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今月の野菜

年中料理に欠かせない“ばれいしょ”

流通の大半を占める 粉質系の‘男爵薯’

肌がきれいな
粘質系の‘メークイン’


市場から

 

 世界の五大食用作物の一つ‘ばれいしょ’は、ドイツやロシアなどでは、主食として食されている野菜です。

 原産地は、南米のペルー、ボリビア付近といわれ、紀元500年ごろから標高3~4千メートルのアンデスの高原地帯で栽培されていました。

 日本へは、江戸時代にオランダ人によってジャカトラ(現在のインドネシアのジャカルタ)から長崎に持ち込まれたことから、「ジャガイモ」と呼ばれるようになり、明治以降、本格的な栽培が始まりました。

 用途によって、家庭やレストランなどで消費される生食用、ポテトチップスなどに利用される加工用、かたくり粉や麺類の原料に利用されるでん粉原料用の3つに大別できます。

 国内総生産量の3割を占める生食用の二大品種は、粉質系でホクホクした食感が魅力の‘男爵薯’と粘質系で煮崩れしにくい‘メークイン’ですが、そのほかにも‘ニシユタカ’や‘キタアカリ’、‘インカのめざめ’など、消費の多様化により、バラエティーに富んだたくさんの品種が栽培されています。

 作型は、大きく分けると春植えと秋植えがあり、南北に長い日本では、早春から年の暮れまで一年を通して収穫されるため、それぞれの季節に日本全国で堀り立ての味を楽しむことが出来ます。

 煮物や揚げ物など、一年中、料理に欠かせない野菜の一つで、関東は粉質系、関西は粘質系と、食文化に合わせた品種が人気です。

 最近の価格動向を見ると、昨年夏の天候不順により、北海道産の作柄が悪く、貯蔵用ばれいしょの数量が少ないため、平年より2~3割高めに推移しています。今年の作柄は順調であることから、今後天候に恵まれれば、徐々に安定した相場に戻ると思われます。

もっとおいしく! オススメの食べ方

 粉質系は、粉ふき芋、マッシュポテト、コロッケなどにピッタリです。粘質系は、カレーライス、シチューに入れると煮崩れしないで使用できます。

 新じゃがは、皮ごと蒸して本来の香りとホクホクとした食感を味わうのがおすすめです。

情報提供:東京青果株式会社
 加藤 宏一
おいしい“ばれいしょ”を選ぼう!

おいしいばれいしょを選ぼう!

 

 ずっしりと重く、全体がふっくらとして形が良いものを選びましょう。また、皮が薄く、色が均一で、シワや傷がないものが新鮮です。

 芽が出ていたり、緑化したものは、有害物質のソラニンが生成されているので、避けましょう。


ばれいしょの栄養と機能性

ばれいしょの栄養と機能性

 主成分がでん粉なので、エネルギー源になるほか、フランスでは「大地のりんご」と呼ばれるほど、ビタミンC、B1、B6、ナイアシンなどのビタミン類を豊富に含みます。

 また、高血圧予防に効果的なカリウム、腸内環境を改善する食物繊維なども豊富です。

 ばれいしょに期待する成分の多くは、水溶性なので、スープにして煮汁ごと食べるか、蒸したり、焼いたりして食べると効果が高まります。


「五訂日本食品標準成分表」ばれいしょ(塊茎・生)より
30歳の女性1日当たりの食事摂取基準を100とした場合におけるばれいしょ(塊茎・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、ビタミンC・B6・葉酸は推奨量の値を、そのほかは目安量の値を用いた)。



でん粉に守られたばれいしょの‘ビタミンC’




 ばれいしょに豊富に含まれるビタミンCは、皮膚や骨などの結合組織を構成するコラーゲンの合成に欠かせないビタミンで、ストレスに強い体をつくるほか、動脈硬化や脳卒中などを予防する効果などが期待できます。

 ビタミンCは、熱に弱く、加熱すると大幅に減少する特性がありますが、ばれいしょの場合は、主成分のでん粉に守られているため、加熱しても損失が少ないという利点を持ちます。

監修:実践女子大学教授
田島 眞



ばれいしょのいろいろ 種類・品種の特徴
ばれいしょのいろいろ
ばれいしょのいろいろ ※クリックすると拡大します。


監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和

ばれいしょの主要産地
ばれいしょの主要産地と収穫時期
注:図中の番号は収穫量の多い順番、期間は主な出荷期間を表しています。
資料:農林水産省「平成20年産野菜生産出荷統計」、東京都中央卸売市場統計、大阪府中央卸売市場統計
調理のヒントと保存方法
【調理のヒント】

 料理によって品種を使い分けましょう。男爵薯などの粉質系は、ホクホクした食感を生かして、粉ふき芋やマッシュポテトに使いましょう。メークインなどの粘質系は、煮崩れしにくいので、カレーライスや肉じゃがなどの料理に向きます。

 ゆでるときは、栄養分の多いところを捨てないように、皮つきのままゆでると水っぽくならず風味も生かせます。切ってゆでるときはアクを抜いてから、また、丸ごとゆでるときは、水からゆでると芯まで均一に仕上がります。

