[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ
今月の野菜



(セロリ)
セルリー(セロリ)の需給動向

作付面積・出荷量の推移

 セルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)は、主に長野県と静岡県で生産されており、全国の出荷量の6割以上を占めています。このほかにも福岡県、愛知県などで生産されています。平成23年の作付面積は618ヘクタール(長野県42%、静岡県19%)、出荷量は3万600トン(長野県41%、静岡県23%)となっています。
 作付面積は平成16年の715ヘクタールから平成23年には618ヘクタール、出荷量は3万4100トンから3万600トンとそれぞれ減少しています。

作付面積の推移



出荷量の推移


資料:農畜産業振興機構「ベジ探」、原資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」

 平成23年の東京都中央卸売市場におけるセルリーの月別県別入荷数量を見ると、1年を通して需要があるため、周年で入荷しています。主に冬春は静岡県産のほか福岡県産、愛知県産、茨城県産、千葉県産など、夏秋は長野県産からの入荷となっています。

平成23年 セルリーの月別県別入荷実績
(東京都中央卸売市場)



資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:平成23年東京都中央卸売市場年報)
 注:( )内の数値は、月別入荷量全体に占める割合(%)である。

 平成23年の大阪中央卸売市場におけるセルリーの月別県別入荷数量を見ると、1年を通して需要があるため、夏から秋にかけての長野県産のほか、冬から春の静岡県産や福岡県産と周年で入荷しています。

平成23年セルリ(セルリ+ミニセルリ)の月別県別入荷実績
(大阪中央卸売市場)



資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:平成23年大阪市、大阪府中央卸売市場年報)
 注:( )内の数値は、月別入荷量全体に占める割合(%)である。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における平成23年の価格の推移を見ると、キログラム当たり193~317円(年平均単価255円)となっています。
 平成16年と比較すると、天候等により卸売価格に変動はありますが、周年供給体制が整っているため、価格の変動幅は年間を通して小さくなっています。

資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」

輸入量の推移

 生鮮セルリーは、年間6,000トン前後の輸入量がありましたが、平成19年以降は、残留農薬など安全安心の問題から輸入量は減少しました。平成21年は、厚生労働省の残留農薬検査において、米国産から基準値を超えるボスカリド(殺菌剤)が検出されたことにより大幅に輸入量が減少しました。平成22年以降は、検査の結果、輸入が再開されています。生鮮セルリーは、主に業務用に使用されていますが、国産の不足分として、スーパーなどでも扱っています。
 平成23年の輸入先国を見ると、生鮮セルリーは全量米国から輸入しており、冷凍セルリーは全量中国から輸入しています。

資料:生鮮セルリーは農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)、
    冷凍セルリーは農林水産省「植物防疫統計」
 注:冷凍セルリーについては、検査数量の数値である。


国別輸入量

資料:生鮮セルリーは農畜産業振興機構「ベジ探」
   (原資料:財務省「貿易統計」)、
   冷凍セルリーは農林水産省「植物防疫統計」
 注:冷凍セルリーについては、検査数量の数値である。



今月の野菜 

特有の香り漂う香味野菜“セルリー”


大きな株のまま
流通しています


流通の大半を占める
「コーネル619」


市場から

 セルリーは、特有の強い香りとシャキッとした食感が特徴の野菜です。

 セルリーの野生種は、ヨーロッパからアジア西部、アフリカ北部の広い地域に分布しており、原産地は地中海沿岸と考えられています。その強い芳香から、古代ギリシャやローマ時代には、薬用や香料として利用されていました。17世紀に入るとイタリアやフランス、イギリスで改良がすすめられ、食用品種が育成されていきました。我が国へ渡来したのは16世紀末で、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、加藤清正が中国種を持ち帰ったといわれています。一方、西洋種が渡来したのは江戸時代初期で、オランダ人によって持ち込まれたため、「オランダミツバ」とも呼ばれました。このように渡来したセルリーですが、我が国では独特の臭いが好まれず、普及までには長い時間がかかりました。一般家庭でも食されるようになったのは、食生活が洋風化した昭和30年代以降のことです。

 紀元前から湿地帯に自生していたというセルリー。学名の「アピウム・グラフェレンス」には、「湿気のある土地に生え、強い匂いを放つ」という意味があります。

 セルリーは、茎葉の色によって、黄色種、緑色種、中間種、赤色種、白色種に大別され、我が国ではかつて、香りの少ない黄色種が利用されていました。しかし、サラダ需要の増加に伴い、近年はほどよい香りの中間種が流通の主流となっています。なお、スープや煮込み料理に用いることが多い欧米では、香りの強い緑色種が主流のようです。

 周年流通しているセルリーですが、夏秋セルリーは7~10月、冬春セルリーは12~4月の流通量が多く、主な産地は長野県や静岡県です。

 サラダや酢漬け、煮込み料理、炒め物など、さまざまな調理法でセルリーの風味を楽しみましょう。

もっとおいしく!

