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鹿児島県(ばれいしょ)
「きれいな色ときめこまやかな肌が自慢」

鹿児島県農政部農産園芸課

はじめに

 鹿児島県は南北約600キロメートル、東西約270キロメートルの地理的広がりと年平均気温15度~23度までの幅広い気象条件を有しており、全国2位の広大な畑地と温暖な気象条件を活かして、畜産、野菜、花き、茶などの生産が盛んに行われています。

 平成20年の農業産出額は4,151億円で全国4位となっており、野菜については、約600億円(14パーセント)で、畜産に次いで耕種部門で1位となっています。

 中でもばれいしょは、他産地では、貯蔵ばれいしょが主体となる1月~5月にかけて、掘りたてで、新鮮なばれいしょの出荷が可能であり、春を呼ぶ季節商材(新じゃが)として消費地の評価は高く、高単価が期待できる品目として生産に取り組み、現在、生産量は北海道、長崎県に次ぐ全国3位を誇っています。


図1 鹿児島県の野菜産出額の内訳

(資料)農林水産省「生産農業所得統計」

ばれいしょ生産の概況

(1) 栽培面積および生産量

 平成20年のばれいしょの産出額は約97億円であり、本県の野菜産出額の16パーセントを占めており、第1位の品目となっています。作付面積は、価格などの影響により年次差はあるものの、近年4,400ヘクタール前後、生産量は、約9万トンで推移しています。

図2 作付面積・生産量の推移

(資料)農林水産統計

(2) 品種と作型(リレー出荷)

 栽培品種は、多収の中晩性品種「ニシユタカ」(45パーセントを占める)が主力品種であり、そのほかに「メークイン」「ホッカイコガネ」「農林1号」「デジマ」、加工用として「トヨシロ」などが栽培されています。

 本県では、地理的広がりによる温度差を利用したリレー出荷の取り組みが行われており、作型は図3に示すように、南西諸島から県本土間の出荷のバトンが渡っていくことで、12月から5月まで、安定した出荷を行っています。

図3 作型と主要産地

(3) 安全・安心への取り組み

 本県では、市場や消費地から品質が高く評価され、県内他産地のモデルとなる優れた産地を「かごしまブランド産地」として指定しており、本県産ばれいしょの主力産地である「沖永良部」「長島地区」「なんぐう地区」などが指定されています。

 さらに、これらのブランド産地と「種子島」「徳之島」などのばれいしょ主力産地では、農林水産省が進めるGAP(農業生産工程管理)を取り入れた「かごしまの農林水産物認証制度(K-GAP)」の認証を取得するなど、安全・安心なばれいしょ生産に取り組んでいます。



図4 ブランドマーク
図5 県認証マーク

生産性向上に向けた取り組み

(1) 産地課題解決への取組

 本県のばれいしょ生産は、複合経営の1品目として栽培される例が多いことから、作付規模が小さく、近年は、高齢化による生産者の減少により、産地の弱体化が懸念されています。さらに本土地域での霜害や、赤土ばれいしょに代表される奄美地域では、粘土質の強い土壌であるため、降雨後の収穫が困難であったり、冬場特有の強い季節風の影響で病害が発生するなどの気象災害を受けやすく、ばれいしょの生産・出荷は不安定な状況にあります。

 このため、本県では、土壌や気象条件を克服するための生産技術の向上と植付・収穫作業などの機械化による規模拡大に取り組んでいます。ここでは、具体的な取り組みについて説明していきます。

(2) 霜害予防と防風対策

 地域の気象条件を考慮した作付体系による霜害の回避や防風ネットの設置による季節風対策などを実施することで、これらの被害を軽減し、生産の安定に努めています。


写真1 防風ネット

(3) 土づくり

 県内主要産地は、重粘性土壌や酸性土壌が多く、また、連作に伴う病害の発生などにより、生産性の低下も懸念されています。産地では、生産性の低下を防ぐため、ほかの作物との輪作やたい肥、緑肥作物などの有機物施用、深耕による土づくりや土壌診断に基づいた肥培管理を行うとともに、局所施肥などにより化学肥料の低減に努めています。



写真2 ハーベスター
写真3 米ぬかの散布

(4) 経営体の育成による産地形成

 小規模農家が主体であった本県の生産は、機械化体系の確立により、栽培規模が1ヘクタール以上の生産者割合が、平成7年の6パーセントから、平成17年の15パーセントと増加しています。大規模農家では、自走式ハーベスタが導入されるなど、植付から収穫までの機械化により労働時間もかなり短縮され、近年、10ヘクタール以上の大規模経営体も育成されるなど規模拡大が進んできています。また、高齢農家などへの対応として、収穫作業などの重労働に他業種(建設業者)が参加するなどの作業受委託も行われ、産地の維持発展につながっています。

(5) 環境と調和した農薬低減技術

 ばれいしょの病害で特に問題となるのが「そうか病」(いもの部分に盛り上がったかさぶた状の病斑ができる)ですが、県内では、米ぬかやふすま(小麦粉を製造するときに出る外皮などの副産物)などの有機物の投入を行い、土着菌などを増加させることで、そうか病の発生を抑えるなど、土壌消毒剤に頼らない防除技術が普及しています。有機物の投入効果は高く、試験研究機関や産地の実証試験などにおいても確認されています。

(6) 選果と出荷

 本県の主要産地のばれいしょの出荷箱には、生産者番号やほ場番号等を印字するなど、トレーサビリティ(生産、加工および流通の特定の一つまたは複数の段階を通じて、食品の移動を把握できること)にも対応できる体制がとられており、また、仮に残留農薬などの問題が発生した場合でも迅速な対応が行える管理体制も整えています。

 出荷先は、京浜、中京、京阪神が中心ですが、ほかに中国四国、九州などにも出荷され、本県の春野菜の代表として流通しています。輸送はトラック、またはJRコンテナによる陸上輸送や海上輸送により各市場に送られています。

おわりに

 本県のばれいしょは、赤土土壌で栽培されるものが多く、きれいな色ときめこまやかな肌が自慢です。また、収穫後すぐに出荷されるため、鮮度が高く、その品質は高く評価されています。


写真4 鹿児島県産ばれいしょ

 ばれいしょ産地が数多くある中で、消費者からの信頼をさらに高めるため、今後とも「かごしまの農林水産物認証制度」への取組強化により、安全・安心なばれいしょ産地としての評価を高めるとともに、消費地での販売促進活動などを通じ積極的な情報発信を行い、鹿児島のばれいしょの知名度をさらに高めることが重要であると考えます。

 また、産地における出荷調整など貯蔵施設の活用を図り、定時・定量の出荷体制の整備を行うとともに、ばれいしょ専作経営体などの大規模生産者を育成することが、足腰の強い産地の確立につながると考えています。

一言アピール

 ばれいしょはビタミン類が豊富で、しかも低カロリーな食材で、サラダや煮込み料理、コロッケなどあらゆる料理で活躍します。鹿児島県産のばれいしょは、「きれいな色」と「きめこまやかな肌」が自慢です。また、掘りたてをすぐに出荷することから、その香りが高いのが特徴です。どうぞ、一足早い春の香りを味わってください。

お問い合せ先

鹿児島県農政部 農産園芸課
〒890-8577 鹿児島県鹿児島市鴨池新町10-1
電話:099-286-3181
FAX:099-286-5595
URL:http://www.pref.kagoshima.jp/

 
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