作付面積・出荷量の推移
らっきょうは、宮崎県、鳥取県、鹿児島県で全国の出荷量の約8割を占めており、徳島県、福井県などでも生産されています。平成20年の作付面積は1,043ヘクタール、出荷量は1万2,940トンとなっています。
平成12年と20年を比較すると、作付面積は1,002ヘクタールから1,043ヘクタールへとほぼ変わらず、出荷量も1万1,771トンから1万2,940トンと安定しています。
作付面積の推移
販売量/出荷量の推移
東京都中央卸売市場における平成22年のらっきょうの月別県別入荷数量を見ると、4月~7月に入荷が集中しており、4月~6月は鹿児島県産、5月~6月は鳥取県産、宮崎県産、6月~7月は茨城県産と産地が移ります。
平成22年 らっきょうの月別県別出荷実績
(東京都中央卸売市場計)
平成22年 らっきょうの月別県別出荷実績
(大阪府中央卸売市場、大阪市中央卸売市場(本場、東部)計)
東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場におけるらっきょうの平成23年の価格は、キログラム当たり185~1,804円(年平均単価899円)で推移しています。
らっきょうの平成15年と平成23年の価格の推移を見ると、入荷量の多い4月~7月にかけては安価となっており、ほとんど入荷のない冬季は高値となっています。
資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」
輸入量の推移
平成23年の輸入量を見ると、塩蔵等らっきょうが2,277トンとなっています。輸入された塩蔵等らっきょうは、甘酢漬けや醤油漬けなどに加工され利用されています。
平成15年、23年の輸入先国を見ると、100パーセント中国からの輸入となっており、輸入量は減少傾向にあります。一部の減少した塩蔵等らっきょうに替わって、中国国内で製品加工されたものの輸入が増加しています。
資料:農畜産業振興機構「べジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)
資料:農畜産業振興機構「べジ探」(原資料:財務省「貿易統計」)
食卓にひっそりたたずむ名脇役
“らっきょう”
カレーライスの付け合わせでおなじみのらっきょうは、独特の香りとシャキッとした歯ごたえが好まれています。
らっきょうの原産地は中国で、アジア東部に栽培が広まっていきました。日本へは平安時代に渡来し、新撰字鏡(892年)や本草和名(918年)などの書物には、『ナメミラ』や『オオミラ』の名で記載されています。延喜式(928年)によると当時は薬用に用いていたようで、野菜として普及されるようになったのは江戸時代に入ってからといわれています。
らっきょうの名は、漢字表記‘辣韮’に由来します。‘辣韮’は、りん茎の味が辛いことから「辛辣(しんらつ)な味のニラ」を意味し、この音読みが変化して‘らっきょう’となったようです。
らっきょうは、ユリ科ネギ属の多年草です。強健で吸肥力が強く、やせた土地でも育つため、開墾地や砂丘地帯で栽培されます。秋に淡紫色の花をつけ、翌年の初夏に葉しょう基部が肥大して長卵型のりん茎になり、りん茎が肥大したところで休眠に入ります。収穫するのは休眠前で、肥大したりん茎を食用とします。またらっきょうは、分けつが盛んでりん茎が多くでき、その分球で繁殖します。
らっきょうの品種は、大別して大球種と小球種に分けられます。大球種の代表品種は‘らくだ’、小球種は‘玉らっきょう’で、‘らくだ’が市場流通の主流となっています。らっきょうの旬は5~6月。らっきょうが市場に流通する期間は、この期間に限定されます。主要産地は鳥取県や鹿児島県、宮崎県で、若どりらっきょうの‘エシャレット’は、茨城県や静岡県など。今年は低温の影響により、平年よりも若干生育が遅めなようですが、ほぼ平年並みの入荷量が見込まれます。
一般的に、酢漬けや塩漬け、しょうゆ漬けなどの漬物に利用されるらっきょう。漬物にすれば、長い期間味わえる食卓の名脇役になります。さて、今年はおいしく漬けられるでしょうか。出来上がりが楽しみですね。
若どりのエシャレットは、生のまま味噌やマヨネーズを付けて食べると、お酒のお供に最適です。また、細かく刻んでよく炒め、カレーに加えると、スパイシーな味わいが楽しめます。
これから出回るらっきょうを漬物にし、漬ける楽しみと食べる楽しみを味わってみてはいかがでしょうか。
らっきょうの栄養と機能性
健胃、整腸、食欲増進などの作用があるといわれるらっきょうは、古くから薬として利用されていました。
栄養成分としては、糖質を多く含むほか、水溶性の食物繊維を多量に含んでいます。この食物繊維は、血糖や血清コレステロールの上昇を抑え、糖尿病や高脂血症の予防に効果的なほか、腸内環境を健康に保つ働きがあります。
また、コラーゲンの合成に不可欠で美肌効果があるビタミンCや、糖質をエネルギーに変える際に活躍するナイアシンを含みます。
「日本食品標準成分表2010」らっきょう(りん茎・生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるらっきょう(りん茎・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、食物繊維は目標量、ビタミンEおよびカリウムは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた)。
監修:実践女子大学教授
田島 眞
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独特の香りと辛みがあるらっきょうは、主に漬物や薬味として利用されます。
漬物にする際は、水で洗って薄皮をむき、根と芽先を切り落として数日下漬けしたものを本漬けすると、風味がでておいしく漬かります。また、手早く洗ってよく水を切り、なるべく水を吸わせないようにすると、歯ごたえが良く漬け上がります。
らっきょうに含まれる硫化アリルは、ビタミンB1の働きを高めます。豚肉などビタミンB1を多く含む食材と一緒に食べると疲労回復に効果的ですので、肉料理の薬味などに用いましょう。
土付きのらっきょうは芽がでやすいので、できるだけ早く使い切りましょう。
漬物を保存する瓶は煮沸消毒し、いくつかの小瓶に分けて冷暗所で保存すると、カビなどを防げます。だんだんやわらかくなり、シャキシャキ感がなくなってくるので、1年以内に食べ切りましょう。