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今月の野菜

にらの需給動向

作付面積・出荷量の推移

 にらは、高知県と栃木県で全国の出荷量の約4割を占めており、次いで茨城県、群馬県、宮崎県、福島県、北海道などでも生産されています。平成22年の作付面積は2,240ヘクタール、出荷量は5万7,400トンとなっています。
 平成15年と22年を比較すると、作付面積は2,010ヘクタールから2,240ヘクタールへと増加し、出荷量も5万6,600トンから5万7,400トンへと増加しています。

作付面積の推移


資料:農林水産省「地域特産野菜の生産状況」

出荷量の推移


資料:農林水産省「地域特産野菜の生産状況」

 東京都中央卸売市場における平成22年のにらの月別県別入荷数量を見ると、1年を通して栃木県産と茨城県産が大半を占めています。栃木県産や茨城県産の入荷量が少なくなる6~9月は、山形県産の入荷量が増加します。

平成22年 にらの月別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)



資料:東京都「平成22年東京都中央卸売市場統計年報」
 注:( )内の数値は、月別出荷量全体に占める割合(%)である。

 大阪府中央卸売市場における平成22年のにらの月別県別入荷数量を見ると、1年を通して高知県産と大分県産が主体となって入荷しており、そのほかに宮崎県産なども入荷しています。

平成22年 にらの月別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)



資料:大阪府「平成22年大阪府、大阪市中央卸売市場年報」
 注:( )内の数値は、月別出荷量全体に占める割合(%)である。

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場におけるにらの平成23年の価格は、キログラム当たり269~874円(年平均単価511円)で推移しています。
にらの平成15年と平成23年の価格の推移を見ると、いずれも出荷量が比較的少ない冬季は高値となっています。

資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」

輸入量の推移

 平成23年の輸入量を見ると、冷凍にらが3,011トンとなっています。平成23年の輸入先国を見ると、中国からの輸入が大半を占めており、このほか少量ですがインドネシアからも輸入されています。冷凍にらは、中国でカットされた状態で加工され、主に業務用として輸入されており、食品加工会社などで惣菜などに使用されています。

資料:農林水産省「植物防疫統計」
注:検査数量の数値である。  

資料:農林水産省「植物防疫統計」
注:検査数量の数値である。 


今月の野菜 

夏に打ち勝つスタミナ野菜
“にら”


立てた状態で
出荷されます


結束テープで
束ねられたにら


市場から

 独特の香りを放つにらは、肉や魚の生臭さをやわらげてくれるだけでなく、栄養価に富んだ緑黄色野菜です。
 にらの原産地は、中国西部といわれています。わが国でも9世紀頃から栽培されていたようで、『古事記』や『日本書紀』にも記載されています。にらは古くから、かゆに混ぜて整腸剤として用いられるなど、薬効のある野菜とされていました。しかし、強いにおいが好まれず、本格的に野菜として広まりをみせたのは、戦後になってからのようです。
 語源には、古名である「加美良(かみら)」や「久々美良(くくみら)」の「みら」がなまって「にら」と呼ばれるようになった、という説があります。
 にらはユリ科に属する多年生草本で、ねぎの仲間です。耐寒・耐暑性が極めて強く、刈り取った後の株から再び新葉が伸び、年数回の収穫が可能ですが、最初に収穫されるものは最も味がよいといわれています。
 にらは周年流通していますが、春の季語でもあるように、旬は春先から初夏にかけてです。冬から春にかけて出回るものは葉肉が薄くやわらかで、夏に出回るものは肉厚で緑色が濃く、ややかためです。北海道から沖縄まで全国的に栽培されていて、主な産地は高知県、栃木県、茨城県です。近年のにらの作付けは、全体的に横ばいから微増傾向にあるようです。東京市場へは茨城県や栃木県を中心に入荷されていて、冬から春にかけては関東産、春から夏にかけては東北産の入荷が多くなります。最近流通の多い品種は、“ワンダーグリーンベルト”や“パワフルグリーンベルト”などです。
 生命力の強いにらは、食べると元気の出るスタミナ野菜です。炒め物や煮物、お浸し、ぎょうざの具など、色々なお料理で楽しみ、パワーをつけましょう。

もっとおいしく!

