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今月の野菜

旬を迎えますますおいしい
ほうれんそうは、栄養素の宝庫



これから冬に向かって、
茎や葉がだんだん太くなって旨みが出てきます


外食で人気がある水耕で栽培される
サラダほうれんそう。



市場から
 
 
 かつては日本で栽培されていたほうれんそうは、「東洋種」が主体でしたが、収穫量が少なく抽苔しやすいことから、近年は、収穫量が多く抽苔しにくい「西洋種」をかけあわせた一代雑種(F1)が主流です。また、最近は、寒さから身を守るため、地面をはうように生育した甘みの強いちぢみほうれんそうやシュウ酸が少ないサラダほうれんそうなどの栽培も盛んです。

 ほうれんそうは、ビタミンなどの栄養素が豊富なことから、人気があります。もともとは冬場の野菜ですが、品種改良や資材を使って地温が上がらないようにしたことから、現在では夏場の栽培も盛んです。しかしながら、今年の夏は、猛暑の影響で、茎や葉が細々としていてあまりかさばらず、作柄がよくなかったといえます。また、最近は夏場のほうれんそうは価格低迷と生産者の高齢化の影響で栽培面積が減り、冬場のほうれんそうは施設栽培の小玉すいかやみず菜などからの転作が進んで増えている傾向があります。

 ほうれんそうは、夏場は東北や関東の高冷地、岐阜の飛騨高山からの出荷が多く、冬場は茨城の行方、栃木の小山、群馬の笠懸地区、埼玉の平野部など関東近県の産地からのものが出回ります。

 これから旬を迎え、栄養豊富でますますおいしくなるほうれんそうを、ぜひ、夕食の一品に加えてください。 もっとおいしく! オススメの食べ方
 
 
 ほうれんそうはなんといってもおひたしがおすすめです。

 また、手軽にバター炒めなどもできます。

 さらに、ごまやピーナツなどと組み合わせて調理すると、これらに含まれるビタミンEがほうれんそうのビタミンAやビタミンCの酸化を防ぐとともに、カロテンの吸収を助けるので、ごま和えやピーナツ和えなどもおすすめです。

情報提供:東京青果株式会社
課長補佐 加藤宏一
おいしいほうれんそうを選ぼう!

 
 
 適度な緑色で葉肉が厚く切り口が新鮮でつやがあるものを選びましょう。茎は太すぎず、しっかりしているものを選びましょう。

 霜にあたって甘みが増す11~3月においしいものが出回ります。甘みがあるほうれんそうは根元が赤いのでチェックしましょう。黒ずみや黄色い葉が混じっているものは古いので避けましょう。

ほうれんそうの栄養と機能性
 
 
 ほうれんそうは、周年栽培されるため1年中お店で購入できますが、季節によって品種や栽培日数が違うため、栄養的には冬どりに軍配が上がります。

 五訂日本食品標準成分表によると、ビタミンCは冬どりほうれんそうの方が、3倍多くなります。

 植物は低温になると耐寒のために、養分濃度を高めて凍りにくくする性質があります。このため、糖やビタミンCの含有量が増加して、よりおいしくなるのです。
ほうれんそうの栄養と機能性

「五訂日本食品標準成分表」 ほうれんそう(葉・生)より
30歳女性1日あたりの食事摂取基準を100とした場合における、ほうれんそう(葉・生)100g中に含まれる主な栄養素の割合。(ただし、カリウムは目安量の値を、その他は推奨量の値を用いた。)


ほうれんそうは鉄分が豊富



 ほうれんそうは、野菜の中で鉄分が多く、鉄分の吸収を助けるビタミンCも豊富に含まれています。そのほかにも、カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、葉酸、ビタミンC、ビタミンK等ビタミン類も多く、さらに食物繊維も豊富なので、非常に栄養価の高い野菜といえます。

 ほうれんそうの鉄分は牛レバーに匹敵します。鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄のほうが体内によく吸収されます。ヘム鉄はレバーや赤身肉、カツオなどの動物性食品に、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれています。ほうれんそうの鉄分は非テム鉄ですが、鉄分と鉄分の吸収を助けるビタミンCを同時に摂取できる食材なので、疲れやすい、頭痛、動悸、食欲不振などの鉄欠乏性貧血を起こしやすい方は普段の食事に取り入れると良いでしょう。

~認知症予防にも葉酸を!~


 鉄分とともに注目したい成分が葉酸です。ほうれんそうには欠乏すると悪性貧血になるといわれている葉酸も豊富に含まれています。葉酸はビタミンB群の仲間ですがほうれんそうから発見されたことから「葉酸」と名付けられました。

 葉酸は特に妊娠中に積極的に摂取するように言われていますが、最近認知症予防やがん抑制にも効果があるということで研究が進められています。 監修:実践女子大学教授
田島 眞



ほうれんそうのいろいろ 種類・品種の特徴 作付されている主な品種

監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和
ほうれんそうの主要産地と収穫時期  
 全国の収穫量は299,100トン(平成18年)となっています。ほうれんそうの生育適温は15~20℃と冷涼な気候を好み、高温には弱いという特徴があります。

  かつては都市近郊で夏以外の期間に生産されていましたが、近年は東洋種と西洋種の一代雑種を冷涼な地域で雨除けハウスを利用して夏でも栽培するようになり、周年供給が可能となりました。

  ほうれんそうは、夏場は北海道や岐阜県などの冷涼な地域、冬場は関東、宮崎や福岡などの南西地域で栽培しています。また群馬や愛知では周年栽培しています。

ほうれんそうの主要産地と収穫時期 資料:農林水産省「平成18年産 野菜生産出荷統計」
注:図中の番号は収穫量の多い順番です。
調理のヒントと保存方法
【調理のヒント】 フリージングでクイック調理!  
   冷凍はビタミンの損失がもっとも少ない貯蔵法です。その場合は硬めに(1分ほど)ゆがいて十分冷却した後、小分けにしてラップに包み密封して冷凍します。凍ったまま炒め物やスープに使えば調理のスピードもアップしてクイック調理が可能です。
 
 ほうれんそうを根元からゆでた後、水にサッとさらすとアクがよく抜けます。このとき、ゆで過ぎるとビタミンCの損失が多くなるので注意しましょう。

 根元の赤い部分には、ベタシアニンというポリフェノールを含んでいるほか、骨の生成に重要な役割を果たしてくれるマンガンが多く含まれているので、捨てずに食べるようにしましょう。

 また、炒める場合は適正な量の油を使うことで、栄養も逃げず、旨味もアップします。







産地紹介「京都府京丹波町瑞穂地域」 

産地紹介
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