作付面積・出荷量の推移
かぶは、千葉県が全国の出荷量の約2割を占めていますが、全国各地で生産されています。平成22年の作付面積は4,990ヘクタール、出荷量は11万7,100トンとなっています。
平成15年と22年を比較すると、作付面積は6,120ヘクタールから4,990ヘクタールへと減少しており、出荷量は14万600トンから11万7,100トンと減少しています。
作付面積の推移
出荷量の推移
東京都中央卸売市場における平成22年のかぶの月別県別入荷数量を見ると、1年を通して千葉県産が大半を占めています。千葉県産の入荷量が少なくなる6月~10月は、青森県産の入荷量が増加し、そのほか10月~6月にかけて埼玉県なども入荷されています。
平成22年 かぶの月別入荷実績
(東京都中央卸売市場計)
大阪府中央卸売市場における平成22年のかぶの月別県別入荷数量を見ると、10月~4月にかけて徳島県産、11月~2月は福岡県産、石川県産が入荷され、この3県で年間入荷量の大半を占めています。そのほか入荷量の少ない10月には青森県産なども入荷しています。また、入荷量の少ない4月~9月にかけては、徳島県産、京都府産、長野県産が少量ですが入荷しています。
平成22年 かぶらの月別入荷実績
(大阪中央卸売市場計)
東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場におけるかぶの平成23年の価格は、キログラム当たり98~174円(年平均単価123円)で推移しています。
かぶの平成15年と平成23年の価格の推移を見ると、入荷量の少ない8月~9月にかけて高値となる傾向があります。また、平成15年のキログラム当たりの年平均単価は115円となっており、平成15年から平成23年までのデータを見ると月ごとの価格差はあるものの年平均単価は120円前後で推移しています。
資料:東京都「東京都中央卸売市場統計」
独特の地方品種がたくさんある“かぶ”
かぶはアブラナ科アブラナ属の植物で、キャベツやはくさいと同じ仲間です。春の七草のひとつである「すずな」はかぶのことで、古来から重要な野菜として食されていました。
かぶの原産地には、中央アジア発祥という1元説と、これにヨーロッパ西南部の海岸地帯を加えた2元説があり、日本へは、中国またはシベリア方面から伝来したとみられています。中部地方では縄文時代後期から焼畑で栽培されていたといわれ、もっとも古く伝播した野菜のひとつです。「日本書紀」(720年)には、持統天皇が五穀の助けとしてかぶなどの栽培を勧めた記録があるほか、江戸時代には凶作時の対策として栽培を奨励されるなど、かぶは重要な食糧として全国で栽培されるようになりました。こうして、各地の気候や土壌条件などに応じて品種が分化し、特色ある地方品種が生まれていきました。古くから山間部で焼畑農法により栽培されている山形県の“
頭を振ることを「かぶりを振る」といいますが、かぶの名は、肥大した根部の丸い形が頭(かぶり)のようであることに由来しています。また、かぶは古くは「あおな」と呼ばれ、根だけでなく葉も重要視されていた野菜です。長野県原産の野沢菜に代表されるかぶなは、葉だけを食べるかぶの一種で、主に漬物に用いられます。
かぶをアジア系品種とヨーロッパ系品種に大別すると、アジア系品種は主として西日本に、ヨーロッパ系品種は主に東日本に分布し、中部地方の関ヶ原付近を境に東西に分かれています。また、大きさにより大かぶ・中かぶ・小かぶに分類されるほか、白かぶ・赤かぶ・青かぶなど、色による分け方もあります。現在、市場流通の主流となっているのは小かぶで、千葉県の柏や東庄が主要産地となっています。かぶは周年流通しています。15~20度の冷涼な気候を好むといわれ、10~12月が旬ですが、3~4月のかぶも甘みがあっておすすめです。
さまざまな地方品種が存在するかぶ。各地のかぶを食べ比べてみるのも、楽しそうですね。
漬物や煮物、汁物、シチューなど、さまざまな料理に用いられるかぶは、皮ごと浅漬けや甘酢漬けにして食べるのがおすすめです。赤かぶを用いれば、色合いもきれいに仕上がります。
また、かぶの葉は栄養豊富な緑黄色野菜ですので、味噌汁の具などに用い、無駄なく利用しましょう。
かぶの栄養と機能性
かぶは根と葉で大きく栄養成分が異なります。
根は淡色野菜でビタミンCやカリウムがやや多く、葉は緑黄色野菜で豊富な栄養成分を含みます。
皮膚や血管の老化を防ぐビタミンCや、皮膚や粘膜を健康に保つビタミンA、細胞の老化を防ぐビタミンEなど、多くのビタミン類を含みます。これらのビタミンはともに強い抗酸化力を持ち、有害な活性酸素から細胞を守る働きがあります。また、骨や歯を形成し、筋肉や神経の働きを調節するカルシウムなど、ミネラルも多く含みます。
「日本食品標準成分表2010」かぶ(根・皮つき・生、葉・生)より
30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるかぶ(根・皮つき・生、葉・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、食物繊維は目標量、カリウム、パントテン酸、ビタミンK・Eは目安量、そのほかは推奨量の値を用いた)。
監修:実践女子大学教授
田島 眞
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かぶはアクが少ないので下ゆでの必要がなく、そのまま調理できます。漬物や煮物、蒸し物、汁物など、さまざまな調理で楽しめるかぶですが、消化酵素やビタミンCを生かすなら、生のままサラダにするのがおすすめです。また、火の通りがはやいので、煮物などの調理の際は、煮崩れに注意しましょう。
葉にはビタミンやミネラルが豊富に含まれているので、捨てずに利用しましょう。葉はアクが強いので、熱湯で軽く下ゆでしてから使います。ビタミンA(β-カロテン)は油脂と一緒に調理すると吸収率が高まるので、油炒めがおすすめです。
かぶは葉と根を切り分け、別々に保存します。乾燥を防ぐため、ラップで包むかビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
葉は、冷凍保存も可能です。かために塩ゆでしてから水分を十分に絞り、ラップに包んで冷凍保存すれば、ちょっとした彩りを加えたい時に使えて便利です。