【保存方法】


 日光に当たると、緑化してソラニンという有害物質が生成されるので、新聞紙に包み、冷暗所で保存しましょう。りんご1~2個と一緒に保存すると、りんごから出るエチレンガスが、ばれいしょの萌芽を抑制するので効果的です。

 日の当たらない場所でザルに入れておけば、1~2カ月の保存が可能ですが、新じゃがは、水分を含んでいるので、長期保存せず1週間前後で使い切りましょう。

 また、カットしたものはラップで包んで冷蔵庫の野菜室で保存し、なるべく早めに使い切りましょう。




1 作付面積・出荷量の推移
春植えばれいしょ作付面積の推移

資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」
春植えばれいしょ出荷量の推移

資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」
秋植えばれいしょ作付面積の推移

資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」
秋植えばれいしょ出荷量の推移

資料:農林水産省「野菜生産出荷統計」

 ばれいしょの主産県は、北海道、長崎県、鹿児島県、茨城県、千葉県、福島県、青森県、長野県、静岡県、新潟県となっており、全国の収穫量の8割を占める北海道産の春植えと長崎県・鹿児島県など府県産の秋植えに大別できる。春植えは、春に植え付けて夏に収穫する栽培法で、北海道では4月から6月に植え付け、7月から11月に収穫される。収穫したばれいしょは、貯蔵施設に保管され、翌年5月頃まで出荷される。一方、秋植えは、8月から9月に植え付けて11月から翌年1月にかけて収穫する栽培法であり、西南暖地では春・秋年2作の生産が行われている。

 作付面積の推移を見ると、2000年の94,600ヘクタールから2008年の84,880ヘクタール(前年比▲10.3%。以下同)と漸減傾向で推移している。このうち、春植えは、2000年の91,300ヘクタールから2008年の80,100ヘクタール(▲12.3%)、秋植えは、2000年の3,310ヘクタールから2008年の2,880ヘクタール(▲13.0%)となっている。

 一方、出荷量は、2000年の2,312,000トンから2008年の2,252,100トン(▲2.6%)の減少にとどまっており、210~240万トンの間で増減を繰り返している。このうち、春植えは、2000年の2,278,000トンから2008年の1,951,000トン(▲14.4%)、秋植えは2000年の34,600トンから2008年の33,100トン(▲4.3%)となっており、春植えの減少割合が大きくなっている。

 平成20年度の東京都中央卸売市場統計を見ると、8月から翌年3月までは北海道産が流通の大半を占め、以降、九州産、静岡産が主要になるが、年明け以降の鹿児島産・長崎産の新じゃがの出回り量が増加傾向にある。

平成20年ばれいしょ類の月別県別出荷実績 (東京都中央卸売市場計)

資料:農畜産業振興機構HP(http://vegetan.vegenet.jp/ippan/vt-yasaimap.htm
平成20年度東京都中央卸売市場年報より作成 

2 東京都中央卸売市場における価格の推移
東京都中央卸売市場価格

資料:東京都中央卸売市場統計
2000年東京都中央卸売市場入荷量

資料:東京都中央卸売市場統計
2009年東京都中央卸売市場入荷量

資料:東京都中央卸売市場統計

 東京都中央卸売市場における2009年の価格の推移を見ると、男爵薯がキログラム当たり100円~180円(年平均単価124円)、メークインが110円~220円(同134円)、その他が110円~180円(同140円)となっており、特に北海道産と府県産の端境期である夏季における変動が大きくなっている。

 また、入荷量の推移を見ると、男爵薯は2000年の47,043トンから2009年には38,528トン(▲18.1%)、メークインが2000年14,884トンから2009年12,918トン(▲13.2%)、その他のばれいしょが2000年46,321トンから2009年42,014トン(▲9.3%)といずれも大きく減少しているが、流通量全体に占める男爵薯の割合が減少し、その他のばれいしょが増加傾向にある。産地別に品目別シェアを見ると、都府県産のその他のばれいしょが2000年の33%から2009年の29%にやや減少した。一方、北海道産のその他のばれいしょは2000年の10%から2009年の16%とかなりの程度増加している。

3 輸入動向
2000年国別冷凍輸入数量

資料:農畜産業振興機構「べジ探」、原資料:財務省「貿易統計」
2009年国別冷凍輸入数量

資料:農畜産業振興機構「べジ探」、原資料:財務省「貿易統計」

 ばれいしょ総輸入量の9割以上を占める冷凍ばれいしょの輸入量は、2000年の272,987トンから2009年の320,009トン(117.2%)と大幅に増加している。これは、食の外部化により利用が高まっているファストフードなど向けフレンチフライの使用量の増加によるものと考えられる。

 輸入先国は、8割が米国となっており、カナダ、ベルギー、中国、ニュージーランド、ドイツがこれに続いている。2009年の輸入価格(CIF価格。米国産)は、キログラム当たり110~120円前後で推移している。

4 消費量
1人当たり消費量

資料:総務省「家計調査報告」

1人当たりのばれいしょの消費量は、近年、減少傾向にあったが、2006年以降、新品種の出回り増などにより、増加傾向に転じている。2009年は天候不順の影響で価格が堅調に推移したこともあり、わずかに減少した。






鹿児島県(ばれいしょ) 

産地紹介
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