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今月の野菜

アスパラガスの需給動向

作付面積・出荷量の推移

 アスパラガスは、北海道、長野県、佐賀県、長崎県で全国の出荷量の5割を占めており、このほかに熊本県、福島県、秋田県などでも生産されています。平成23年の作付面積は6,290ヘクタール、出荷量は2万5100トンとなっています。
 産地別に出荷量の推移を見てみると、主産地である北海道は横ばいで推移していますが、第2位の長野県は平成16年の4,850トンから平成23年の2,660トン(2,190トン減)と大きく減少しているなか、熊本県は800トンから1,710トン(910トン増)と増加しています。

作付面積の推移



出荷量の推移


資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」)

 平成23年の東京都中央卸売市場におけるアスパラガスの月別入荷数量を見ると、春から夏が旬のため、3月から9月にかけて国産の入荷が多くなります。端境期には国産が少なくなり、メキシコ産などの輸入品が増えています。

平成23年 アスパラガスの月別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)



資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:平成23年東京都中央卸売市場年報)
 注:( )内の数値は、月別出荷量全体に占める割合(%)である。

 平成23年の大阪中央卸売市場におけるアスパラガスの月別入荷数量を見ると、3月から佐賀県産、長崎県産などのハウス栽培ものの入荷が始まり、続いて立茎栽培による夏取りと栽培技術の確立により、長い期間国産が入荷しています。

平成23年 アスパラガスの月別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)



資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:平成23年大阪市、大阪府中央卸売市場年報)
 注:( )内の数値は、月別出荷量全体に占める割合(%)である。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 平成23年の東京都中央卸売市場における価格は、キログラム当たり708~1,159円(年平均単価915円)となっています。
 平成16年と比較しても、天候による卸売価格の変動はありますが、入荷量の増える春から単価は下がっています。

資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」

輸入量の推移

 平成23年の輸入量を見ると、生鮮アスパラガスは1万2308トン(前年比1.8%減)、冷凍アスパラガスは848トン(同10.3%減)、調製アスパラガス(主にホワイトアスパラガスを缶詰に加工したもの)は1,195トン(同10.8%減)となっています。平成23年の輸入先国を見ると、生鮮アスパラガスは5割近くをメキシコが占めており、次いでオーストラリア、ペルー、タイとなります。冷凍アスパラガスと調整アスパラガスは、主に中国から輸入しています。アスパラガスの輸入量は、平成18年以降、国産の生産量増加やポジティブリスト制度の導入などにより減少して推移しています。

資料:生鮮アスパラガス、調製アスパラガスは農畜産業振興機構「ベジ探」
  (原資料:財務省「貿易統計」)、冷凍アスパラガスは農林水産省「植物防疫統計」
 注:冷凍アスパラガスについては、検査数量の数値である。


国別輸入量

資料:生鮮アスパラガス、調製アスパラガスは農畜産業振興機構「ベジ探」
   (原資料:財務省「貿易統計」)、
   冷凍アスパラガスは農林水産省「植物防疫統計」
 注:冷凍アスパラガスについては、検査数量の数値である。



今月の野菜 

春を感じる野菜“アスパラガス”


流通の大半を占める
グリーンアスパラガス


きれいな乳白色の
ホワイトアスパラガス


市場から

 春から初夏にかけて旬を迎えるアスパラガス。手軽に調理ができて栄養価も高く、市場で人気の高い野菜です。
 アスパラガスの原産地は、南ヨーロッパからロシア南部にかけてといわれています。栽培のはじまりは明らかではありませんが、ヨーロッパでは紀元前200年頃から栽培されていたようです。わが国へは江戸時代に観賞用として伝来し、食用は明治4年の北海道開拓使による栽培がはじまりといわれ、本格的な栽培は大正12年以降でした。
 アスパラガスは多年生の植物で、冬に茎葉が枯れますが、毎春になると養分を蓄えた根部から新しい茎を出します。食用は、この若茎です。通常、露地栽培では、種をまいてから3年で収穫ができるようになり、10年以上は収穫することができます。
 学名のAsparagus officinalisには「よく枝分かれをし、薬用になる」という意味があるように、アスパラガスは栄養に富み、ドイツやフランスなどでは古くから利尿剤、鎮静剤などとして用いられていました。和名の「松葉うど」の呼び名は、針状に生長した擬葉が松葉に似ていること、ホワイトアスパラガスが軟白栽培したうどに似ていることに由来します。
 アスパラガスにはグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスがあります。第二次世界大戦以前は、缶詰加工用のホワイトアスパラガスが主流でしたが、食生活の洋風化や健康志向の高まりとともに、グリーンアスパラガスの消費が伸び、現在は流通の9割以上を占めています。
 サラダやお浸し、炒めもの、グラタン、スープなど、アスパラガスを多彩な料理で楽しみ、食卓で春を感じましょう。

もっとおいしく!

