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今月の野菜

薬味や鍋の具材に欠かせない
料理の引き立て役“ねぎ”


土寄せして軟白させた根深ねぎ(白ねぎ)の代表‘千住ねぎ’

形がくずれないように特別の容器で空輸出荷される九条細系(青ねぎ)の‘博多万能ねぎ’


市場から

 ‘東洋の野菜’と呼ばれるねぎは、中国西部またはシベリアが原産といわれています。中国では2000年以上前から栽培され、体を温め、疲労を回復する薬用植物として珍重されていました。

 日本へも古くから伝わり(8世紀頃)、平安時代には食用として盛んに栽培されていました。昔から、関東では主に白い部分を食べる根深ねぎ(白ねぎ)、関西では緑の葉の先端部まで食べる柔らかい葉ねぎ(青ねぎ)が栽培されました。このため、「関東は白、関西は緑」といわれる食文化ができましたが、現在は流通の発達や人の移動の増加により嗜好の地域的な偏りが少なくなり、料理に合わせて使い分けられるようになっています。

 日本で一般的に使われるねぎは、気候適性よって白ねぎの千住群と加賀群、青ねぎの九条群の3種類に大別できますが、他にも白ねぎや青ねぎの中間型やあさつき、わけぎ、リーキなどねぎの仲間は500種類以上あります。

 現在、東京都中央卸売市場で流通しているねぎは、病気に強く揃いの良いF1種の根深ねぎが中心になってきていますが、京都の九条ねぎ、群馬の下仁田ねぎ、愛知の越津ねぎ、茨城の赤ねぎなど地方品種の地ねぎも根強い人気があります。

 もともと冬の野菜で、寒さにあたると風味を増しておいしくなり、出回り量も10~3月が多くなりますが、食欲を増進させたり料理に彩りを添えたりと、薬味や鍋の具材に欠かせない料理の引き立て役として、家庭消費のほか、外食産業でも年間を通して安定して使われており、周年出回っています。

 価格動向を見ると、収穫時の天候不順による作業遅れと1月末に発生した中国製冷凍ギョーザ事件の影響による国産志向の高まりから、安定して推移しています。そのため、農家の生産意欲も高く、夏ねぎを中心に作付面積も増加傾向にあります。


もっとおいしく! オススメの食べ方

 
 めん類、豆腐などの薬味として欠かせないほか、汁の実やかき揚げ、ぬたなどにしてもおいしいです。冬になると甘味がぐんと増しておいしくなるため、これからの季節は、鍋や網焼き、煮物などいろいろ楽しめます。 情報提供:東京青果株式会社
課長補佐 加藤宏一
おいしい“ねぎ”を選ぼう!

 
 表面がみずみずしく、根から葉先までハリがあるものが新鮮です。

 根深ねぎ(白ねぎ)の場合は、切り口が新鮮で、触ったときにフカフカせずしっかりとしまりがあるものを選びましょう。また、緑と白い部分とのコントラストがくっきりしているものほどより丁寧に軟白栽培されたものです。

 葉ねぎ(青ねぎ)の場合は、葉先まで鮮やかな緑色で、根に白さがあり、乾燥していないものを選びましょう。

おいしいねぎを選ぼう!

ねぎの栄養と機能性

ねぎの栄養と機能性

 ねぎは、タンパク質の合成に不可欠なビタミンCや高血圧予防に効果的なカリウム、腸内環境を改善する食物繊維を豊富に含みます。そのほか、疲労回復や風邪予防効果がある硫化アリルやがん抑制効果が期待できるセレンなどの機能性を有する成分を多く含むため、昔から民間療法によく利用されています。


 根深ねぎ(白ねぎ)と葉ねぎ(青ねぎ)を比較すると、葉鞘部の白い部分が長い根深ねぎは淡色野菜、葉身にカロテンを豊富に含む葉ねぎは緑黄色野菜になるため、食用部分で考えると、葉ねぎのミネラル類は根深ねぎの1.5~2倍、カロテンは136倍、ビタミンCは2.8倍の含有量となっています。



