野菜業務部直接契約課
平成29年10月31日、第29回となる国産野菜の契約取引マッチング・フェア(当機構主催)が、大阪府大阪市のマイドームおおさかにおいて、全国各地から多彩な91の事業者・団体が出展して開催された。
わが国の野菜の需要に占める加工・業務用需要の割合は、昭和50年ごろは4割程度であったが、食の外部化の進展などにより、平成27年には6割近くまでに増加している。
一方、国産野菜の供給は、過半が家計消費用に仕向けられており、今後とも増加が見込まれる加工・業務用需要に対する国産野菜の安定的な供給体制を確立することが重要となっている。
このため、当機構では、平成18年度から国産野菜の契約取引マッチング・フェア(加工・業務用野菜産地と実需者との交流会)を開催しており、本年29年10月31日、第29回目のマッチング・フェアをマイドームおおさか(大阪府大阪市)において開催したので、その概要を紹介する。
オープニングセレモニーでは、主催者を代表して(独)農畜産業振興機構 近藤副理事長からの挨拶と、来賓としてお越しいただいた農林水産省近畿農政局 石場生産部長から祝辞を頂戴した後、石場生産部長、農林水産省生産局園芸作物課 郡流通加工対策室長、JA鹿児島県経済連園芸事業部 馬場販売次長、Always株式会社 市川代表取締役、近藤副理事長によるテープカットが行われた(写真1)。
今回は、北海道から鹿児島まで全国から多彩な91の事業者・団体(生産者団体17、生産者30、流通業者19、加工業4、種苗会社13、植物工場4、その他4)が出展し、卸・仲卸業者や食品製造業者など多数の来場者(約300名)を迎えて、各ブースや商談スペースでは、商談や交流が行われた(写真2)。
以下、いくつかの出展者の概要を紹介する。
(1)生産者団体
農業生産法人の有限会社コウヤマ芋屋長兵衛(熊本県)は、地域に埋もれがちだったサツマイモに付加価値を付けたオリジナルな加工品を、生産・加工から販売まで一貫体制で行っている。そのオリジナル商品のうち「熊本いきなり団子」は、HACCP対応菓子製品高度化基準(全国菓子工業組合連合会)の認定を受けた工場で製造するなど、安全・安心な加工品を提供している。平成29年4月には、九州の良い商品を全国に向けて販売することを目標に「株式会社芋屋長兵衛商店」を設立した。今回は、いも菓子、焼芋ペースト、甘藷パウダーなどの加工品や焼酎などを展示していた(写真3)。
(2)生産者
柏センコー運輸株式会社(Vegeplomo) (千葉県)は、多肉植物であるグラパラリーフを生産・販売している。グラパラリーフとは、中南米を原産とするグラプトペタルムを食用に品種改良し、平成21年に農林水産省より新種として品種登録された野菜である。
今回は、グラパラリーフとそれを原料としたスムージーやシャーベットなどを展示しており、来場者は、グラパラリーフが20種類以上のミネラルをバランス良く含み、カルシウム・マグネシウムが豊富な野菜であり、「超ミネラル水」を使用したミネラル栽培を行い一切農薬を使わないなど、「健康」をキーワードとした栽培などの説明に、耳を傾けていた(写真4)。
農事組合法人ドリームマッシュ(福岡県)は、日本有数のきのこ産地である福岡県三潴郡大木町に平成11年に設立され、長年の経験で培ったきのこ類の栽培技術を生かして生産した、ぶなしめじ、エノキ茸、エリンギなどを一次加工した、高品質で使いやすい製品を全国の病院・学校・食品メーカー・レストランに提供している。また、21年に福岡県で2番目にJGAPを取得するなど農産物の安全・安心の確保に努めている。今回は、多彩なきのこの加工品を展示し、試食品を提供して来場者の好評を得ていた(写真5)。
(3)流通業者
株式会社トレード(京都府)は、日本全国約200カ所の卸売市場間で、一定価格、安定品質、安定数量、コールドチェーンを特徴とした、野菜転送事業を展開している。また、京都府内で栽培された伝統野菜をはじめ生産者から直接仕入れた野菜を、京野菜ブランド「洛市」として安定価格で全国に提供している。さらに、平成29年8月からは、日本各地の魅力的な野菜や果物を新しい地域ブランド「地選」として提供している。
今回は、「洛市」の九条ねぎ、京みず菜などや、「地選」の一光ねぎを出展していた(写真6)。
(4)種苗会社