 にらは、スタミナ切れになりやすい夏場に、積極的に食べていただきたい緑黄色野菜です。
 おすすめは、にらをたっぷり用いた卵とじです。また、レバニラ炒めや野菜炒めも、スタミナ補給にうってつけのお料理です。
 にらをたくさん食べて、今年の夏を乗り切りましょう。

情報提供:東京青果株式会社
 加藤 宏一
おいしいにらを選ぼう!
 にらは、葉先のハリで鮮度をチェックしましょう。葉先が枯れていたり垂れているものは、鮮度がおちているので避け、葉先までピンと張っているものを選びましょう。
 また、葉の色が濃く肉厚で、香りの強いもの、切り口が新しく、茎の部分がしっかりとしていて弾力性のあるものを選びましょう。

 

 

 

にらの栄養と機能性


 江戸時代の農業書に「陽気草」と記されていたにらは、古くから栄養価の高い野菜として用いられていました。
 ビタミン類を豊富に含んでおり、血液を凝固させたり、丈夫な骨づくりに重要な役割を果たすビタミンK、ビタミンB群の一種で、ビタミンB12とともに新しい赤血球を健康につくり出したり、胎児の健康的な発育を助ける葉酸、皮膚やのどなどの粘膜を健康に保ち、免疫力を高めるビタミンA、強い抗酸化作用をもち、細胞の老化を防いでくれるビタミンEなどを含みます。
 また、セレンというミネラルも含んでいます。このセレンは、ビタミンE同様に、老化予防やがんを抑制する働きが期待されています。


「日本食品標準成分表2010」にら(葉・生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるにら(葉・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、ビタミンK、ビタミンEおよびカリウムは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた)。



弱った胃腸を整えるにらの“硫化アリル”



 にらには独特のにおいがありますが、これは“硫化アリル”というにおい成分によるものです。にんにくやらっきょうにも含まれる成分で、さまざまな健康効果が期待されています。
 この成分には、消化液の分泌を促し胃腸の働きを助ける効果があるほか、自律神経を刺激し血液の循環を促す働きがあります。このため、にらは古くから体を温める野菜とされており、雑炊やかゆに用いてかぜの予防に役立てられていました。
 また、抗菌作用があるほか、抗酸化作用があるので、糖尿病、動脈硬化、がんなどの予防にも効果があるといわれています。

監修:実践女子大学教授
田島 眞





にらのいろいろ 種類・品種の特徴

※クリックすると拡大します。


監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和  写真提供:(株)武蔵野種苗園

にらの主要産地  注:図中の番号は収穫量の多い順番、期間は主な出荷期間を表しています。
資料:農林水産省「平成22年産野菜生産出荷統計」、東京都「東京都中央卸売市場年報」、大阪府「大阪府中央卸売市場年報」

調理のヒントと保存方法

調理のヒント

 にらは、あらかじめ切っておくと酵素の作用でにおいがきつくなるので、調理の直前に切るようにしましょう。
 肉やレバー、卵などの動物性食品と相性がよいといわれているので、ぎょうざの具やレバニラ炒め、卵とじなどがおすすめです。
 加熱すると甘味が出て、刺激臭も和らぎますが、火を通しすぎるとくたくたになってしまうので、歯ごたえを生かしたい場合は、加熱しすぎないように注意しましょう。

保存方法

 にらは、一度しおれてしまうと水につけても戻りません。ぬれた新聞紙やキッチンペーパーで包み、さらにラップで包んで冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。保存する際は、葉先が折れないように気をつけましょう。
 冷凍保存する際は、使う大きさに切って小分けにし、ラップで包んで冷凍します。炒め物やスープなどにすぐ使えるので便利です。







今月の野菜「にら」 

産地紹介
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