、ビタミンA、C、Kなど、ビタミン類を豊富に含んでいます。
ビタミンEは、強い抗酸化作用により細胞老化や動脈硬化を予防するほか、頭痛や冷え性などの改善効果が期待されています。ビタミンAは、風邪などの感染症を予防するほか、疲れ目を改善する効果もあります。また、ビタミンCは、皮膚や骨の健康を保つほか、強い抗酸化作用により生活習慣病を予防する働きがあります。なお、日本かぼちゃに比べて西洋かぼちゃの方が、これらのビタミンを多く含んでいます。
「日本食品標準成分表2010」日本かぼちゃおよび西洋かぼちゃ(果実、生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合における日本かぼちゃおよび西洋かぼちゃ(果実、生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、ビタミンAおよびビタミンCは推奨量、食物繊維は目標量、そのほかは目安量の値を用いた。)
監修:実践女子大学教授
田島 眞
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煮物、天ぷら、サラダ、プリンなど、おかずからデザートまで幅広く利用されるかぼちゃ。
かたくて切るのが大変な場合は、ラップで包んで電子レンジで軽く加熱すると、切りやすくなります。煮物にする際は、ところどころ皮をむくと、味がしみやすくなります。ホクホクとした食感を生かすなら、煮過ぎないように注意しましょう。
丸のままのかぼちゃは、10度前後の冷暗所に置いておけば、1~2ヵ月保存できます。
カットしたものは、傷みやすい種とわたを取り除き、ラップできっちりと包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。
また、冷凍保存も可能です。冷凍するときは、カットしてゆで、よく冷ましてから付かないように少し離して密閉袋に入れ、冷凍します。