作付面積・出荷量の推移
ごぼうは、青森県、茨城県、北海道で全国の出荷量の6割を占めており、次いで千葉県、宮崎県などでも生産されています。平成22年の作付面積は8,830ヘクタール、出荷量は13万6300トンとなっています。
平成15年と22年を比較すると、作付面積は9,760ヘクタールから8,830ヘクタールへと減少し、出荷量も13万9300トンから13万6300トンと減少していますが、ここ数年は、13万7000トン前後で推移しています。
全国では作付面積、出荷量は減少していますが、主産地の青森県では増加しています。15年と22年を比較すると、作付面積は620ヘクタール増の2,250ヘクタール、出荷量は2万3100トン増の4万9100トンとなっています。
作付面積の推移
出荷量の推移
22年の東京都中央卸売市場におけるごぼうの月別県別入荷数量を見ると、旬は秋から冬のため9月からの入荷が多くなり、青森県産が大半を占めています。夏場は、夏ごぼうと言われている新ごぼうの産地である群馬県産の入荷が多くなります。
平成22年 ごぼうの月別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)
22年の大阪中央卸売市場におけるごぼうの月別県別入荷数量を見ると、主に北海道産と茨城県産を中心に、通年で全国から入荷しています。旬の始まる9月から入荷が多くなり、夏場は群馬県産が多く入荷しています。
平成22年 ごぼうの月別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)
東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場におけるごぼうの平成23年の価格の推移を見ると、キログラム当たり217~375円(年平均単価308円)となっています。
15年と比較すると、天候により卸売価格に変動はありますが、いずれも出荷量の多い秋口から価格が安くなっています。ごぼうは、周年供給されており、通年での価格の変動幅は小さくなっています。
資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」
輸入量の推移
平成23年の輸入量を見ると、生鮮ごぼうは45,569トン(前年比23.6%増)、冷凍ごぼうは7,685トン(同3.1%減)、塩蔵等ごぼうは1,072トン(同13.3%減)となっています。23年の輸入先国を見ると、生鮮ごぼうは、9割を中国から輸入し、冷凍ごぼうと塩蔵等ごぼうは、全量を中国から輸入しています。18年は日本国内の作付面積が減少したことに加え、天候不順による不作により輸入が増加しましたが、19年からは残留農薬の規制強化(ポジティブリスト制度)や中国における冷凍食品事件の影響により輸入は減少しました。
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)
購入量の推移
ごぼうの1人当たり年間購入量は、平成16年の705グラムをピークに年々減少し、23年には629グラムとなっています。
資料:農畜産業振興機構「べジ探」(原資料:総務省「家計調査年報」)
豊富なポリフェノールや食物繊維が体にうれしい “ごぼう”
ごぼうはポリフェノールや食物繊維を豊富に含み、ダイエットに効果的な野菜として、女性を中心に人気を集めています。
ごぼうの原産地は、ユーラシア大陸北部といわれています。日本での栽培起源は明らかではありませんが、「本草和名」(918年)などの文献に記述があることから、この時代より前には中国から渡来していたようです。しかし、このときは薬草として渡来したようで、後に野菜として利用されるようになりました。日本では根菜として日常的に食されているごぼうですが、これは世界的にみてとても珍しいようです。戦時中、外国人捕虜へおかずとしてごぼうを供したところ、「木の根を食べさせられた」と誤解された、という逸話もあります。
ごぼうという和名は、漢名の「牛蒡」が語源といわれています。中国では草木の大きなものに「牛」が冠され、ごぼうに似た草の名に「蒡」が使われていたため、その植物より大きいことから牛蒡になったようです。
ごぼうの品種分化はそれほど多くなく、長根種と短根種に大別されます。流通の主流となっているのは長根種の滝野川ごぼうで、主な産地は茨城県などの関東近郊産地や青森県、熊本県、宮崎県などです。周年流通しているごぼうですが、旬は晩秋から初冬にかけてといわれています。
ごぼうは、縁起の良い食材としておせち料理にも用いられます。地中に細く長く根を張ることから、「土台を固め、細く長く幸せに」という願いが込められているようです。縁起が良く、からだも喜ぶごぼうは、日本人にとって欠かせない食材のひとつです。
もっとおいしく! ごぼうは、香りを楽しんでいただきたい野菜です。香り成分は皮の近くにたっぷりと含まれているので、泥を落としたごぼうは皮付きのままきんぴらや天ぷらにして、風味をご堪能ください。
これからの季節、鍋料理の出番が多くなりますが、鍋料理の食材に、積極的にごぼうを利用しましょう。
情報提供:東京青果株式会社
加藤 宏一
おいしいごぼうを選ぶには
ごぼうは、熟度が過ぎると根の中心部に空洞ができ、ス入り現象をおこします。手に持った感じが軽いもの、切り口が黒ずんでいるものやひび割れているものは古く、スが入っている可能性があるので避けましょう。
まっすぐに伸び、弾力があるものを選びましょう。
ごぼうの栄養と機能性
ごぼうは、食物繊維を豊富に含む野菜として知られています。食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、ごぼうはどちらも同様に含んでいます。
水溶性食物繊維のイヌリンは、果糖から成る多糖で、腸内での糖分の吸収を遅らせて血糖値の上昇を抑えるため、糖尿病予防に効果的です。また、不溶性食物繊維のリグニンは、腸内で有害な物質を吸着して体外へ排出する働きや、腸が食物を送る運動を活発にして便秘を解消する働きがあり、肥満予防や美肌効果が期待できます。
そのほか、赤血球の生成や細胞の新生に不可欠な葉酸、骨を構成する重要な成分のひとつで、筋肉の収縮や神経の興奮を抑える作用があるマグネシウムなども豊富に含みます。
「日本食品標準成分表2010」ごぼう(根、生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるごぼう(根、生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、食物繊維は目標量、カリウムおよびビタミンEは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた)。
監修:実践女子大学教授
田島 眞
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ごぼうの香りと旨みは、皮付近に多く含まれています。なるべく皮はむかずに、たわしなどでよく水洗いするか、包丁の背で皮の表面を薄くこそげ落とす程度にしましょう。
空気に触れると、アクの成分が酵素の働きで茶色く変色するので、切ったらすぐに酢水にさらし、変色を防ぎます。ただし、長時間水にさらしたままにすると、香りと旨みが抜けてしまうので、水にさらす時間は2~3分を目安にしましょう。
ごぼうの繊維は縦に走っており、繊維に沿って切れば歯ごたえが楽しめます。また、ささがきにすればやわらかめに仕上がるので、好みによって切り方を変え、楽しみましょう。
泥がついているごぼうは、乾燥しないように新聞紙で包み、冷暗所に立てて保存しましょう。
水洗いしたごぼうは、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。鮮度が落ちやすいので、できるだけ早めに使い切りましょう。
きんぴらごぼうなど、調理したものは密閉袋に入れて冷凍保存も可能です。また、ささがきや千切りなど、使う大きさに切ってゆでたものを冷凍しておくと、時間がないときにサッと使えて便利です。