産地の紹介 ~コメどころのすいか栽培~
石川県は本州のほぼ中央に位置し、東は富山県及び岐阜県に、南は福井県に接し、北は能登半島となって日本海に突出しています。地形は、南西から北東に向かって細長く、東西100.4km、南北198.5km、海岸線は延長約581.5kmを有しています。
金沢地方気象台によれば、石川県は両白山地から北西方向の日本海に向かって次第に低下する場所に位置し、冬期はぐずつく日が多いながら、比較的温和な気候の平野部を持つ加賀地方と、日本海に大きく突き出し、寒暖の季節風の影響を受けやすい低平な丘陵性の能登半島にわけることができます。
また、石川県はメジャーリーグのニューヨークヤンキースで活躍している「ゴジラ松井」の故郷でもありますが、よくみれば能登半島もゴジラの顔のようにつき出ています。
県の面積は4,185平方キロメートルで、森林は69%、農地は12%を占めています。畜産も含めた農業産出額でみると、平成18年の数字で、コメが総産出額のうち、56%をしめ1位となっていますが、これは北陸4県の中で一番少ないシェアである一方、野菜のシェアは15%で4県のうちで一番高いシェアとなっています。そのなかでもすいかは石川県の全農業品目のうち、産出額の大きさで、コメ、鶏卵、生乳、豚に次いで5位を占めるなど、重要な品目となっています。
石川のすいか産地は、加賀から能登にかけてベルト状に分布しており、県内南からJA加賀、JA金沢市、JA金沢中央、河北潟営農公社(河北潟干拓地)、JA石川かほく、JAはくい、JA志賀、JAおおぞら、JA内浦町、JAすずしと広い範囲で栽培されています。
県内すいか産地の栽培地帯をおおまかに分類すると、①加賀・金沢~能登羽咋の砂丘地で栽培されているもの(約70%)、②能登羽咋~奥能登の赤土で栽培されているもの(約20%)、③河北潟干拓地を中心に壌土で栽培されているもの(約10%)に分けることができます。
砂丘地すいかの中で、県内の半分の面積を有するJA金沢市は、「金沢西瓜」として出荷量・品質の安定感があり市場評価が高く、石川のすいかの代表格です。
また、平成19年度よりJAはくい、JA志賀、JAおおぞら、JA内浦町、JAすずしの能登一円で栽培出荷されるすいかを、能登野菜品目の「能登すいか」としてブランド化を行って販売しています。
※一番多く栽培されている砂丘地すいかの特徴としては産地の歴史 ~砂丘地、赤土、干拓地それぞれの産地発展~
(1) 砂丘地すいか
「石川県園芸要鑑」によると、石川すいかの発祥の地は、現在の小松市日末・佐美・松崎地区一体とかほく市高松・七塚・宇ノ気一体の砂丘地で、栽培起源は明治29年、日末の農家が名古屋から種子を移入したのが始まりとされ、その後、年を追って栽培面積が増加しました。
砂丘地すいかは、昭和33年にスプリンクラーかん水の普及により栽培が盛んになり、特に昭和40年代後半に入って急速に産地化が進みました。現在の生産量は金沢市が最も多く、次いで羽咋市、かほく市、加賀市となっています。
(2) 赤土すいか
赤土すいかの発祥地は、羽咋市柴垣・滝谷地区と志賀町です。栽培の起源はおおよそ昭和27~28年頃であり、その後、年々栽培面積が増加し、昭和36年には48haに達しました。その後、この地区で昭和40年~50年にかけてのパイロット事業による農地造成が増え、その造成畑にすいかが栽培されるようになりました。現在では、羽咋市、志賀町だけでなく、奥能登の穴水町、内浦町、珠洲市まで栽培が広がっています。
(3) 河北潟干拓地すいか
河北潟干拓地は昭和38年に着工し、23年間の歳月をかけ昭和60年に事業が完了しました。干拓地での営農は昭和54年から順次、使用が開始されましたが、干拓地特有の重粘質土壌に対処するため、最初の3ヵ年間を目途に、大麦・大豆を主体に土づくりを行い、昭和58年からすいかが導入されました。
生産体制 ~地域にあった品種選択と多様な作型~
(1) 20年産主要品種
祭ばやし(NK・777)30%、星きらら17%、縞無双HL15%、甘泉・ロイヤル甘泉12%、夏の訪れ7%で、その栽培地区と栽培時期にあった品種を選択しています。
