独立行政法人農畜産業振興機構 理事長 宮坂 亘
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
alicの業務につきまして、旧年中は皆さまのご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
昨年は、梅雨期の九州北部豪雨や9月に日本列島を縦断した台風18号、10月の台風21号、22号などにより、多くの方が被災されたのみならず、農作物、農畜産業関連施設にも多大な被害が発生しました。被害に遭われた皆さまに、心からお見舞い申し上げます。
さて、わが国の農林水産業をめぐっては、グローバル化が一層進展する中、昨年も環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)、日EU経済連携協定(EPA)など、さまざまな動きがありました。
政府は、農林水産業の国際競争力をさらに強化するため、11月下旬に「総合的なTPP等関連政策大綱」(平成29年11月24日TPP等総合対策本部)を決定しました。今後、同大綱に基づく対策に係る関連法案の国会審議など必要な手続きが進められると聞いております。
また、6月には「農業災害補償法の一部を改正する法律」(法律の題名は農業保険法に改称)が成立しました。農業保険法に基づく収入保険が平成31年1月から適用されることとなり、alicが実施する野菜価格安定制度との選択加入になるため、対象出荷期間の見直しなど運用の見直しを本年4月から図るとともに、円滑な実施に向け適切な周知を行って参る所存です。
さて、野菜について昨年一年間を振り返りますと、4月までは、一昨年の8月から9月の台風や曇雨天による影響を受け、野菜の価格は、平年より高めの状況が続いたものの、春から夏にかけての好天により平年並みもしくは平年を下回る価格で推移しました。しかし、10月の相次ぐ台風や長雨の影響により、11月上旬よりレタスなど一部の品目で高値となっている状況です。
野菜は、国民の食生活に欠くことのできない食材ですが、このように天候の影響を受けて、作柄が変動しやすく、保存性も低いため、短期間に価格が大きく変動するという特性を有しています。alicとしては、野菜の価格が低落した場合にも、次年度以降も安定した生産を継続できるよう、野菜価格安定対策事業や諸情勢に対応した対策を、今年も引き続き実施して参ります。
また、主要野菜の用途別需要の推計結果(2015年度の推計結果)が5年ぶりに公表されましたが、これによると、野菜需要のうちの加工・業務用需要は、5年前に比べ1ポイント増の57%となりました。alicとしては、このような加工・業務用ニーズの高まりに対応し、加工・業務用野菜生産者の経営安定と所得確保および消費者に対する国産野菜の安定的な供給の確保を目的として、平成26年度から加工・業務用野菜生産基盤強化事業を実施しています。本年も引き続き、加工・業務用野菜への転換を推進する産地に対する支援を中心に推進して参ります。
alicは、国の重要な施策を担う機関として、これまでもその時々に求められた役割を果たすべく、さまざまな事業を機動的かつ効率的に実施して参りました。本年4月からは、第4期目となる新たな中期目標期間を迎えます。新たな中期目標期間においても、これまでに培ったノウハウなどを生かしつつ、alicに与えられた役割を確実に果たしていきたいと考えております。引き続き、皆さまのご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
本年が皆さまにとって希望に満ちた明るい年となりますことをご祈念申し上げ、新年のあいさつと致します。