えだまめは、未成熟の大豆を食用とする野菜で、枝付きのまま茹でて食用にしたことからこの名があります。
穀物用としての大豆は、東アジア原産で、中国では紀元前2000年から栽培されている古い作物です。日本への渡来は明らかではありませんが、「古事記」や「日本書紀」に名前が見られることからも、かなり古くから伝わっていたようです。
日本でのえだまめとしての利用は、17世紀末の江戸時代から。当時は枝に付いたままの状態で茹でたものが売られており、その状態で食べ歩くファストフードのような存在でした。
もともと、大豆を収穫する1ヵ月ほど前に取った豆がえだまめでしたが、しだいに大豆用とえだまめ用の品種が分かれ、現在では400以上にも及ぶ大粒で甘味が強いえだまめ専用品種が開発されています。
現在、主に市場に出回っているえだまめは、粒が中位の大きさで、毛は褐色の極早生(秋田・奥原系)、中~大粒で褐色の毛を持つ早生(白鳥系)、やや大粒で白い毛を持つ中晩生(白毛系)の3グループに大別できますが、流通の大半を占めるのは白毛えだまめです。そのほか、地方野菜として根強い需要のある山形県の「だだちゃ豆」、福島県・秋田県の「五葉豆」、新潟県の「茶豆」など、さや、豆が茶色味を帯びた茶豆系の品種や、丹波地方の黒豆など、地方には味の良い独自の品種がいろいろあり、少量ですが、東京市場にも出荷されています。
えだまめは、野菜の中では嗜好品的な性格が強く、ビールのつまみの定番、子供のおやつとして欠かせない野菜です。ビールの消費の多い夏場に、えだまめの需要も比例して増加し、7~8月に最盛期を迎えます。また、海外からも国内生産量に匹敵する量の生鮮・冷凍えだまめが輸入されています。
未成熟の大豆‘えだまめ’を食べるという食習慣は、長い間、日本独自のものでしたが、近年の健康志向に伴う日本食ブームや冷凍技術の普及により北米、ヨーロッパなど海外でも塩茹でしたえだまめが食べられるようになっています。
最近の価格動向を見ると、関東産は、5~6月の日照不足や低温、雨不足など天候不順の影響で入荷が減少したため、6月は前年同月比約1~2割高増の高値で推移しましたが、7月に入り生育の遅れが回復し、また、天候に恵まれた群馬の高原ものや東北産などの入荷が増え、平年並みになりつつあります。
塩茹でしてそのままおつまみとしていただくのが定番ですが、豆ごはんにしたり、かき揚げや炒め物にしてもおいしいです。茹でてつぶしたものをすり鉢ですって砂糖で甘く味付けすれば、爽やかなグリーンが夏らしいずんだ和えの衣になります。
おいしい“えだまめ”を選ぼう!大豆は、「畑の肉」と呼ばれるくらい栄養価が高く、同様にえだまめも栄養成分を多く含んでいます。動物性たんぱく質に似た良質のたんぱく質のほか、良質の脂質、カルシウム、ビタミン類、食物繊維、鉄やカリウムなどミネラルを豊富に含み、大豆のいいところと緑黄色野菜のいいところの両方を兼ね備えた健康野菜です。また、記憶力などを高める作用を持つレシチンや、血液中のコレステロール値を下げて、動脈硬化の進行を遅らせる大豆サポニン、アルコールの分解を促して肝臓の負担を和らげるメチオニンなども含みます。
その上、さやに守られているため、茹でてもあまり栄養価が失われにくいという利点があります。
「五訂日本食品標準成分表」 えだまめ(えだまめ、生)よりえだまめは、ビタミン類も豊富で、特に一般的な野菜に少ないビタミンB1とB2の含有量が多いのが特徴です。アイスクリームやそうめん、清涼飲料水など冷たい食べ物や飲み物を食す機会が多い夏場は、胃腸の温度の低下により消化吸収が悪くなりますが、ビタミンB1、B2は、体内で糖質・脂質・たんぱく質などを分解してエネルギーに変える反応を補酵素としてサポートする役割を担っているため、夏バテ防止や疲労回復に効果的です。その他、大豆には含まれないビタミンAやCも豊富に含みます。
これらのビタミン類には、アルコールの酸化を防ぎ、肝臓や腎臓の負担をやわらげる機能があるため、ビールにえだまめというのは機能的にも合理的な組み合わせといえます。
~女性ホルモンの欠乏を補うえだまめのイソフラボン~えだまめに多く含まれるイソフラボンは、大豆などのマメ科の植物に多く含まれるフラボノイドの一種です。女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることで注目されており、更年期症状を和らげたり、骨粗しょう症や冷え症を予防する働きがあるため、女性ホルモンの欠乏を補う効果が期待できます。
全国の収穫量は71,000トン(平成18年)です。また、つまみの定番として一年中需要があるため、国内生産量に匹敵する68,601トン(うち生鮮えだまめが1,726トン、冷凍えだまめが66,875トン)が輸入されています。
主産地は、関東、東北、北海道。産地では、夏の需要に合わせ、5月頃から出荷が始まります。静岡県や千葉県など温暖な地方から出荷が始まり、真夏から秋にかけて、北関東、そして新潟県、東北、北海道へと早生品種と晩生品種を交えながら産地が移ってきます。
東京都中央卸売市場への入荷状況を見ると、月による変動が大きく、11~2月の入荷はごくわずかですが、3月に入ってから漸増し、6~9月の4ヵ月間で年間出荷量の約9割を占めます。最盛期は、7~8月ですが、旬の先取り商品として3~5月には施設栽培もののほか、主に台湾から生鮮えだまめが輸入され、現在では、生鮮えだまめが周年市場に出回っています。また、収穫したその日のうちに茹でて冷凍加工したえだまめが、主に、中国、台湾、タイなどから一年中輸入されています。
両端を切り落とし、たっぷりの熱湯で3~5分程度茹でます。茹でる前に塩を多めにふって混ぜながらよくもむと、余分な産毛が取れ、色良く茹で上がります。茹で上がったら、ざるにあげて、熱いうちに塩をまぶしてうちわで冷ますと、水切れが良く、おいしく仕上がります。
豆ご飯や煮豆に使うときも、さやごと茹でてから身を取り出すほうがおいしさを逃しません。
【保存方法】えだまめの貯蔵適温は0℃です。常温では呼吸が旺盛で、食味が急速に低下するため、できるだけ早めに茹でて食べ切りましょう。
長く保存する場合は、硬めに茹でて冷ましたものをポリ袋などに入れて冷凍します。食べるときは、凍ったまま熱湯に入れサッとひと茹でします。