「祭ばやしNK」は、今年より金沢を中心とした砂丘地で大幅に導入されました。この品種は砂丘地栽培にあった品種で、果肉がやや硬めでシャリ感が良く、食味もすいかの真ん中と皮ざかいまで糖度差が少なく非常に甘い品種です。
一方、「星きらら」は能登地区で導入を進めており、晩生品種で果肉が硬く暑い夏でも畑で耐えることができ、糖度の高い品種です。
(2) 20年産面積と生産量
JAごとの20年産の栽培面積をみると、JA加賀4.0ha、JA金沢市104.7ha、JA金沢中央5.3ha、河北潟営農公社17.0ha、JA石川かほく12.5ha、JAはくい、38.2ha、JA志賀16.9ha、JAおおぞら4.7ha、JA内浦町1.5ha、JAすずし3.5ha、県合計で208.3haとなっています。
今年の出荷は6月15日から始まり、8月20日頃まで出荷が続き、合計で681千ケース(1ケース16㎏、約10,900トン)出荷されるものと見込んでいます。また、出荷最盛期は7月中下旬となり、ピーク時の日出荷量は約35,000~40,000ケース(560トン~640トン)となります。
生産戸数は約200戸であり、全国的に高齢化している中、本県も同様の傾向にあります。しかしJA金沢市の西瓜部会は後継者が多く、部会役員全員が若手後継者で構成され、エネルギッシュでバイタリティー豊富な38才の方が部会長を務めています。
出荷体制
~充実した選果施設とトレサビリティ機能をもつ集出荷場も~
出荷規格は県下統一規格であり、合同目合わせ会の実施や全農いしかわ検査担当者による選果場巡回によって選果選別等品質基準を徹底しています。
県内各JAのすいか選果場は、大小18ヶ所あります。その中で、JA金沢市砂丘地集出荷場では、最新鋭の選果施設を導入、荷降ろしラクラクハンド(すいかを吸盤により選果ラインに送る装置)や全自動箱詰ロボット等も完備され生産者の重労働を軽減しています。また、先進のセンシングシステム(品質分析器)を導入し、すいかを全周撮像して外観判定する画像処理センサーと、空洞や甘さなどすいかの内部状態を判定する内部品質センサーを駆使し総合評価された均一な品質のすいかを市場へ届けることができます。また、選果結果を生産者にフィールドバックして、翌年の栽培活動に活用する営農支援システムを確立し、高品質なすいかの生産をサポートしています。
個々のすいかには必ずシールを貼られ、産地名及び生産者が追跡できるようになっています。出荷産地によっては、そのすいかの収穫日やどこの畑で収穫されたかまで判るようになっています。また、出荷前には栽培履歴用紙の提出が義務化されており、履歴の出荷前点検を実施し、原則未提出の生産者は集荷場へ持ち込みできない決まりとなっています。そのほかにも残留農薬の自主検査も全産地実施しており、安全で安心な石川産すいかを消費者に供給します。
石川県産すいかの仕向け先は市場出荷が主で、京阪神への出荷割合が多く約6割、地元北陸が3割、中京・京浜に1割が出荷されています。
販売戦略 ~事前販売の強化と積極的な販売促進活動~
原油高騰のあおりで、生産資材等が値上がりしていることから、生産者にとって厳しい情勢の中、正確な産地情報に基づく、事前売り込みの強化と計画的な出荷販売の実践、効果的な消費宣伝活動に取り組み、販売目標額を13億円に設定し、生産者の次年度へのすいか生産意欲につなげること目指しています。
本年も試食宣伝を多く企画し、まずは消費者に食べてもらい、石川のすいかが甘くて美味しいことを多くの方に知ってもらうことによって、すいか消費拡大を目指しています。
具体的な戦略内容については
などを行っています。
一言アピール
加賀・能登の自然と、加賀百万石の文化が育んだ「石川のすいか」
シャリ感と甘さが自慢の「石川のすいか」
夏はやっぱり「石川のすいか」 一度食べてみまっし!!
お問い合せ先
JA全農石川県本部 米穀園芸部 園芸課
〒920-0383 石川県金沢市古府1丁目220番地
TEL 076-240-5345 FAX 076-240-5349
URL:http://www.is.zennoh.or.jp/