 加熱調理して、たっぷりと味わっていただきたいセルリー。ミネストローネなどの煮込み料理には葉も加え、さわやかな風味をお楽しみください。また、牛肉とセルリーのこしょう炒めやセルリーのきんぴらなど、炒め物もおすすめです。

 加熱時間を多めにとってやわらかめに仕上げるもよし、サッと加熱してシャキシャキ感を残すもよし、お好みでどうぞ。

情報提供:東京青果株式会社
 加藤 宏一
おいしいセルリーを選ぶには
 葉にハリとツヤがあり、しおれや黄ばみのないものを選びましょう。また、茎が太く、筋の凸凹がはっきりとしているものは新鮮です。
 流通の主流である中間種は、大きな株の中で育った茎と葉を1枚ずつはがして売られていますが、しっかりと生育した大きな株の中で育ったものは、日に当たらずに真っ白な茎をしています。このようなものは、甘みとやわらかさがあり独特の香りも少ないので、セルリーが少し苦手という方は、選ぶ時の参考にしてください。

 

セルリーの栄養と機能性


 古来より薬用として用いられていたセルリーは、カリウム、ビタミンKなど、ミネラルやビタミンをバランスよく含んでいます。
 カリウムは、体内の余分な塩分の排泄を促して血圧を下げ、高血圧予防に効果的です。また、ビタミンKにはケガや内出血を起こした際、止血をする働きがあります。
 そのほか、赤血球の新生に必要で、胎児の正常な発育にも重要な役割を担う葉酸、腸内環境を整え、便秘改善や生活習慣病予防に効果的な食物繊維、たんぱく質の再合成や脂質の代謝をサポートするビタミンB6、強い抗酸化力によって生活習慣病を予防する働きがあるビタミンCなどを含みます。

「日本食品標準成分表2010」セルリー(葉柄、生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるセルリー(葉柄、生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、食物繊維は目標量、カリウムおよびビタミンKは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた。)



リラックス効果があるセルリーの“アピイン”



 特有の強い香りを放つセルリー。これは、茎や葉に含まれる香り成分によるもので、アピインもそのひとつです。
 アピインには精神を安定させる作用があり、イライラや不安感、不眠症などの解消に効果があるといわれています。水を入れたコップにセルリーを挿して机や枕元に置いたり、葉を刻みガーゼで包んで入浴剤として用いると、気分が落ち着きます。
 そのほか、肉や魚の臭みを消して食欲を増進させる働きや、頭痛改善なども期待されています。

監修:実践女子大学教授
田島 眞





セルリーのいろいろ 種類・品種の特徴

※クリックすると拡大します。


監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和

セルリーの主要産地  注:図中の番号は収穫量の多い順番、期間は主な出荷期間を表しています。
資料:農林水産省「平成22年産野菜生産出荷統計」、東京都「東京都中央卸売市場年報」、大阪府「大阪府中央卸売市場年報」

調理のヒントと保存方法

調理のヒント

 新鮮なセルリーほど茎の外側の筋が固いので、この部分を取り除いてから料理しましょう。その際は、茎の根元を上にして包丁をあて、葉の方に向かって手前に筋を引くようにして取り除きます。
 特有の香りとシャキッとした食感を生かし、茎の部分をサラダやあえ物にして生で食べるほか、煮込み料理の香味野菜としても活用します。カレーやシチュー、スープなどを煮込む際にセルリーを加えると、風味が増して深みのある味に仕上がります。また、肉や魚などと一緒に炒めれば、臭みが取れてさわやかに仕上がります。

保存方法

 葉の部分から水分が失われるので、葉と茎を切り離し、別々に保存します。新聞紙で包んでビニール袋に入れるかラップで包み、冷蔵庫の野菜室へ。その際、茎は立てて保存しましょう。
 茎がしんなりしている時は、根元を冷水に浸してしばらく置くと、みずみずしさが戻ります。
 鮮度が大切な野菜なので、なるべく早く食べ切りましょう。







今月の野菜「セルリー」 

産地紹介
元のページへ戻る


このページのトップへ