作付面積・出荷量の推移
レタスは、出荷時期により大きく春レタス(4~5月)、夏秋レタス(6~10月)、冬レタス(11~3月)に区分されます。長野県と茨城県で全国の生産量の約5割を占め、次いで群馬、兵庫県となっています。平成21年の作付面積は2万830ヘクタール(春レタス4,260、夏秋レタス8,690、冬レタス7,880)、出荷量は51万2,100トン(春レタス11万300、夏秋レタス23万5,600、冬レタス16万6,200)となっています。
平成14年と21年を比較すると、作付面積は2万2,000ヘクタールから2万830ヘクタールと減少し、出荷量も51万9,200トンから51万2,100トンとやや減少していますが、近年は、50万トン前後と安定して推移しています。
作付面積の推移
出荷量の推移
レタスの主要産地の出荷時期は、長野県産が5~10月、茨城県産が9~12月、3~5月、群馬県産が5~9月、兵庫県産が10~5月となっています。
東京都中央卸売市場における平成21年のレタスの月別県別出荷数量を見ると、春レタスは、茨城県を中心とした関東の平野部、夏秋レタスは、長野県、群馬県の高冷地、冬レタスは、静岡県のほかに香川県などの西南暖地へと移行します。
平成21年 月別県別出荷実績(東京都中央卸売市場計)
東京都中央卸売市場における平成21年の価格は、キログラム当たり75~274円(年平均単価164円)で推移しています。
平成14年と平成21年の価格の推移を見ると、夏秋野菜の露地栽培が中心であるため、出荷量の少なくなる冬季に価格が上昇する傾向にありますが、出荷量が天候に左右されやすいため、価格の変動が激しくなっています。
卸売価格の月別推移
平成16年の輸入量は、長雨や台風の影響で国内の主産地が被害を受けたため、大幅に増加しています。
平成14年の輸入先を見ると結球レタスは、米国が96パーセントを占めていましたが、平成21年では、台湾が全体の66パーセントとなっており、次いで米国が34パーセントとなっています。
また、その他レタス(サニーレタスやリーフレタスなどの非結球レタス)は、平成21年には全量米国から輸入されています。
輸入量の推移
国別輸入量
H14 結球レタス
H21 結球レタス
H14 その他レタス
H21 その他レタス
資料:農畜産業振興機構「べジ探」」(原資料:財務省「貿易統計」)
消費量の推移
家庭におけるレタスの消費量は、平成16年以降増加傾向にあり、1人当たり年間の購入量は、平成14年以降約1,800グラムで推移しています。
1人当たり年間購入量の推移
シャキッとしたみずみずしさが魅力の淡い緑色野菜“レタス”
新鮮さを連想させる葉のツヤと、パリッとした食感のする'レタス'は、サラダの主役として毎日の食卓を楽しませてくれる野菜です。
原産地は地中海沿岸から西アジアにかけて分布していたといわれ、野生種をもとに改良・栽培されてきました。現在の日本では、葉が結球した'結球レタス'が大半を占めていますが、当時は、葉が結球せずに広がった'葉レタス'を食していました。古代ギリシャやローマでは、'健康と安眠をもたらす野菜'として紀元前から食べられていました。
日本には奈良時代に中国を経て、'掻きちしゃ'といって、葉を下のほうから掻き取ったものが伝わりました。現在の'結球レタス'は、戦後、日本でアメリカ進駐軍の食べた'シーザーサラダ'がきっかけとなり、1960年代頃から栽培が始まりました。高度経済成長の中で衛生面が改善されるにつれ、サラダが広く浸透し、'レタス'の需要が増加しました。
和名の'ちしゃ'とは「乳草」から、また英名の'Lettuce'はラテン語の'Lactuca'(Lacは乳を意味します)からきています。いずれも、茎を切ると乳のような'白い液'が出ることに由来しています。現在流通している品種の多くは、アメリカで作られたもので、結球レタスは、シャキッとした歯ざわりの良さから'クリスプヘッド'と呼ばれています(クリスプとは、英語でパリパリとした食感のこと)。また、形が'氷山'に似ていることから、'アイスバーグレタス'ともいわれています。
'レタス'は、気象条件の影響を受けやすく、生産量が増減する野菜ですが、産地リレーの確立から、1年を通じて入手が可能となっています。主産地は、長野県(夏秋)や茨城県(春)、長崎県(冬)などで、とくに長野県は高原栽培で知られています。
最近では、'サニーレタス'を中心とした'葉レタス'も市場を賑わし、発光ダイオードによる水耕栽培も導入されるなど、今後ますます注目の野菜となっています。
もっとおいしく! オススメの食べ方
そのまま食べるとシャキッとした歯ごたえが味わえます。どんなドレッシングにでも合うので、チーズや海鮮を和えるなど、一工夫してサラダ料理を楽しむのがおすすめです。
また、最近はレタスチャーハンなどの加熱調理でも利用されており、そのほかにも鍋料理の新しい食材としても注目されています。
葉が濃い緑色で、ぎっしりと詰まり重すぎるものは、固くて苦味があるので避けましょう。葉が赤茶色に変色しているものは、新鮮さが落ちた古いものです。
‘葉レタス’は、葉先が色濃くて、パリッとみずみずしいものが良品です。古くなると苦味が出やすくなるため、なるべく新しいものを選びましょう。
レタスの栄養と機能性
レタスの大部分は水分ですが、ビタミンKやカリウムが豊富に含まれています。ビタミンKは骨の形成に欠かせない成分で、骨粗鬆症を予防する効果があります。カリウムは塩分を体外に排出する作用があるので、塩分が気になる際は利用するとよいでしょう。
そのほか、ビタミンB1やビタミンCがバランスよく含まれています。ビタミンB1には、筋肉疲労の回復効果があり、抗酸化作用があるビタミンCには、正常な細胞を保護する効果があります。レタスを食べて、体の中の細胞から骨まで、健康に保ちましょう。
「五訂日本食品標準成分表」 レタス(結球葉・生)より
30歳女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるレタス(結球葉・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、ビタミンB1およびビタミンCは推奨値を、そのほかは目安の値を用いた。)
また、‘ラクチュコピクリン’には、肝臓や腎臓の機能を高める効果や食欲を増進する効果が期待されます。体の調子を整えるとともに、レタスを食べてリラックスしましょう。
監修:実践女子大学教授
田島 眞
レタスは、包丁で切ると細胞が壊れ、含まれている成分のポリフェノールが酸化して、切り口が赤茶色に変色してしまいます。調理する際は、手でちぎると細胞が離れやすいところで別れるので、変色を防ぐことができます。
生食の場合は、食べる直前に氷水に浸しておくとパリッとした歯ざわりを楽しめます。長い時間浸すとビタミンCが少なくなってしまうので、浸し過ぎには注意しましょう。
新鮮なうちに食べきりたい場合は、‘レタスチャーハン’などの加熱調理でカサを減らすと、一度にたくさんの量を食べることができます。
レタスは鮮度が落ちやすく、乾燥に弱い野菜です。切り口に湿らせたキッチンペーパーをあて、最初にはがした外葉をくるんで、ラップやポリ袋で保存すると長持ちします。
冷凍したレタスは、生食には向きませんが、炒め物やスープなどの加熱料理には使えます。冷凍する場合は、洗って水をよく切り、適当な大きさにちぎったものを、ポリ袋に入れましょう。