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調査・報告 野菜情報 2026年9月号

メロン選果場の共同利用と共同販売による産地強化            ~青森県JAごしょつがるとJAつがるにしきたの取り組み~

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株式会社農林中金総合研究所 リサーチ&ソリューション第1部長 主席研究員 尾高 恵美

【要約】

 選果場、予冷庫や貯蔵庫といった大規模な集出荷施設の導入に当たっては、個々の生産者の費用負担を抑えるため、農業協同組合(以下「JA」という)が取得し、多くの生産者が共同で利用することが多い。特に流通過程で品質が重視される果実的野菜では、内部・外部品質を計測する装置に多額の投資が必要となるため、複数JAが共同で利用することも選択肢になる。本稿では、メロンに注目して、青森県の2JAによる選果場の共同利用と共同販売の取り組みについて報告する。

1 はじめに

 共同利用施設は、圃場(ほじょう)の前工程や収穫の後工程を中心に、農作業の一部を代行することによって生産者の作業負担軽減に寄与しており、野菜に関しては、育苗施設や検査ライン、選果場、予冷庫や貯蔵庫といった集出荷施設、農産物直売所などがある。
 一般的に、大規模な施設や高性能な装置を備えた施設の導入に当たっては、投資額が大きくなるため、農業協同組合(以下「JA」という)が取得して、多くの生産者が利用することにより、個々の生産者の費用負担が抑えられる。特に市場評価において品質が重視される品目(例えば、トマトやメロン、すいか)は、糖度、酸度や熟度などを計測する機械装置の投資負担が大きい。
 現在、これらの共同利用施設の老朽化が全国的に進んでおり、修繕費がかさんだり、機能提供の継続が危ぶまれている産地が少なくない。全国農業協同組合中央会の調査によると、現在稼働している共同利用施設のうち7割の施設は稼働後30~40年を経過している(注1)。そのような施設では、取得当時に比べて産地の規模が変化しており、稼働率の低下も懸念されている。
 先述の通り、共同利用施設を新たに取得しようとすると、多額の投資が必要となるため、JAが個別に所有することが難しい場合は、既存の施設を他JAと共同利用することも選択肢になる。そこで本稿では、品質が重視される品目の中でもメロンに注目して、青森県のごしょつがる農業協同組合(以下「JAごしょつがる」という)とつがるにしきた農業協同組合(以下「JAつがるにしきた」という)による選果場の共同利用と共同販売の取り組みについて報告する。

(注1)全国農業協同組合中央会(2026)「JAグループにおける共同利用施設をめぐる情勢と取り組み」、農林水産省主催「共同利用施設の再編集約・合理化に関するシンポジウム」(2026年3月18日開催)資料

2 メロンの商品特性

(1)個体による糖度のばらつき
 同じ産地でも、メロンは収穫方法によって個体ごとに糖度のばらつきが生じる。自然交配の場合、同じ圃場内の個体でも受粉のタイミングが均一でなく、収穫の最適期に数日のずれが生じる。品質を重視して1個1個の熟度を確認しながら、同じ圃場で複数回に分けて収穫すると、糖度をそろえることができる。一方で、栽培規模が大きい生産者では、作業効率を重視して1カ所の圃場のメロンを一度にすべて収穫する場合もある。後者の場合は、最適期のメロンだけでなく、熟度がやや低いメロンが混在し、糖度にばらつきが生じる。
 
(2)流通における評価基準
 一年生作物であるメロンは、農林水産省の「作物統計調査」では果実的野菜として野菜に分類されている。一方で、販売戦略において品質が重視されるため、流通面では果実として扱われ、「青果物卸売市場調査」においては果実に分類されている。一般的に果実の流通においては、栄養価に加えて、嗜好(しこう)品として食味の価値が大きく評価されている。また、贈答用に用いられることもあるため、外観の良し悪しも評価対象となる。果実の中でも、メロンの単価は高く、このような傾向がより強い。食味や外観が良い個体ほど、市場での評価が高くなる。そのような個体を多く出荷している産地は、地域ブランドとして認知されている。上述したように、食味や外観は果実の個体によって異なるため、1個ずつ客観的に評価して選果する必要がある。

