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今月の野菜

冬のお鍋に欠かせない“はくさい”

春・秋冬はくさいは茨城県、愛知県など大都市近郊で、夏はくさいは長野県、群馬県などの高冷地で主に生産されています。

現在主流の 黄芯 おうしん はくさい(上)と、最近人気のある食べ切りサイズのミニはくさい(下)。


市場から

 

 

 はくさいは英語名で「Chinese cabbage」といわれるように、中国北部が栽培種の原産地とされ、10~11世紀頃から中国で栽培されています。


 日本への渡来は意外にも遅く明治初期(明8)。その際も採種が困難であまり普及しませんでした。その後、日清戦争、日露戦争において当時の日本兵が旧満州・朝鮮で大きく結球したおいしいはくさいの種子を日本に持ち帰り試作を繰り返したのが全国的に広まるきっかけでした。第二次世界大戦前から主要野菜としての地位を占めてきましたが、家庭ではくさい漬けをする機会が減り、食生活の洋風化の影響もあって近年作付面積は減少傾向にあります。


 中国のはくさいには大きく分けて山東型、華北型、華南型がありますが、気候と風土の関係から日本では山東型のみが定着しました。


 はくさいの結球様式には結球タイプ、半結球タイプ、非結球タイプがあります。現在日本で流通しているのはほとんど結球タイプです。


 結球タイプでも頭部の葉がしっかり重なる包被円筒形と重ならない包合砲弾形に分けられますが、はくさいの内側の葉が黄色い色をした黄芯系(包被円筒形)と呼ばれる品種が主流となっています。黄芯系が主流となった理由は、現在、はくさいはカットして売られることが多いため、半分に切ったときに見た目が美しく、また味もおいしかったためといわれています。


 一般のはくさいは一つの玉が3~4kgになることも多いですが、最近は1kg以下の食べきりサイズのミニはくさいもよく見受けられるようになりました。


 はくさいは、秋冬はくさい(10~3月)が出荷量も味もピークになります。春もの、夏ものに比べて特に冬越えをしたはくさいは葉の糖度が増して甘み、歯ごたえ、重量感があります。


 鍋物、味噌汁の具、漬物、サラダとどんな料理にも向くはくさいは風邪の予防効果があるビタミンCを豊富に含むので、たくさん食べて風邪をひかずに冬を乗り切りましょう。

もっとおいしく! オススメの食べ方

 

 

  はくさいといえば何といっても鍋がおすすめです。寄せ鍋、すき焼き、湯豆腐、キムチ鍋、豆乳鍋などいろいろな鍋をぜひお試し下さい。


 また、はくさいは味が淡白なため、炒め物、クリーム煮、漬物、サラダなど和洋中どんな料理にも合います。

情報提供:東京青果株式会社
課長補佐 加藤宏一
おいしい“はくさい”を選ぼう!
おいしいはくさいを選ぼう!
※クリックすると拡大します

 

 外葉は色鮮やかで、白い部分につやがあるものを選びましょう。また葉の巻きがしっかりしており、全体に固くしまって重いものを選びましょう。葉先が枯れているはくさいは霜にあたって味が充実しています。


 カットものの場合は芯の部分に注目しましょう。カット後も中心付近は成長を続けるので、盛り上がる度合いで新鮮さがわかります。断面が平らで膨らんでおらず、根元の切り口が白いものが新鮮です。



はくさいの栄養と機能性
はくさいの栄養と機能性

 

 

  はくさいには、緑黄色野菜ほどではありませんが、体の抵抗力を高めて風邪予防に役立つビタミンCや、止血したり骨を丈夫にするビタミンK、ナトリウムの排出を促進して高血圧を防ぐ働きをするカリウム、胎児の正常な発育に不可欠なビタミンである葉酸などが豊富に含まれており、いろいろな栄養素をまんべんなく含んでいる野菜といえます。


「五訂日本食品標準成分表」はくさい(結球葉・生)より
  30歳女性1日あたりの食事摂取基準を100とした場合における、はくさい(結球葉・生)100g中に含まれる主な栄養素の割合。(ただし、ビタミンK、カリウム、食物繊維は、目安量の値を、その他は推奨量の値を用いた。)



【はくさいは生活習慣病予防に効果的】




 はくさいは水分が95%と、野菜の中でも水分含有量が多く、なおかつエネルギーが100g当たり14kcalと、きわめて低カロリーの野菜です。また、はくさいには食物繊維が多く含まれており、便秘を解消したり、高脂血症や糖尿病の予防にも役立ちます。さらに、血圧を上昇させるナトリウムを体外へと排泄するカリウムが豊富に含まれています。


 このように、はくさいは糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病を招いている現代の日本人にとって生活習慣病を予防する格好の食材といえます。



~はくさいに含まれる「グルコシノレート」はがん予防に効果的~

 

 

 はくさいはアブラナ科の野菜なのでブロッコリー、だいこん、わさびなどのアブラナ科の野菜に共通しているグルコシノレートという辛み成分が含まれています。


 グルコシノレートは加熱しても分解されず、体内に取り込まれると、肝臓に入ります。肝臓では有毒物質の分解が行われていますが、グルコシノレートは、肝臓の解毒作用を活性化してがんを予防することが証明されています。

監修:実践女子大学教授
田島 眞



はくさいのいろいろ 種類・品種の特徴

※クリックすると拡大します。


※クリックすると拡大します。
作付されている主な品種

監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和
はくさいの主要産地と収穫時期

 

 全国の収穫量は943,700トン(平成18年)となっています。


 はくさいの生育適温は15~20℃で、冷涼な気候を好みます。かつては、鍋物、煮物、漬物と冬場を中心に幅広く大量に使われていましたが、家庭での漬物需要の減少もあり、生産は減少しています。40年前はキャベツより生産量は多かったのですが、現在ではキャベツの生産量の7割弱の水準となっています。


 はくさいは大きく春はくさい、夏はくさい及び秋冬はくさいに区分されます。秋冬はくさいの生産量は以前に比べ大幅に減少していますが、トンネル栽培(トンネル型にビニールをかぶせた簡易な施設栽培)による春はくさい、高冷地の夏はくさいの生産は増加しており、周年供給体制ができています。


はくさいの主要産地と収穫時期 資料:農林水産省「平成18年産 野菜生産出荷統計」
注:図中の番号は収穫量の多い順番です。
調理のヒントと保存方法
【調理のヒント】葉先をバラバラにせずに縦に割るには?
 はくさいを縦に割るときには、根元から包丁を軽く入れて手で割くと、葉先がばらばらにならずにすみます。

 はくさいは味にくせがなく繊維が柔らかいのが持ち味で、どんな料理にもぴったり合います。

 外側の大きな葉先は巻き物や蒸し物に、葉の中間から下の部分は炒め物や鍋物に、内側の柔らかい葉はサラダに使うなど、部位によりそれぞれの持ち味を生かして調理すると、よりおいしく食べることができます。

【保存方法】
 はくさいは保存性に優れており、秋冬期は新聞紙にくるみ冷暗所で保存すれば半月は持ちます。葉菜類の中では栄養成分の減少が少ない方ですが、横にすると呼吸量が増加し品質低下を招くので立てて保存しましょう。ぬれると傷むので、新聞紙の中側がぬれてきたら、新聞紙を取り換えます。カットものは栄養成分が減少しやすいので冷蔵庫に入れて早めに使いましょう。







産地紹介「茨城県下妻市・常総市・八千代町(はくさい)」 / 

産地紹介
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