ハロウィンやシンデレラの馬車など、カラフルでユニークな形と甘いおいしさで、子供にも親しまれるかぼちゃの原産地はアメリカ大陸です。コロンブスによってばれいしょやたばことともに、ヨーロッパに持ち帰られて世界中に広がり、日本には、室町時代末期(16世紀中期)に伝えられました。かぼちゃの名は、ポルトガル人が寄港地のカンボジアからもたらしたことに由来します。
日本で栽培されているかぼちゃは、日本かぼちゃ(東洋種)、西洋かぼちゃ(西洋種)、ペポかぼちゃの3種類に分けられます。40年ほど前までは、水分が多くねっとりとした日本かぼちゃが主流でしたが、食生活の洋風化や嗜好の変化とともに日本かぼちゃの栽培は減少し、現在は西洋かぼちゃの中でも、‘えびすかぼちゃ’や‘みやこかぼちゃ’などを代表とするホクホクと甘い黒皮栗かぼちゃが全国的に生産されて流通の大半を占めています。また、形、食味とともにユニークな品種が多いペポかぼちゃには、金糸うり(そうめんかぼちゃ)やズッキーニ、ハロウィンなどでおなじみの鑑賞用のおもちゃかぼちゃなどがあります。中でもここ最近、イタリア料理に欠かせないズッキーニの消費が増えています。
江戸の昔から、冬至にかぼちゃを食べると風邪や中風にかからず長生きする、と言われているように、国産露地もののかぼちゃは夏から秋にかけて収穫されますが、1~2ヵ月貯蔵するとでん粉が糖に分解されるため、秋から冬にかけての方が甘く、おいしくなります。
カロテンなどのビタミン類が豊富なため、健康志向にマッチした緑黄色野菜として消費は好調です。最近では、昔ながらの和風料理とは違ったかぼちゃをベースにしたポタージュやプリン、パイなど、主菜にもデザートにもなるため、若い女性からも人気が出ています。
価格動向を見ると、5~6月の開花時期の日照不足や低温などの天候不順の影響で、関東産の入荷が減少したため、7月まで前年同月比約1~2割高の水準で推移しました。8月以降、産地が東北、北海道に移り、入荷がやや回復し、価格も落ち着いてきました。
形が整っていて色むらがなく、手にとってみてずっしりと重いものを選びましょう。見た目にゴツゴツと深い溝があり、表面のツヤが消えて、爪で押しても立たないほど皮が硬いものが完熟している証拠です。
カットものは、果肉の色が赤みを帯びているものほど甘味があります。肉厚で、ワタと種がぎっしりと詰まり、表面がみずみずしいものを選びましょう。
かぼちゃは、カロテン、ビタミンC、Eなどのビタミン類を豊富に含む緑黄色野菜です。また、炭水化物(糖質)を多く含み、エネルギー源になる野菜です。そのほか、高血圧症の進行を抑えるカリウムや血糖値の上昇を抑える食物繊維などをバランス良く含みます。
きゅうりの形をしたかぼちゃであるズッキーニは、水分が多く炭水化物が少ないので、低エネルギーで、カロテンもきゅうりとほぼ同じ含有量となっており、栄養的にはかぼちゃよりもきゅうりに近い野菜です。カリウムやマグネシウム、カルシウムなどのミネラル類のほか、ビタミンK、Cなどの栄養素をバランス良く含みます。
かぼちゃは、カロテンを豊富に含みます。特に西洋かぼちゃの含有量が多く、日本かぼちゃの5倍以上となっています。
葉物類に含まれるビタミン類は、長期保存により減少しますが、厚く堅い外皮があるかぼちゃの栄養素はあまり減少しないという利点があります。夏に採れたかぼちゃを冬至に食べる風習があるのは、カロテン豊富なかぼちゃが粘膜や皮膚の抵抗力を高め、風邪の予防になることや、冬は緑黄色野菜が少ないので、保存の利くかぼちゃからの栄養補給が大事だったからといわれています。
全国の収穫量は220,400トン(平成18年)です。また、保存が利くかぼちゃは、輸入によって供給の周年化がもっとも進んだ野菜の一つで、年間供給量の約4割を輸入かぼちゃが占めています。
東京都中央卸売市場の入荷状況を見ると、北海道からの入荷量が圧倒的に多く、鹿児島、茨城などが続きます。通年流通していますが、国産露地物の旬は夏で、関東以南の産地からは5~6月下旬、北海道・東北からは8月上旬~10月上旬頃の入荷量が多くなります。国内産が品薄になる11月から5月頃に輸入が急増し、11月からメキシコ産・トンガ産が、2~5月までは季節が逆のニュージーランド産が2週間の船旅で大量に届きます。これらの輸入かぼちゃは、日本から種子を供給し日本向けに生産されています。
かたくて切り分けるのが大変な場合は、電子レンジで丸ごと3~5分加熱すると、簡単に切れます。調理に合わせた大きさに切り、皮をところどころむく「かすりむき」や面とりをしておくと、味がしみ込みやすくなり、煮崩れもしません。種はスプーンでワタと一緒にかき取ると、煮汁が濁らず美しく仕上がります。
【保存方法】 保存に向かない葉物が多い緑黄色野菜の中で、かぼちゃは長期保存が可能な便利な食材です。丸ごとなら10℃前後の風通しの良いところで1~2ヵ月保存可能です。カットしたものは、種やワタの部分から傷み始めるので、スプーンできれいに取り除き、ラップして、冷蔵庫の野菜室へ。4~5日は保存できます。
冷凍保存する場合は、切り分けて加熱し、冷ましてからバットなどの調理皿に並べ、急速冷凍します。その後、密閉容器に移して1~2ヵ月保存が可能です。