雪のように真っ白な姿が美しいカリフラワーは、キャベツやブロッコリーと同様、東地中海沿岸原産の野生種ケールを起源とする野菜です。ヨーロッパに普及していく中で、ブロッコリーのつぼみが突然変異により白化したといわれており、頭頂部のつぼみの塊(花蕾)を食用とすることから、別名「はなやさい」とも呼ばれています。
日本には、明治初年に渡来しましたが、採種が困難なことから普及しませんでした。1960年代に入り、食生活の欧米化に伴ってサラダが普及すると、早生や晩生など多くの品種の育成がなされ、ホワイトアスパラガス、セルリーとともに「洋菜の三白」といわれ、大衆化が進みました。
品種の分化は多くなく、純白な花蕾が好まれる日本では、ホワイトカリフラワーが流通の大半を占めています。産地では、より白く仕上げるため、大きな外葉を折ってわらで縛り、花蕾を頭頂部で包むようにして黄化を防ぐ軟白栽培がなされています。また、最近は、オレンジ色や紫色、黄緑色などカラフルなカリフラワーや、手のひらサイズのミニカリフラワーなども人気です。
品種改良や多様な作型の組み合わせにより、一年を通して出荷されていますが、キャベツと同様、本来冬が旬のカリフラワーのおいしい時期は、11~3月にかけてです。この時期のカリフラワーは花蕾が大きく、味も充実します。
ブロッコリーより先に普及したカリフラワーの生産量は、緑黄色野菜ブームによるブロッコリー人気に押されて最盛期の半分以下に減少しているものの、旬になれば店頭販売に欠かせない野菜の一つで、ゆでた後のビタミンCの損失率がブロッコリーに比べて低いことから、再び注目されています。
最近の価格動向を見ると、昨年12月以降の寒波の影響による生育の遅れで野菜全体の相場が高騰している中、カリフラワーの産地は寒波の影響を受けず、安定した生産量を確保できていることから、平年並みの1玉200円前後で堅調に推移しています。
もっとおいしく! オススメの食べ方
花蕾がこんもりと丸く、つぼみの粒がぎっしりと詰まったものは、甘みがあります。また、つぼみの色が純白で光沢のあるものほど良質です。切り口がみずみずしく、茎がしっかり残っていて、茎が青々としているものを選びましょう。
つぼみが黒ずんだものや開きかけたものは、鮮度が落ちているので避けましょう。
カリフラワーは、疲労回復や美肌づくりに効果的なビタミンCをはじめ、ビタミンK・B6などのビタミン類や高血圧を予防するカリウム、成人病予防や便秘解消効果のある食物繊維など、野菜に期待する栄養素を豊富に含みます。特に、カリフラワーに含まれるビタミンCは、加熱損失の少ないのが特徴で、生のカリフラワーでの含有量は、生のブロッコリーに劣るものの、ゆでた後は、ブロッコリーと変わらない量が残るため、100グラムで1日の必要量をほぼ取ることができます。そのため、カリフラワーはビタミンCの供給源として非常に優れた野菜といえます。茎の部分にもビタミンCが豊富に含まれているので、捨てずに利用しましょう。
「五訂日本食品標準成分表」 カリフラワー(花序・生)より
30歳の女性1日当たりの食事摂取基準を100とした場合におけるカリフラワー(花序・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、ビタミンC・B6・葉酸は推奨量の値を、そのほかは目安量の値を用いた)。
だいこんのピリッとした辛みや、わさびのツンとした香りのもとである辛味成分‘イソチオシアネート’は、カリフラワーやキャベツ、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜に含まれる硫黄化合物で、「カラシ油」とも呼ばれています。イソチオシアネートには、免疫機能を高め、がんになる前の異常化した細胞の増殖を抑制する働きがあるので、カリフラワーに豊富に含まれるビタミンCの抗酸化作用と合わせて、がん予防の効果があります。ほかにも、食欲増進や殺菌作用、血液の循環を促進させて動脈硬化を予防する効果が期待できます。
アクがあるので、下ゆでしてから使いましょう。サラダなどにする場合は、たっぷりのゆで湯に酢を少々、もしくはレモンの輪切りを3~4片入れるとアクによる黄変を防いで、より白く仕上がります。ゆで上がったら、特有の風味と歯触りを残すため、水にさらさず、ざるに広げて冷ましましょう。グラタンなどに入れる場合は、塩を一つまみ及び小麦粉を水で溶いたものを入れると、沸点が上がり、早くふっくらと軟らかく仕上がります。
【保存方法】鮮度の低下が早いので、なるべく早く食べ切りましょう。保存する場合は、水洗いせずにラップで包むかビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に立てて入れます。熟成を促すエチレンに弱いので、エチレンを多く出すりんごやトマトと一緒に保管しないようにしましょう。
1~2日で使い切れない場合は、硬めにゆでて冷蔵庫で3~4日、冷凍庫で1カ月程度の保存が可能です。
作付面積は、2000年1,740haから2008年1,360haと減少傾向にあるが、2004年以降は、緩やかな減少傾向にある。出荷数量は、2000年25,200トンから2008年19,800トンと減少傾向であるが、2005年以降では2万トン前後となっている。主産県は、徳島県、愛知県、茨城県、長野県、熊本県、福岡県、千葉県、埼玉県、新潟県などであり、北海道、関東、北陸、東海、四国、九州などの産地から年間を通じて供給されている。
東京都中央卸売市場における価格は、国産がキログラム当たり200円~同300円、米国産も同様に推移しているが、2009年においては、キログラム当たり600~1,200円と高価格の取引となっている。これは、米国産などの輸入もののカリフラワーの入荷量が、2007年が2トン、2008年および2009年が0.94トンと非常に少ないこと、米国産の紫色など珍しいカリフラワーを航空便で輸入したことによる。
3 輸入動向生鮮カリフラワーの輸入数量は、2002年(576トン)以降減少傾向にあり、2007年には18トンと大幅に減少し、2008年34トン、2009年26トンとなっている。
輸入先国は、1990年以前は米国産が年間を通じて、台湾産は12月~翌年3月を主体に輸入されていたが、1997年から2006年は米国、中国、豪州から、2007年以降は米国からのみ輸入されている。輸入価格(CIF価格)は、米国産がキログラム当たり200~300円前後で推移している。
カリフラワーは、鮮度が高く、純白の花蕾が好まれることも、国産が好まれ輸入が減少している要因と思われる。
一方、冷凍カリフラワーの輸入は、農林水産省植物防疫統計の検査数量を見ると、2002年1,180トン、2003年937トン、2004年1,087トン、2005年1,273トン、2006年1,813トン、2007年1,560トン、2008年1,366トン、2009年915トンと、ブロッコリーとの競合により2006年をピークに減少傾向にある。
輸入先国は、2002年では中国が検査数量の91%を占めていたが、2006年以降、南米のエクアドルからの輸入が急増し、2009年では中国が54%、エクアドルが44%を占め、両国で98%を占めている。