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今月の野菜

ねぎの需給動向

作付面積・出荷量の推移

 ねぎの生産は、出荷時期により春ねぎ、夏ねぎ、秋冬ねぎに区分されます。主に春ねぎは千葉県と茨城県を中心に、夏ねぎは茨城県と北海道を中心に、秋冬ねぎは埼玉県と千葉県を中心に生産されています。
 平成22年の作付面積は23,100ヘクタール(春ねぎ3,390ヘクタール、夏ねぎ5,120ヘクタール、秋冬ねぎ14,600ヘクタール)、出荷量は376,200トン(春ねぎ71,100トン、夏ねぎ78,000トン、秋冬ねぎ227,100トン)となっています(作付面積の全国計は、ラウンドの関係で、春・夏・秋冬ねぎの合計値と一致していません)。

作付面積の推移


資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」

出荷量の推移


資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」

 平成22年の東京都中央卸売市場におけるねぎの月別県別入荷数量を見ると、年間を通して安定した入荷となっています。冬が旬のため10~3月に入荷が多く、主に、青森県産、千葉県産、埼玉県産と茨城県産が入荷しています。

平成22年 ねぎの月別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)



資料:東京都「平成22年東京都中央卸売市場統計年報」
注:( )内の数値は、月別出荷量全体に占める割合(%)である。

 大阪府中央卸売市場におけるねぎの月別県別入荷数量を見ると、冬野菜のため、10月から入荷が多く、周年で鳥取県産が入荷しており、8月からの夏ねぎは、北海道産が多く入荷しています。その他に、大分県産、香川県産、群馬県産など全国から入荷しています。

平成22年 ねぎの月別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)



資料:大阪府「平成22年大阪府、大阪市中央卸売市場年報」
注:( )内の数値は、月別出荷量全体に占める割合(%)である

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における平成23年の価格の推移を見ると、ねぎはキログラム当たり171~316円(年平均単価255円)となっています。
 平成15年と比較すると、出荷量は天候に左右されるため、卸売価格に変動はありますが、いずれも出荷量の多い秋口から価格が安くなっており、周年供給体制の確立により、通年での価格の変動幅が小さくなっています。

資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」

輸入量の推移

 平成23年の輸入量を見ると、生鮮ねぎは52,479トン(前年比4.6%増)、冷凍ねぎは8,513トン(同6.4%増)となっています。平成23年の輸入先国を見ると、生鮮ねぎ、冷凍ねぎともに、ほぼ全量を中国から輸入しています。生鮮ねぎは、安価で品質も向上し、安定供給される中国からの輸入が増加しており、主に外食など業務関係に使用されています。

資料:農畜産業振興機構「べジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)

資料:生鮮ねぎは農畜産業振興機構「べジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)、
    冷凍ねぎは農林水産省「植物防疫統計」
注:冷凍ねぎについては、検査数量の数値である。

購入量の推移

 ねぎの1人当たり年間購入量は、薬味や鍋に欠かせない具材として人気があるため、安定して推移しています。平成15年からのデータを見ると、1,700グラム前後で推移しています。

資料:農畜産業振興機構「べジ探」(原資料:総務省「家計調査年報」)

今月の野菜 

民間療法や日本文化に古くから取り入れられている“ねぎ”


東日本で
流通の多い
根深ねぎ


白根部分が
かなり長い
軟白ねぎ


市場から

 ねぎは、中国や我が国で古くから食され、親しまれてきた野菜のひとつで、風邪をひいた時にねぎ湯を飲むなど、民間療法としても古くから利用されていました。また、ねぎの総包は「ねぎ坊主」とも呼ばれますが、種子がたくさんできることなどから豊年満作・長寿に通じ縁起が良いとされ、御輿みこしの飾りや古い橋の欄干に擬宝珠ぎぼしとして取り入れられています。

 ねぎの原産地は、中国西部といわれていますが、野生種は発見されていません。我が国への伝来の時期ははっきりしていませんが、奈良時代にはすでに栽培されていたようで、『日本書紀』(720年)には「秋葱(あきき)」の名で登場しています。
 ねぎは臭気が強いことから、古くは「葱(き)」と呼ばれていました。のちに、根(植物学上は葉鞘ようしょうといわれる部分)を主に食用とすることから、葱の上に根を付けて「ねぎ」と呼ばれるようになりました。

 ねぎは本来温帯の野菜ですが、耐寒性、耐暑性がともに強いため、酷寒のシベリアでも越冬し、熱帯にも生育します。冬季に生長を停止して休眠する夏ねぎ型と、冬季に生長を続けて休眠しない冬ねぎ型のものがあり、これが品種・作型分化の根本となっています。品種は、休眠性や株の大きさ、葉の質などによって、加賀群、千住群、九条群に大別され、温度適応性は品種群によって大きく相違します。近年は、固定種の市場流通はほとんどなく、F1品種が主力となっています。

 北海道から九州まで広く栽培され、周年流通しているねぎですが、旬は11~1月です。主に、東日本では根深ねぎ(千住群)、西日本では葉ねぎ(九条群)の流通が多く、千葉県や埼玉県などの関東が主産地となっています。

 寒さが本格的になる頃のねぎは、やわらかみを増し、旨みも強くなるといわれています。これからおいしさの増すねぎを、たっぷりと堪能しましょう。

もっとおいしく!