 根元はごっそりと切り捨ててしまいがちですが、かたい部分を削いで薄くスライスし、是非、利用してください。
 油との相性が良いので、天ぷらにするのがおすすめです。アスパラガスを斜めにスライスしてサクッとかき揚げにしたり、きんぴらにしてもおいしいです。
 今が旬のアスパラガスを、たっぷりとご堪能ください。 情報提供:東京青果株式会社
 加藤 宏一
おいしいアスパラガスを選ぶには
 グリーンアスパラガスは緑色が鮮やかなもの、ホワイトアスパラガスはきれいな乳白色のものを選びましょう。
 新鮮さのポイントは、鮮度が落ちると穂先が開くので、穂先がピンと締まっていること、茎が真っすぐに伸び全体にハリがあること、茎の切り口がみずみずしいことです。

 

 

 

 

アスパラガスの栄養と機能性


 アスパラガスの穂先には、高血圧を予防するルチン、老化を抑えるグルタチオンなど、アミノ酸が多く含まれています。
 また、赤血球の生成や細胞新生に重要な役割を担う葉酸、けがや内出血を起こしたときに止血する働きがあるビタミンK、細胞の老化や動脈硬化を予防する働きがあるビタミンEなど、ビタミン類も豊富に含みます。なお、ホワイトアスパラガスは太陽の光を浴びていない分、ビタミン類の含有量がグリーンアスパラガスよりも少なくなっています。

 

「日本食品標準成分表2010」アスパラガス(若茎、生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるアスパラガス(若茎、生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、ビタミンK、ビタミンEおよびカリウムは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた。)



疲労回復を促すアスパラガスの“アスパラギン酸”



 アスパラガスに含まれる機能性成分の代表格に、アスパラギン酸があります。これはアミノ酸の一種で、その名のとおりアスパラガスから発見された成分です。
 アスパラギン酸は、体内でのエネルギー代謝を活発にする作用があり、疲労回復や滋養強壮に役立ちます。また、タンパク質の合成を促進する作用があり、皮膚の新陳代謝を活発にして美肌効果が期待できます。そのほか、アンモニアを尿として排泄し、不眠症やイライラを防ぎ、また、末梢血管を拡張させ血圧を下げることで、動脈硬化を予防する効果なども期待できます。

監修:実践女子大学教授
田島 眞





アスパラガスのいろいろ 種類・品種の特徴

※クリックすると拡大します。


写真:農畜産業振興機構「野菜ブック」
監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和


アスパラガスの主要産地  注:図中の番号は収穫量の多い順番、期間は主な出荷期間を表しています。
資料:農林水産省「平成23年産野菜生産出荷統計」、東京都「東京都中央卸売市場年報」、大阪府「大阪府中央卸売市場年報」

調理のヒントと保存方法

調理のヒント

 皮がかたい場合、ピーラーや包丁で皮をむいてから調理しましょう。また、茎にある「はかま」は、三角の頂点のところから包丁を入れて削ぐように取り除くと、苦みがなくなり口当たりもよくなります。
 アスパラガスは先端にいくほどやわらかいので、ゆでる際は塩をひとつまみ加えた熱湯に根元からゆっくり入れ、穂先と時間差をつけると均一にゆで上がります。また、ホワイトアスパラガスは、ゆで湯にレモン汁を加えるときれいな色に仕上がります。

保存方法

 鮮度の劣化が早い野菜なので、なるべく早めに食べ切りましょう。
 横にして保存すると、穂先が上をむこうとしてエネルギーを消耗し、鮮度が早く落ちてしまいます。保存する際は、ラップで包んで穂先を上にし、立てた状態で冷蔵庫の野菜室で保存します。また、冷凍保存する際は、根元とハカマを取り除いてさっとゆで、しっかり水を切って粗熱をとり、ポリ袋などに入れて冷凍します。炒め物や煮込み料理には凍ったまま利用でき、便利です。







今月の野菜「アスパラガス」 

産地紹介
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