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今月の野菜

暑い夏には“すいか”の
甘味とシャリ感が魅力


5~8月にかけて
流通の大半を占める
大玉すいか

少人数でも丸ごと
楽しめる小玉すいか


市場から

 南アフリカのカラハリ砂漠に生育する野生種が起源といわれています。英語で「ウォーターメロン」と呼ばれるように、砂漠地帯では水代わりの飲料として重宝されました。

 甘味とシャリッとした爽やかな歯ざわりが魅力の果実的野菜で、日本には中国から寛永年間(1624~1643)に渡来し、明治に入り、欧米から多数の品種が導入されました。

 現在、国内市場に出回っているすいかの種類は20余りあり、大別すると、種の有無のほか大きさや形の違いで「大玉種、中玉種、小玉種、正円型、ラグビーボール型、俵型」、果肉色の違いで「赤肉、黄肉、白肉」、果皮の色の違いで「しま模様、黄色、黒色」などに区分することができます。

 全国的に栽培され流通している主要品種は、祭ばやし777、紅大、富士光、縞王系、甘泉などの大玉すいかです。近年はカット売りや食べやすいようにサイコロカットされたパック売りが多く出回っていますが、露地物が最盛期となる7~8月には玉売りも並行して展開されます。また、最近では、核家族化した少人数世帯に合わせて、小玉すいかの需要も増えています。

 暑い夏に冷やしたすいかの味は格別で、気温が30℃を超えると消費が急増し、5~8月の4カ月間、東京都中央卸売市場における果実取扱量の中で1位の座を占めます。

 もっとも、産地での栽培面積は減少傾向にあり、ここ30年で半減しています。ハウス栽培の普及による栽培の周年化や輸入により夏に食べられる果実の種類が増えたことや、核家族化やクーラーの普及などにより消費が減少したこと、また、生産面では、すいかは産地と消費地の天候のバランスがとても難しい上、生産者の高齢化、整枝・交配や収穫作業の負荷、販売価格の伸び悩みなどが減少の理由として挙げられます。

 現在ではハウス栽培が普及して、一年中出回るようになり、夏ならではの味覚を他の季節にも楽しめるようになっています。

もっとおいしく! オススメの食べ方

 冷やして大きく切ったすいかに、そのままかぶりついて食べるのが最高です。塩をかけると、甘味がいっそう引き立ちます。

 少し手を加えて、果肉をくり抜いてフルーツポンチ、シャーベットにするのもおすすめです。

情報提供:東京青果株式会社
課長補佐 加藤宏一
おいしい“すいか”を選ぼう!

おいしいにらを選ぼう!

 持ったときにズシリと重量感があるすいかを選びましょう。左右の形が整っていて、ヘタの切り口がみずみずしく、しま模様がくっきりと鮮やかなものが良品です。また、花落ちの部分が小さいものは、農家の理想どおり結実して花がパッと落ちた証拠です。

 カットしてある場合は、切り口がすっとなめらかで、果肉に空洞がないものが新鮮です。また、赤い色が鮮やかで、種は真っ黒で太っているものが甘くておいしいです。


すいかの栄養と機能性

きゅうりの栄養と機能性

 果実の89.6%が水分、9.5%糖質(炭水化物)と、成分のほとんどが水分と糖質です。また、ビタミン類を総合的にバランス良く含みます。すいかの甘みを左右する糖質にはぶどう糖、果糖、しょ糖が含まれ、その中でも果糖を比較的多く含みます。果糖は、甘味度がしょ糖の約1.5倍と高い一方、さわやかな風味を持ち、エネルギー転換率が高いため、早い疲労回復効果が期待できます。