「五訂日本食品標準成分表」 根深ねぎ(葉、軟白、生)・葉ねぎ(葉、生)より
  30歳女性1日当たりの食事摂取基準を100とした場合における、根深ねぎ(葉、軟白、生)・葉ねぎ(葉、生)100g中に含まれる主な栄養素の割合。(ただし、カリウム、食物繊維、ビタミンKは、目安量の値を、その他は推奨量の値を用いた。)


硫化アリルが豊富なねぎは風邪予防に効果的




 ねぎは、独特の刺激臭と辛味を持つ硫化アリルを豊富に含みます。ねぎ類を刻んだとき、目に染みる成分で、生で食べると、交感神経を刺激してビタミンB1の吸収を高め、消化液の分泌を促して食欲を増進させます。ねぎを生で薬味に利用するのは、この食欲増進効果を狙ってです。また、体温を高めて発汗を早め、血行を良くして痛みをとるなどの薬効があります。そのほか、殺菌作用があるため、のどの痛みやせきを鎮める作用もあります。 そのうえ、胃腸を整え、ぐっすり眠らせて、身体に力をつける総合作用を発揮します。

 そのため、風邪をひいたときにねぎを食べて薬の代わりに用いたりする習慣は理にかなっています。

監修:実践女子大学教授
田島 眞



ねぎのいろいろ 種類・品種の特徴

ねぎのいろいろ
ねぎのいろいろ


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作付されている主な品種

監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和 ねぎの主要産地と収穫時期

 平成18年産のねぎの収穫量は490,700トン(うち春ねぎ80,800t、夏ねぎ95,400t、秋冬ねぎ314,500t)です。

 ねぎの生育気温は15-20℃で比較的冷涼な気候を好みます。日本に早く土着し、日本人の食生活になじみの深い古い野菜のひとつであるねぎは、全国各地で盛んに栽培されています。

 白ねぎは、出荷時期により春ねぎ、夏ねぎ、秋冬ねぎに区分されます。春ねぎは、千葉や茨城、群馬を中心に、夏ねぎは、茨城や東北、北海道を中心に、秋冬ねぎは、埼玉や千葉を中心に生産されており、周年安定供給されていますが、もともとは冬野菜で、晩秋から早春までの出荷量が多くなります。

 青ねぎの主産地は、京都、大阪、香川などで、主に西日本の市場に周年出荷されています。

ねぎの主要産地と収穫時期
資料:農林水産省「平成18年産 野菜生産出荷統計」
注:図中の番号は収穫量の多い順番です。
調理のヒントと保存方法
【調理のヒント】

 部分的に使い分け、用途によって切り方を変えると効果的です。すき焼きなどの鍋の具材として利用する場合は、2cm巾位の斜め切りにすると美しく見え、切り口の面積が大きいので味が良くしみ込みます。薬味やあえ物に利用する場合は、端から薄く輪切りにする小口切りにします。みじん切りをする場合は、縦に数本切れ目を入れてから横に切ると、手早くきれいに切ることができます。白髪ねぎにする場合は、白い部分をせん切りにし、水にさらしてパリッとさせます。水切りして、めん類の薬味にしたり、くせの強い魚や味の濃い煮物などにたっぷり盛り付けていただきます。

【保存方法】

 白ねぎは、水分が蒸発してしなびやすいので、新聞紙で包み、日の当たらない涼しい場所で保存しましょう。上へ伸びようとする性質があり、横にしておくと曲がってしまうので立てて保存します。青ねぎは、湿らせた新聞紙で包んで冷蔵庫に入れて保存します。

  調理で残ったものはポリ袋に入れ、冷蔵庫で保存します。青ねぎは、白ねぎよりも傷みやすいので、一度に使い切れない場合は、小口切りにして密閉容器に入れ、冷蔵庫に入れます。風味は落ちますが冷凍保存も可能です。










産地紹介「鳥取西部農業協同組合(ねぎ)」 

産地紹介
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