3 産地の概要

 本稿で取り上げるJAごしょつがるとJAつがるにしきたは、青森県西部に位置している。両JAにまたがるつがる市の砂丘地帯を中心に、メロンがトンネル栽培されている。青森県の2024年産メロン作付面積は、全国6位の331ヘクタールで、つがる市がその大宗を占めている(注2)。両JAの出荷量は合わせて1100トンで、うちJAごしょつがるが800トン、JAつがるにしきたが300トンほどである。2025年度の販売高は合わせて5.4億円である。2005年に1町4村の合併によりつがる市が誕生したことを契機に、両JAでは「つがるブランド」で販売している。
 主力品種は、青果肉のタカミ(収穫時期は6月下旬~8月中旬)、赤果肉のレノン(同7月下旬~8月下旬)、青果肉のキスロマン(同8月中旬~9月中旬)で、6~9月にかけてリレーしながら出荷している。
 JAごしょつがるでは、2012年にメロン選果機を更新した(事業費4億6620万円)。これにより処理スピードと、後述するように内部品質や外観の評価能力が大幅に向上した。以前は産地市場に直接出荷する生産者が少なくなかったが、高齢化により選果作業の負担が増し、JA出荷に切り替える生産者が増えている。

(注2)農林水産省「野菜生産出荷統計」

4 選果機能

(1)選果基準
 JAごしょつがるでは、メロンの選果基準として、規格品の等級は5段階、階級は重量に応じて7段階の計35等階級に分かれている。等級は、糖度や熟度といった内部品質と、球形、ネット密度、傷の有無といった外部品質で分類している。最上級の「プレミアム」は、糖度17度以上、なおかつ外観やネット密度が極上のものが該当する。プレミアムの基準を満たす個体は、年間数%である。次が「特秀」、「秀」、「優」で、糖度14度以上17度未満のものを、外観とネット密度に応じて3段階に分類している。このうち糖度15度以上のものを「つがるブランド」として販売している。その次が「A」で、糖度13度以上14度未満とやや低いが、ネット密度がしっかりしているものが該当する。そして、糖度12.9度以下は「糖度落ち」に分類する。
 
(2)荷受けから出荷までの工程
 選果場の工程を大まかに見ると、まずコンテナで荷受けしたメロンを、コンベアに載せて選果ラインを移動させる。オート・ラベラーで、1個1個にシリアルナンバーを記載したシールを貼付する(図の(2))。
 次に、充実度センサーと内部品位センサーで充実度・糖度といった内部品質の非破壊検査を行い(同(3)、(4))、画像処理装置で外観(同(5))を計測する。その次に、高温による品質低下や輸送中の荷傷みへの対策として、また、メロン果皮の黄化やカビを抑制するために、鮮度保持装置で近赤外光を照射する(同(6))(注3)。(3)、(4)、(5)で1個1個計測したデータに基づいて、選果基準に照らして高速ソータが仕分けを行い(同(7))、自動箱詰装置のロボットがメロンを吸引して等階級別に段ボール箱に詰める(同(8))。
 このように、コンベアで運搬し、ロボットで吸引して箱詰めを行うなど、荷傷みを防ぐために、人間の手が極力触れない設計となっている。選果データは、出荷日ごとに生産者にフィードバックしている。プレミアムを目指す生産者は、収穫するタイミングの調整に選果データを活用している。

(注3)秦亜矢子・垣渕和正(2024)「収穫後のメロンの品質に及ぼす近赤外光照射の影響」四国総合研究所『研究期報』、27~34ページ


 
(3)内部品質と外観の測定方法
 前述したように、嗜好品であるメロンは内部品質と外観によって価値が決まる。前述した選果基準に基づいて選果するために、メロン1個1個の内部品質と外観を測定し、そのデータに基づいて選果を行っている(写真1、2)。これらを測定する(3)、(4)、(5)が特に重要な工程である。
 (3)の充実度センサーでは、重量と体積を計測して密度を算出している。重さにより階級を判別するとともに、密度の高低により、にがみ果などの傷害果を識別している。
 また、(4)の内部品位センサーでは、光センサーで糖度を計測し、過熟果やうるみ果を識別する。さらに(5)の画像処理装置では、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラで上部と側面2カ所の計3カ所を撮影してデジタル画像処理し、球形のバランス、外部障害の有無、ネット密度を算出する。ネットはメロン表皮の網目であるが、白く映し出されるネット面積が表皮面積に占める割合を計測して、ネット密度を算出する。
 このように計測した結果を基に、選果基準に則し1個1個に等階級を付与している。