 また、利尿作用を持つアミノ酸の一種であるシトルリンに加えて、カリウムも豊富なことから、体内のミネラルバランスを整えたり、利尿効果を促進する効果が期待できます。

 このように、すいかには体調を整えスタミナを補う効果があり、体力を消耗しやすい暑い夏に最適な野菜といえます。

「五訂日本食品標準成分表」すいか(若茎、生)より
  30歳女性1日当たりの食事摂取基準を100とした場合における、すいか(グリーン、若茎、生)100g中に含まれる主な栄養素の割合。(ただし、ビタミンE、カリウムは、目安量の値を、その他は推奨量の値を用いた。)


【すいかのシトルリンはむくみ防止に効果的】




 昔からすいかは「腎臓病の民間薬」といわれていますが、成分中にカリウムが多く含むほか、尿成分を作るのに必要なシトルリンを含むため、利尿効果が大きく、腎臓病や高血圧、むくみの防止に効果的です。

 シトルリンは、すいかなどウリ科の植物に多く含まれるアミノ酸の一種で、尿素回路を構成する化合物の一つです。1930年に、すいかの果汁から発見されたことから、すいかの学名「シトルラス」にちなんで名付けられました。むくみ防止のほかにも、血管壁に老廃物が付着するのを防いで血流を改善し、動脈硬化を予防する働きがあります。

~すいかの赤い色のもとはリコピン~

 すいかの赤い色は、リコピンという色素によるものです。カロテノイドの一種で、すいかにはトマトの1.5倍ものリコピンが含まれます。強い抗酸化作用があることから、生活習慣病や細胞のがん化の予防や老化防止のほかに、メラニンの生成を促す物質の発生を抑制するため、美白効果なども期待できます。

監修:実践女子大学教授
田島 眞



すいかのいろいろ 種類・品種の特徴
すいかのいろいろ

クリックすると拡大します すいかのいろいろ

作付されている主な品種

監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和 すいかの主要産地と収穫時期

 すいかの産地は北海道から九州・沖縄まで全国に渡り、南から北へとリレー出荷がなされています。西日本の主産地は、熊本、鳥取です。収穫量全国1位の熊本では、施設で育てたすいかを主に早春から6月にかけて出荷しています。東日本の主産地は、千葉、山形、長野です。暖かい気候の千葉では、ハウス、トンネル、露地の順で、主に5月から7月まで出荷しています。山形や長野、秋田、北海道、石川からは8月を中心に露地栽培ものが多く出荷されます。

 小玉すいかは茨城、群馬、千葉が主産地で、5月から7月にかけて出荷が多くなり、ピークは6月で、真夏の大玉すいかが盛んに出回る時期より少し前になります。最近は、全国に栽培が広がる傾向があります。

すいかの主要産地と収穫時期
資料:農林水産省「平成18年産 野菜生産出荷統計」
注:図中の番号は収穫量の多い順番です。
調理のヒントと保存方法
【調理のヒント】
 すいかの種は、表面のしま模様に沿って並んでおり、その間の緑の部分にはありません。カットする場合は、しま目としま目の間を切ると包丁に種が当たらず、種(種の断面)が見えないきれいな切り口になります。逆に、表面に種が出た方が食べるときに種の処理がしやすいようにする場合は、しま目の上を切ります。

 また、すいかは、中心部分が一番甘いので、中心から放射状になるように切り分けると、一番甘い部分が均等に分けられます。

【保存方法】

 すいかは追熟がないため、収穫時が糖度の高さのピークです。時間が経つほど肉質が劣化して甘味も減少するため、特にカットものを買ってきた場合は、なるべく早く食べましょう。

 すいかの甘味は主に果糖によるものですが、果糖は冷やすと甘味を増す性質をもっているので、買ってきたら冷蔵庫に入れ、冷えたらカットしてすぐに食べるのが一番おいしい食べ方です。保存する場合は、丸ごとは風通しの良い場所で、カットものはラップに包み冷蔵庫で冷やします。保存の適温は8~10℃で、これ以下では果肉が低温障害を受けて味も悪くなります。










産地紹介「石川県(すいか)」 

産地紹介
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