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今月の野菜

そらまめの需給動向

作付面積・出荷量の推移

 そらまめは、鹿児島県、千葉県、茨城県で全国の出荷量の約6割を占めており、愛媛県、長崎県、宮城県、新潟県などで主に生産されています。平成22年の作付面積は2,290ヘクタール、出荷量は1万3,900トンとなっています。
 平成15年と22年を比較すると、作付面積は2,480ヘクタールから2,290ヘクタールへと減少しており、出荷量も1万6,300トンから1万3,900トンと減少しています。

作付面積の推移


資料:農林水産省「地域特産野菜の生産状況」 

出荷量の推移


資料:農林水産省「地域特産野菜の生産状況」

 東京都中央卸売市場における平成22年のそらまめの月別県別入荷数量を見ると、3~6月に入荷が集中しており、3~4月は鹿児島県産が大半を占めています。5月は千葉県産、愛媛県産、長崎県産、6月は茨城県産、宮城県産、新潟県産と産地が移ります。

平成22年 そらまめの月別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)



資料:東京都「平成22年東京都中央卸売市場統計年報」
 注:(  )内の数値は、月別入荷量全体に占める割合(%)である。

 大阪府中央卸売市場における平成22年のそらまめの月別県別入荷数量を見ると、4~6月にかけて入荷が集中しており、4月は鹿児島県産、5月は、長崎県産、和歌山県産、愛媛県産、6月は岡山県産を中心に産地が移ります。

平成22年 そら豆の月別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)



資料:大阪府「平成22年大阪府、大阪市中央卸売市場年報」
 注:(  )内の数値は、月別入荷量全体に占める割合(%)である。

東京都中央卸売市場における価格の推移

  東京都中央卸売市場におけるそらまめの平成23年の価格は、キログラム当たり346~844円(年平均単価565円)で推移しています。
 そらまめの平成15年と平成23年の価格の推移を見ると、入荷量の多い4月~7月にかけては安価となっており、入荷の少ない冬季は高値となっています。また、平成15年のキログラム当たりの年平均単価は521円となっており、平成23年と比べて月ごとの価格差はあるものの、平均単価は、いずれも500円代となっています。

資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」

輸入量の推移

 平成23年の輸入量を見ると、冷凍そらまめが112トンとなっています。平成23年の輸入先国を見ると、中国からの輸入が大半を占めており、このほか少量ですがフランスからも輸入されています。冷凍そらまめは、中国で加工され、業務用および家庭用として輸入されており、業務用は外食産業やスーパーなどの惣菜用として使用されています。

資料:農林水産省「植物防疫統計」
 注:検査数量の数値である。

資料:農林水産省「植物防疫統計」
注:検査数量の数値である。


今月の野菜 

さわやかな初夏を感じる
“そらまめ”


市場流通の多い
一寸そらまめ


さやの中の
そらまめ


市場から

 ほのかな甘さとやわらかな口当たりが特徴のそらまめは、初夏の味覚のひとつとして親しまれています。
 そらまめの原産地には諸説ありますが、中央アジアから地中海沿岸とされています。利用の歴史は古く、紀元前5000年頃の新石器時代から利用されていたと考えられています。日本への伝来は、奈良時代(8世紀)に来日したインド僧が、中国で入手した種子を行基菩薩に伝え、菩薩が兵庫県武庫村で試作させたのが起源とされていますが、書物へは「多識篇」(1631年)に初めてその名が記載されています。当時のそらまめは、小粒~大粒のさやが短いもので、裏作物の重要な一員として栽培されていたようです。その後、明治以降(19世紀)になり、明治政府がイギリス、フランス、スペインなどの欧州から、長莢系統の中・小粒種を導入しました。
 そらまめの名の由来は、空に向かってさやが実ることから「空豆」、さやの形が蚕の作るまゆに似ていることから「蚕豆」という字があてられたようです。また、地域によっては収穫される季節にちなんだ名前がつけられており、四月豆、五月豆、夏豆と呼ばれています。
 そらまめは、若い豆は野菜として、完熟し乾燥させた豆は味噌や醤油、あんの原料や、煮豆、甘納豆などに利用されます。青果用の品種は、早生種、長莢種、大粒種に大別され、現在は、大粒種の一寸そらまめが主流となっています。市場出荷は5月をピークに4~6月が多く、主な産地は鹿児島県や千葉県などです。今年は寒波の影響を受け、4月の入荷量は前年より少なめ、価格は高め傾向となりました。生育の遅れたものが5月中旬以降に入荷されれば、価格が下がる可能性もありますので、お買い得のチャンスをお見逃しなく。
 そらまめは、季節野菜のひとつです。彩り鮮やかなそらまめを食卓に添え、初夏を感じてみてはいかがでしょうか。

もっとおいしく!