株式会社増田採種場(静岡県)は、キャベツ、ケール、ブロッコリーなどアブラナ科専門の種苗会社で、昭和元年の創立以来、土づくりや肥料管理にこだわった「人にやさしい品種改良」をモットーに研究を重ね、現在まで数多くの新品種を開発・育成している。今回は、自社で開発したソフトケールやジューシーケール、それらを原料とした青汁などの加工品などを展示していた(写真7)。
今回は、会場内の特設ステージにおいて、出展者の中から応募のあった8社による、自社の事業内容などについてプレゼンテーションが行われた(写真8、表)。
会場内特設ステージにおいて、平成14年度以降、野菜の契約取引における生産者リスクを軽減するため、当機構で実施している契約野菜安定供給事業などの説明を行った。
はじめに、農林水産省から6次産業化法の認定を受けたリレー出荷に取り組む生産者に対する特例措置について、続いて、機構担当者から、契約野菜関連事業について説明を行った(写真9、10)。
当機構では、野菜の契約取引における生産者のリスクを軽減する経営安定対策事業や、収入確保のためのセーフティーネット対策としてのモデル事業に加え、平成26年度からは、加工・業務用野菜の生産に取り組む産地の基盤強化を支援する補助事業も実施するなど、加工・業務用野菜の取引と生産の拡大に対してさまざまな支援を行っている。
加工・業務用野菜に対する産地側、実需側双方のニーズの高まりを受けて、本マッチング・フェアは毎回好評であり、今後も、双方の商談・交流の場を提供していくこととしている。
最後に、本マッチング・フェアを開催するに当たり、出展者や来場者の募集、周知などに多大なご協力を頂いた関係者の皆様方に、この場を借りて厚く御礼を申し上げる。
【生産者団体】
阿波市農業生産法人協会、大阪泉州農業協同組合、Always株式会社、オリックス株式会社、JA鹿児島県経済連、JA倉敷かさや及び有限会社エーアンドエス、有限会社コウヤマ芋屋長兵衛、JAさが(佐賀県農業協同組合)、農事組合法人忍の里、JA全農京都、JA全農ひろしま、JA全農みえ、東近江プライマリーCo.協議会、有限会社備南農産、百姓百品株式会社、株式会社ミスズライフ、農事組合法人水鳥、矢野園芸共販組合
【生産者】
アイ・エス・フーズ株式会社、株式会社アグリ・コーポレーション、有限会社アグリプラント、朝倉物産株式会社、Nファーム、株式会社オキス、柏センコー運輸株式会社(Vegeplomo)、株式会社カワカミ、株式会社耕野、農業生産法人こと京都株式会社、株式会社さかうえ、坂上農園、さわのはな倶楽部合同会社、農事組合法人サンエスファーム、株式会社しものファーム、農業生産法人有限会社新福青果、株式会社鈴生、株式会社立久井農園、株式会社旦千花、谷上輝幸、株式会社テレファーム、農事組合法人ドリームマッシュ、有限会社橋場農園、株式会社ハラキン、ファーム・バルーン、益田農園、株式会社マッシュアンドフルーツ、三浦農園、株式会社みやぎ農園
【流通業者】
アクレード株式会社、飯山中央市場株式会社、イノチオつなぐ株式会社、愛媛うまいもの販売株式会社、株式会社オリザ、株式会社禾の人、クラカグループ倉敷青果荷受組合、株式会社クロスエイジ、株式会社JOAA、曽爾村やさい屋本舗企業組合、株式会社トレード京野菜ブランド 洛市/地域野菜ブランド 地選、ナラサキ産業株式会社、株式会社ニチレイアグリ、株式会社農業総合研究所、ハートファーム株式会社、株式会社ブレスト、株式会社北彩青果、有限会社マスターフード、リッチフィールド株式会社
【加工業者】
株式会社アグリセールス、株式会社清浄野菜普及研究所、株式会社浜松ベジタブル、株式会社LIKE TODO JAPAN製薬
【種苗会社】
カネコ種苗株式会社、株式会社サカタのタネ、タキイ種苗株式会社、株式会社トーホク、ナント種苗株式会社、パイオニアエコサイエンス株式会社、株式会社増田採種場、松永種苗株式会社、丸種株式会社、みかど協和株式会社、株式会社大和農園、雪印種苗株式会社、横浜植木株式会社
【植物工場】
東海運株式会社(AZUMAFARM三重)、株式会社木田屋商店 小浜植物工場グリーンランド、株式会社那賀ベジタブル、株式会社ひむか野菜光房
【その他】
鹿児島市生産流通課、さいさいきて屋、忠岡町商工会、ワサビ超促成実証コンソーシアム
※出展者の詳細情報については、機構HP上の「交流会コーナー/野菜契約取引マッチング・ゲート」をご参照ください。URL:https://www.alic.go.jpalic交流会で検索