タイトル: p041
 
(4)選果による販売への効果
 このように、内部品質と外観を客観的に測定し、細かい選果基準に則って選果することにより、等級に応じた販売が可能となった。「プレミアム」は高級果実店や贈答用に出荷し、「つがるブランド」は大阪を中心に大消費地の量販店で販売している。規格外品の「糖度落ち」についても、選果機導入前は地元で直売していたが、洋菓子店や外食店といった実需者の要望に応じて販売できるようになった。

5 2JAによるメロン選果場の共同利用

 このような高度な選果機能は、メロンの販売面で大きな効果をもたらす一方で、内部品質センサーや画像処理装置などの導入には多額の投資を要する。また、1年間のうち稼働は4カ月程度に限られる。このため、広域的な共同利用が有効な選択肢となる。JAごしょつがるとJAつがるにしきたでは、次のように選果場の共同利用を行っている。
 
(1)第1ステップ:受委託による共同利用
 JAつがるにしきたでは、以前、大きさを測定できる旧式のメロン選果機を使用していたが、年月が経つにつれ老朽化し、修繕費がかさんでいた。このため、2013年ごろに、JAごしょつがるに選果作業の委託について相談を持ち掛けたことがきっかけで、共同利用の検討が始まった。JAごしょつがるでは、常勤役員、理事会、生産部会での協議と承認を経て、最終的に担当のJA職員同士で実務の詳細を調整し、16年度に「メロン選果作業委託基本契約」を締結し、JAごしょつがるが、JAつがるにしきた産メロンの選果作業を受託した。
 両JAでは、同じつがるブランドで販売していたものの、選果基準が異なっていたため、まず受委託に当たって選果基準を統一した。しかしながら、受託開始当初は、それぞれ別の段ボールに梱包し、それぞれのJAで分荷業務を行っていた。両JAのメロンが混入するのを防止するため、選果場では、午前中に、まずJAごしょつがる生産者のメロンを選果・梱包した。それが終わってから、ラベルや段ボールを変え、JAつがるにしきた生産者のメロンを選果するという段取りで作業を行っていた。ラベルや段ボールの切り替え作業に1回当たり約20分かかり、1日2回の作業があったため、40分の時間ロスが生じていた。1日の稼働時間を8時間とすると、40分はその8.3%を占める。また、1秒間に2個処理できるので、40分あれば4800個分の処理量に相当し、この時間をロスすることは人手不足の産地にあって無視できないものであった。
 
(2)第2ステップ:共同利用・共同販売
 そこで、翌17年度から、段ボールを統一し、販売を一元化して共同販売することにした。両JAは「つがるメロン協議会」を設置し、共同販売に向けて選果料、販売先や販売代金の精算方法について協議した。協議会の会長は、選果場を所有するJAごしょつがる組合長、副会長はJAつがるにしきた組合長が務め、両JA職員がメンバーとなり、オブザーバーとして両JAのメロン部会長、全国農業協同組合連合会青森県本部、つがる市が出席し、発言している。
 JAつがるにしきたからは、集出荷場で一次集荷してJAごしょつがるのメロン選果場に横持ちしている。輸送時間は片道30分程度と短いため、荷傷みへの影響は生じていない。
 個体に貼付するラベルや段ボールを統一し、出荷者名として、両JA名を併記した「つがるメロン協議会」を記載している(写真3)。ラベルや段ボールを統一したため、切り替え作業の必要がなくなり、時間のロスが解消されて、施設の稼働率も向上した。
 販売先は集約して、販売業務はJAごしょつがるの職員が一元的に行っている。販売代金は、選果日ごとにプールして共同計算を行っている。2JAの共同販売により、全体の販売ロットが大きくなり、店舗数の多い量販店にも出荷できるようになるとともに、等階級の構成比が変化して販路が拡大するなど、販売面でもメリットがあった。

タイトル: p042

6 おわりに

 本稿では、流通過程で品質が重視されるメロンを取り上げて、一つ一つの果実に価値を付けるために、内部・外部品質を客観的に計測し、それに基づいて選果することが重要となることを示した。計測する装置の取得に多額の投資が必要となるため、複数JAが共同で利用することも選択肢になることを示し、青森県の2JAによる選果場の共同利用と共同販売による取り組みを紹介した。今後の園芸産地における参考事例として注目されたい。
 
参考文献
・片山和善(2024)「産地紹介:青森県JAごしょつがる~津軽平野で育つおいしいタカミメロン~」農畜産業振興機構「野菜情報」2024年7月号、36-39頁
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/santi/2407_santi1.html