作付面積・出荷量の推移
にんにくは、青森県が全国の出荷量の約7割を占めており、このほか香川県などでも生産されています。平成21年の作付面積は2,140ヘクタール、出荷量は12,900トンとなっています。
平成14年と21年を比較すると、作付面積は1,990ヘクタールから2,140ヘクタールへとやや増加していますが、出荷量は、1万4,000トンから1万2,900トンと減少しています。しかし、近年は、岩手県、徳島県、和歌山県などの出荷量が増加傾向にあります。
作付面積の推移
出荷量の推移
東京都中央卸売市場における平成21年のにんにくの月別県別入荷数量を見ると、中国産と青森県産が主体となっておりほぼ周年出荷されています。また、5~7月は、香川県産も入荷しています。
平成21年 にんにくの月別入荷実績(東京都中央卸売市場計)
東京都中央卸売市場におけるにんにくの平成21年の価格は、キログラム当たり480~588円(年平均単価537円)、そのうち中国産にんにくは、キログラム当たり128~213円(年平均単価155円)で推移しています。
平成14年と平成21年の価格の推移を見ると、1年を通して安定した価格となっていますが、近年価格が上昇しています。
卸売価格の月別推移
総輸入量の大半を生鮮にんにくが占めており、そのほかにんにくの芽を主とした凍結にんにく(葉・花・茎菜類)やにんにくの球根である凍結にんにく(鱗茎類)が輸入されています。
平成21年の輸入量を見ると、生鮮にんにくが19,842トンとなっており、凍結にんにく(葉・花・茎菜類)が696トン、凍結にんにく(鱗茎類)が1,197トンとなっています。
平成21年の輸入先国を見ると、生鮮にんにくは中国からの輸入が99パーセントと大半を占めており、そのほか米国や韓国などから輸入されています。また、凍結にんにく(葉・花・茎菜類)および凍結にんにく(鱗茎類)は、すべて中国より輸入されています。
輸入量の推移
国別輸入量
輸出量の推移
生鮮にんにくの平成14年と平成21年の輸出先は、全量中国となっており、平成15年以降では、米国や韓国向けも多くなっています。
疲れを感じたら“にんにく”でスタミナ補給
食欲をそそる独特の香りを持つ‘にんにく’は、パンチのある風味が存在感を感じさせ、パスタや肉料理、炒め物などに欠かすことのできない野菜です。
‘にんにく’の原産地は中央アジアといわれています。紀元前3200年頃には古代エジプトで栽培されており、薬用や保健野菜として使用され、ピラミッド建設時の労働者には、たまねぎと共に強壮剤として重宝されていたようです。日本へは奈良時代に渡来し、日本現存最古の薬物辞典「本草和名」(918年)には最初の記述が残っています。当時はその臭いが好まれなかったため食用とはされず、薬用として栽培されていたようです。食用としては、第二次世界大戦後の食の洋風化に伴って広まり、現在ではスタミナ源となる香辛料として、さまざまな料理に用いられています。
‘にんにく’の語源は、どんな困難にも耐え忍ぶという意味の仏教用語の「忍辱」(にんにく)とされています。また、漢字では「大蒜」と書きます。根茎を食用とする臭いの強いネギ属の植物(ねぎ、のびる、にんにくなど)を総称して蒜(ひる)と呼んでおり、春にあぜ道や川岸の土手に野生で生える野蒜(のびる)と区別し、大蒜(おおひる)と称されました。
‘にんにく’は世界生産の大半を中国が占め、日本へも大量に輸入されています。市場での取扱高は中国産と国内産がおおよそ半々で、国内産では青森県が一大生産地として有名です。国内産は大ぶりで品質が高く、中国産は小ぶりで1片が小さく皮をむくのに手間がかかるため、国内産より安値で取引されており、国内産は高級品、中国産は低価格訴求品という位置づけですみ分けられています。‘にんにく’は保存性が高いため周年流通していますが、旬は新ものがでまわる5~9月です。また、通常は収穫後に乾燥させてから出荷されますが、7月頃には生のものも出荷されています。現在、市場流通の主流となっている品種は‘福地ホワイト’ですが、‘白玉王’という新しい品種も出回っています。
‘にんにく’は、疲労回復効果など栄養面での効果が注目され、近年ブームとなっています。炒めた時の香ばしいにおいには食欲をそそられますが、これは‘にんにく’からの「もっと食べて欲しい」というサインなのかもしれません。
もっとおいしく! オススメの食べ方 国内産のにんにくは、中国産のものよりも香りも味も格別の良さがありますので、是非、国内産の良い食材で調理していただきたいです。ステーキやパスタなどにたっぷりと使い、臭覚と味覚でにんにくの風味をお楽しみください。
にんにくの栄養と機能性
お料理の香辛料として欠かせない存在のにんにくは、糖質、ビタミンB1などが豊富です。
にんにく特有の強い香りのもとは、“アリシン”という成分で、強い抗菌作用や抗酸化作用を持ち、風邪の予防やがん予防などに効果的です。さらに、“アリシン”はビタミンB1と結合すると“アリチアミン”となり、ビタミンB1の吸収を高めるとともに、体内での持続性が良いと言われています。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるため、にんにくはスタミナ増強に効果的と言えます。また、“スコルジニン”という成分も含まれており、エネルギー代謝を活発にして肥満を防ぐ作用や、血行を高めて冷え性を改善する作用などがあります。
「五訂日本食品標準成分表」 にんにく(りん茎・生)より
30歳女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるにんにく(りん茎・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、ビタミンB6、葉酸およびビタミンB1は推奨量の値を、そのほかは目安量の値を用いた。)
監修:実践女子大学教授
田島 眞
にんにくは、1片の中央に細長い芽があり、アクやエグミを含んでいます。芽は消化されにくく、炒めると焦げやすいので、あらかじめ取り除きましょう。
フライパンを弱火にかけ油をひき、薄切りやみじん切りにしたにんにくをキツネ色になるまでじっくりと火を通します。焦げると苦味がでるので、香りがほどよくでたところで他の食材を加え、手早く炒め、味を整えます。
生でおろすと、香りが最も強くなります。カツオのたたきやラーメンの薬味として食すると、おいしさに加え、殺菌作用の効能も期待できます。ただし、大量に摂取すると体から臭気を放つほか、胃粘膜を傷つけ胃痛を起こす原因になるため、注意が必要です。
にんにくは、ネットに入れ風通しの良いところに吊るすと、数カ月程度も日持ちがします。
また、冷凍保存も可能で、ポリ袋でしっかり密閉すると、臭いを閉じ込めることができます。スライスやみじん切りは、1回に使う分ずつ小分けにして冷凍保存し、使うときは凍ったまま低温で炒めます。おろしは薄くのばして冷凍すると、使う量だけ割って取り出せます。短時間で自然解凍できるので、便利です。
時間のある時に手を加えておくと、毎回の調理時間が短縮でき、重宝します。