 おすすめは、ねぎをたっぷりと用いたネギチャーハンです。ねぎの風味が口いっぱいに広がっておいしいですよ。

 また、すき焼きなどの鍋料理に用いれば、肉や魚の臭みを消すとともに、加熱によってねぎが甘くやわらかな口当たりになります。

情報提供:東京青果株式会社
 加藤 宏一
おいしいねぎを選ぶには
 ねぎは、新鮮なものは巻きがかたいので、巻きがしっかりとしていて、葉先までハリのあるもの、切り口や根がみずみずしいものを選びましょう。
 根深ねぎ(白ねぎ)は、ねぎの生長にあわせて盛り土をかぶせ、日光を遮ることで白く長い軟白部をつくっています。そのため、白と緑の境目がくっきりしているものほど、より丹念に育てられた証しともいえます。

 

ねぎの栄養と機能性


 ねぎは、白根の部分と緑の葉の部分とで含まれる栄養成分が異なり、β-カロテン(体内でビタミンAに変換されます。)が豊富な葉の部分は緑黄色野菜、白根の部分は淡色野菜に分類されます。
 ビタミンAは、皮膚やのどなどの粘膜を健康に保つ働きがあり、感染症を予防するとともに、強い抗酸化力により有害な活性酸素を消去し、老化やがん予防に役立ちます。また、葉酸は、ビタミンB12と協力して新しい赤血球を正常に作り出し、貧血予防や動脈硬化予防に役立つとともに、細胞新生に必要な核酸を合成するために関与し、胎児の健康的な成長を助ける働きがあります。
 そのほか、コラーゲンの合成に必要なビタミンで、皮膚や骨の健康を維持するビタミンC、血液を凝固させ、けがや内出血を起こした時に止血する働きがあるビタミンKなども含まれています。

「日本食品標準成分表2010」根深ねぎ(葉、軟白、生)・葉ねぎ(葉、生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合における根深ねぎ(葉、軟白)・葉ねぎ(葉、生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、ビタミンK、ビタミンEおよびカリウムは目安量、食物繊維は目標量、そのほかは推奨量の値を用いた)。



疲労回復に役立つねぎの“アリチアミン”



 ねぎ特有の辛みはアリシン(硫化アリル)によるもので、このアリシンは、にんにくやたまねぎにも含まれています。
 アリシンは、体内でビタミンB1と結合してアリチアミンという物質になります。ビタミンB1は、糖質からのエネルギー産生に欠かせないビタミンですが、腸内細菌の分解酵素により分解されやすく、また、水溶性であるため体内に長く貯えられません。しかし、アリチアミンになると脂溶性に変わり、ビタミンB1の吸収が促進されるとともに、体内に貯えられやすくなります。
 そのため、アリチアミンは疲労回復や新陳代謝の活性化などに役立ちます。

監修:実践女子大学教授
田島 眞





ねぎのいろいろ 種類・品種の特徴

※クリックすると拡大します。


監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和

ねぎの主要産地 注:図中の番号は収穫量の多い順番、期間は主な出荷期間を表しています。
資料:農林水産省「平成22年産野菜生産出荷統計」、東京都「東京都中央卸売市場年報」、
    大阪府「大阪府中央卸売市場年報」

調理のヒントと保存方法

調理のヒント

 ねぎ特有のにおいは、肉や魚の臭みを消し、食欲を増してくれます。ねぎは、麺類や豆腐料理の薬味、鍋料理や油炒めなど、日本料理に大活躍する食材です。
 根深ねぎの緑の葉の部分は捨ててしまいがちですが、カロテンやビタミンCが豊富に含まれているので、薬味、肉や魚の臭み消しなど、上手に利用しましょう。白髪ねぎにする際は、4~5センチ程の長さに切り、縦に切り込みを入れて芯を取り除きます。1枚ずつはがし内側の薄い膜を取り除いて重ね、繊維に沿って千切りにします。水に浸してパリッとさせ、薬味やサラダなどに用いましょう。
 また、ねぎに含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収を強めるので、ビタミンB1が多く含まれる豚肉などと調理すると、疲労回復に効果的です。

保存方法

 空気が入るように葉先を出して新聞紙で包み、日の当たらない涼しい場所で保存しましょう。ねぎは、皮をむかれ切断されても生長しようとする性質があるので、保存する際は曲がらないように立てて保存します。
 洗ったものは、養分を奪う根元を切り落として葉と茎に切り分け、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
 みじん切りや小口切りなどにして密閉容器に入れ、冷凍保存も可能です。1回分ずつ小分けにしてラップで包めば、調理の際、使いやすいです。







今月の野菜「ねぎ」 

産地紹介
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