作付面積・出荷量の推移
メロンは、茨城県、北海道、熊本県で全国の出荷量の約6割を占めており、次いで山形県、静岡県、青森県、愛知県などでも生産されています。平成22年の作付面積は8,560ヘクタール、出荷量は16万9,900トンとなっています。
平成15年と平成22年を比較すると、作付面積は11,900ヘクタールから8,560ヘクタールへと減少し、出荷量も24万3,900トンから16万9,900トンへと減少しています。
作付面積の推移
出荷量の推移
東京都中央卸売市場における平成22年のメロンの月別県別入荷数量を見ると、5~8月に入荷が集中しており、茨城県産が大半を占めています。茨城県産の入荷量が少なくなる7月以降は、山形県産、青森県産、北海道産と産地は北へ移ります。
平成22年 メロンの月別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)
大阪府中央卸売市場における平成22年のメロンの月別県別入荷数量を見ると、5~9月に入荷が集中しており、北海道産が多く占めています。そのほか、茨城県産、熊本県産、山形県産など各産地から入荷しています。
平成22年 メロンの月別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)
東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場におけるメロンの平成23年の価格は、キログラム当たり326~873円(年平均単価552円)で推移しています。
メロンの平成15年と平成23年の価格の推移を見ると、いずれも出荷量が比較的少ない冬季は高値となっています。
資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」
輸入量の推移
総輸入量のほとんどを生鮮メロンが占めており、カットフルーツの原料などに周年輸入されています。そのほかに、わずかですが加工用の冷凍メロンが輸入されています。平成23年の輸入量を見ると、生鮮メロンが32,948トンとなっていますが、平成16年をピークに減少傾向にあります。平成23年の輸入先国を見ると、メキシコが71%を占め、次いでアメリカの25%、韓国の3%となっています。
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)
購入量の推移
1人当たりのメロンの年間購入量は、平成17年の1,157グラムをピークに減少し、平成19年以降は、800グラム前後で推移しています。
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:総務省「家計調査報告」)
輸出量の推移
日本の生産量が減少している中で、香港への輸出量が増加しています。そのほかに、少量ですが、台湾、オマーン、シンガポールなどへも輸出されています。香港への輸出増加は、新たな販路の拡大やアジア地域の経済発展に伴う富裕層の増加などによるものです。
資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)
ジューシーな果肉と豊かな香りが人気の“メロン”
ちょっと贅沢な食後のデザートといったイメージのメロンは、豊かな香りと甘みが魅力です。
メロンの原産地は、アフリカや中近東といわれており、古代エジプト時代の寺院の壁画にもみられるように、その頃から栽培されていたようです。マクワウリやシロウリといった東洋系は、弥生時代からわが国へ渡来していたようです。また、露地メロンは明治初年にアメリカから導入されましたが、日本の多湿な気候に適生しなかったため、夏に乾燥する東北と北海道の一部で栽培されたようです。明治中後期にはヨーロッパ系メロンが、大正14年にはイギリスからアールス・フェボリット種(アールスメロン)が導入され、温室メロン(アールスメロンなど)は高級品、マクワウリは庶民派として、長い間、用途と購買層が区別されていました。しかし、昭和30年代後半に両者を交配してできた‘プリンスメロン’が登場したことにより、一般庶民の間でも広く食されるようになりました。
メロンの名は、「りんごのような瓜」を意味するギリシャ語の『mēlopepōn』に由来します。また、香りのよい系統の総称であるマスクメロンの「マスク」は
メロンは、マクワウリに代表される東洋系と、西洋系に大別されますが、現在出回っているメロンの太宗は西洋系メロンで、これは温室メロンと露地メロン(ハウスメロンも露地メロンとして取り扱われています)に分けられます。わが国で最も栽培されている品種はアンデスで、市場への出荷は熊本県からはじまり、茨城県、山形県と続きます。出荷のピークは5~7月で、8月以降は北海道産が主流になります。
今年は生育期の天候不順により1~2週間ほど遅れて出回っているものの、5月は天候が良く、この時期に開花したものは出来が良いそうです。7~9月は、より品質の優れたメロンの出回りが期待されます。
メロンはキューブ状に切ってボウルなどに入れて冷蔵庫にしまい、おやつ代わりに手軽に食べてはいかがでしょうか。切ったら2~3日以内に食べるようにしましょう。
果梗(かこう)基部(果実の上のくぼみ)にひび割れが出ているメロンは食べごろですので、これを目安に、おいしくいただきましょう。
メロンの栄養と機能性
メロンの主成分は、果糖やブドウ糖などの糖質で、吸収が早いため即効性のあるエネルギー源になります。
メロンに豊富に含まれているカリウムは、体内の余分な水分を排出してむくみを取るほか、余分なナトリウムを排出して血圧を下げ、高血圧を予防する効果があります。そのほかに、皮膚や骨の健康を維持するために欠かせないビタミンで、鉄の吸収率を高めたり、強い抗酸化力により過酸化脂質の生成を抑えて動脈硬化や脳卒中を予防するビタミンC、赤血球を正常に生成するために必要なビタミンで、たんぱく質や細胞の新生において重要な役割を担う葉酸などを含みます。
また赤肉種には、免疫力を高めるほか、抗酸化力により老化やがんの抑制に効果的なビタミンAも豊富に含まれています。
「日本食品標準成分表2010」メロン(温室メロン・生、露地メロン・生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるメロン(温室メロン・生、露地メロン・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、カリウムは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた)。
監修:実践女子大学教授
田島 眞
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熟していないメロンは常温で保存し、追熟させてから食べましょう。一般的に、つるがしなび、おしりの部分がやわらかくなり、香りが強くなるという変化の表れが、食べごろのサインといわれています。冷やし過ぎると味が落ちてしまうので、食べる2~3時間前に冷蔵庫に入れて冷やします。
生ハムと相性が良いので、果肉を生ハムで巻いてレモン汁やブランデーをかけ、前菜として用いたり、フォークなどで軽くつぶして凍らせ、シャーベットにしてもおいしいです。
食べ残ったメロンは、種を取り出してから切り口をしっかりとラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。食べごろを過ぎたら保存がきかないので、2~3日で食べ切りましょう。
また、冷凍保存する際は、適当な大きさにカットして密閉袋に入れ、冷凍します。凍ったままジュースなどに用いることができ、楽しめます。