 定番の塩ゆでにする際は、ゆで過ぎや塩加減に気をつけましょう。
 また、彩りを生かし、裏ごししてスープやソースに用いるほか、香川県の郷土料理「しょうゆ豆」に挑戦してみるなど、色々な食べ方で楽しんでみてください。

情報提供:東京青果株式会社
 加藤 宏一
おいしいそらまめを選ぼう!
 そらまめは、さやの緑色が濃く、ハリとツヤのあるものを選びましょう。外から見て豆の形がはっきりとわかり、粒がそろっているものは良品です。
 また、さやに白いうぶ毛がうっすらと生えているものは新鮮です。背筋の部分が茶色いものは、鮮度が落ちているので避けましょう。
 そらまめは鮮度が落ちやすい野菜なので、より新鮮なものを選びましょう。

そらまめの栄養と機能性


 そらまめは、エネルギー源となるたんぱく質や糖質を豊富に含んでいます。
 また、ビタミンB群の一種で、赤血球の生成や細胞新生に重要な役割を担う葉酸、糖質の代謝をサポートするビタミンB1、美肌効果や抗酸化作用があり、鉄の吸収率を高めるビタミンCなど、ビタミン類を多く含みます。そのほか、細胞の活動を正常に調節するカリウム、貧血を予防する鉄など、ミネラルも多く含みます。
 ビタミンやミネラルが豊富なそらまめは、疲労回復や夏バテ防止に効果的です。

「日本食品標準成分表2010」そらまめ(未熟豆・生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるそらまめ(未熟豆・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、葉酸、ビタミンB1およびビタミンCは推奨量、そのほかは目安量の値を用いた)。



生活習慣病の予防が期待される“サポニン”



 "サポニン"は植物に含まれる苦味物質で、大豆やそらまめなど、マメ科の植物に含まれています。豆をゆでると泡立ちますが、"サポニン"は水に溶かすと泡立つという特徴があり、昔はせっけんとして利用されていました。
 "サポニン"には強い抗酸化作用があり、ガンや老化を予防する働きがあります。また、脂質の酸化を抑制し、中性脂肪やコレステロール値を低下させる働きもあり、肥満防止の効果が期待されています。
 そのほか、動脈硬化や高血圧、糖尿病など生活習慣病の予防や、肝機能の強化作用なども期待されています。

監修:実践女子大学教授
田島 眞





そらまめのいろいろ 種類・品種の特徴

※クリックすると拡大します。




監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和

そらまめの主要産地  注:図中の番号は収穫量の多い順番、期間は主な出荷期間を表しています。
資料:農林水産省「平成22年産野菜生産出荷統計」、東京都「東京都中央卸売市場年報」、大阪府「大阪府中央卸売市場年報」」

調理のヒントと保存方法

調理のヒント

 初夏の味覚のひとつであるそらまめ。塩ゆでしたものは、ビールのおつまみの定番ともいえます。
 ゆでる時は、さやから出して黒い筋の反対側に切り目を入れてから塩ゆですると、塩味がしみ込み、食べる時に薄皮もむきやすくなります。また、さやごと網焼きやグリルで焼くと蒸し焼き状態になり、旨みが凝縮されます。そらまめの薄皮には食物繊維が豊富に含まれています。鮮度のよいものは薄皮もやわらかめなので、薄皮も一緒に食べてみてください。
 そのほか、下ゆでしてから炒め物やパスタ、スープに用いれば、彩りの良い一皿になります。

保存方法

 そらまめは鮮度が落ちやすいので、なるべく買ったその日に調理しましょう。また、さやから出すと水分が失われてしまうので、さやは調理する直前にむくようにしましょう。
 塩ゆでしたものは、冷ましてからポリ袋やラップで包み冷蔵庫で保存し、1~2日で食べ切りましょう。すぐに食べない場合は、冷凍保存もできます。固ゆでして水気を切り、密閉袋に入れて冷凍庫へ。使う時は、凍ったまま熱湯に入れて解凍します。







今月の野菜「そらまめ」 

産地紹介
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