産地の概要~都市近郊の小規模農家主体の産地~
南風原町は、沖縄本島南部のほぼ中央に位置し、那覇市に隣接しています。周りを6つの市町村に囲まれ、県内では珍しく海に面していない町の一つです。面積は1,072haですが、そのうち耕地面積が230haである一方、市街化区域が397haであり、都市化が進んでいます。
気候は、冬でも暖かく、夏は海から吹く風が吹き抜ける、年間の平均気温差が少ない土地です。季節の特徴としては気温30度前後の蒸し暑く長い夏と、平均気温16~18℃の暖かく短い冬に分けることができ、夏から秋には毎年数個の台風が来襲します。
2005年の農林業センサスによれば町内にある販売農家281戸のうち、1ha以下の経営耕地規模の農家が256戸と小規模農家が多くなっています。平成18年度の農業粗生産額のシェアをみると、南風原町全体で13.1億円ある農業粗生産額のうち、生乳が31%を占め、次に野菜が28%、花きが24%と都市近郊型の農業が発展しています。野菜の中ではかぼちゃや食用へちまなどが重要な産品としてあげられます。
産地の歴史~さとうきび栽培からの転換~
昭和50年頃、さとうきびの栽培からかぼちゃ栽培への転換が本格的に行われ、同時に県外への端境期を目指した出荷がはじまったといわれています。
栽培の概要(津嘉山地区の例)
~労働集約的栽培による収入の最大化~
かぼちゃの価格が高値安定している2~5月に安定した出荷が行えるよう、さまざまな栽培上の工夫を行っています。
① 労働集約的栽培
耕地面積は狭小ですが、土地の借入れは難しいので、できるだけ労働力を投入して単収を多くし、収益をあげるようにしています。
② 早播きはしないこと
沖縄の他の地域では10月以前の早播きも多いのですが、当地域ではウイルス病を防ぐことが困難であること、台風が10月頃まで襲来することが多いことから、無難な11月以後の作型にしています。
③ 施肥
元肥には必ず牛糞堆肥をはじめとする有機質を利用して3ヵ月間の長期どりができるようにする一方、三、四番花が確実に着果する程度の窒素成分の量に抑えています。一番果着果後の草勢の衰えは早いため、適期をのがさず追肥するようにし、二番果、三番果について施肥も同様に、草勢をみて担果能力があるかどうかを判断し、追肥すべき時期を注意しています。
④ 大玉をねらう
単収は、大玉をねらうほうが多い傾向にあること、単価の高い時期は小売店で切売りをすることがあること、2LとL級の価格差は大きくないことから、収入は大玉のほうが多いと見ています。そのため、大玉での収穫を心がけています。
⑤ 防風施設
県補助による平張ハウスの導入などにより、耐天候性の向上に努めています。
津嘉山支店栽培暦は第2図のとおりで、播種は11月上旬、定値は2~3週間後の11月中~下旬、収穫は2月下旬~5月上旬となっています。
収穫および出荷・販売~県外主体への出荷~
津嘉山支店のかぼちゃは完熟果であるということで好評を得ており、収穫については未熟な果実を収穫しないよう注意しています。
出荷にあたっては規格選別を徹底して行い、消費者の信用を得るよう努力しています。津嘉山支店のかぼちゃは上記に述べたように、規格別の割合では2L、L、3L、M、Sの順に多くなっており、大玉が多いことが特徴です。
出荷は段ボール1ケース5~6玉詰めで、11kg以上の重量になるよう調整されています。
出荷はJAを通じて海上輸送でほとんどが県外市場へ出荷されており、特に関東市場への出荷が多くなっています。収穫後追熟が進むことから、収穫後2週間から3週間たったころに甘みが強く、ほくほくしたかぼちゃを食べることができます。
輸送中に発生することのある腐敗果対策として、収穫しても1週間は乾燥(風乾)させることによって、腐敗果の確実な発見が行われるように注意しています。
また余談ではありますが、かぼちゃを名前につけた「黄金戦隊かぼっちゃマン」が活躍しており町内のイベントだけでなく、各地で人気を博しています。
一言アピール
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お問い合わせ先
JAおきなわ 農業事業本部 園芸部
901-2128
沖縄県浦添市伊奈武瀬1-10-8
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