野菜需給部需給推進課
【要約】
農畜産業振興機構は、平成28年8月31日(水)、「やさいの日」にちなんで、野菜需給協議会(野菜に関係する生産者団体や流通団体、消費者団体等で構成)との共催で、イイノカンファレンスセンター(東京都千代田区内幸町)において、関係者による野菜の消費拡大を促す観点から、「機能を知っても~っと食菜健美」というテーマで野菜シンポジウムを開催した。
はじめに
当日は、当機構の宮坂理事長のあいさつで始まり、170名を超える方々にご参加いただいた(写真1、2)。
市野真理子氏は、管理栄養士として、野菜の栄養・機能性について、また、山本(前田)万里氏は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の食品健康機能研究領域長として、農産物の機能性と機能性表示制度の活用について、それぞれ講演を行った。
また、全国農業協同組合連合会の協力により、参加者に生鮮野菜をお持ち帰りいただいた。講演の概要は、以下の通りである(敬称省略)。
【活性酸素の発生原因】
我々が呼吸をすると、必ず体内で2%ほど活性酸素が発生するといわれている。活性酸素は体によくないものと思いがちだが、実は体にとっては必要なものでもある。ウイルスや細菌を分解したり、細胞内での情報伝達という意味で必要であったりする。しかし、体の中で大量に発生させ過ぎてしまうと、健康な細胞を傷つけたりする。活性酸素を大量に発生させてしまう原因としては、紫外線、ストレス、たばこ、化学薬品、お酒、大気汚染、激しい運動、不規則な生活、肥満、食品添加物、電磁波とさまざまなものがあるが、この中で活性酸素を発生させる最も悪い生活習慣は、たばこと言われている。仕事をするとストレスがたまるが、ストレス解消のためにお酒を飲んでたばこを吸うと活性酸素が大量に発生する。
体の中で発生する活性酸素を消す酵素を、我々は体内に持っているが、年齢を重ねるうちに消すことができなくなってくる。活性酸素を消す力の1つとして、食品の中では野菜にあると言われている(図1)。
【ESR法におけるカボチャの抗酸化力の比較】
かぼちゃはいくつも品種があるが、その品種ごとにESR法(注1)によって抗酸化力を比較した例を図2に挙げた。活性酸素を消す力が強いほど面積が広くなっている。そうめんかぼちゃ、ペポかぼちゃは面積が狭いので活性酸素を消す力が弱い。坊ちゃんかぼちゃは非常に活性酸素を消す力が強いため、このかぼちゃだけはスケールを変えて赤く塗っている。
注1:体の中で発生する活性酸素消去の測定。
【旬の時は活性酸素消去活性(抗酸化力)が一番高くおいしい】
ほうれんそうやこまつなは冬が旬となっているが、今は店頭に年中並んでいる。旬の時には抗酸化力が一番強いということを理解してもらうためにほうれんそうのデータを見ていただきたい(図3)。活性酸素消去活性とビタミンCは、夏と冬では3倍、糖度は2倍違っている。硝酸イオンは夏は高く、冬は低くなっている。ほうれんそうやこまつなを食べるのであれば、野菜の持つ力、活性酸素を消す力が強い、冬に食べた方がよい。このようなほうれんそうと同じような傾向は、多かれ少なかれほかの野菜にも見られる。
【活性酸素消去活性(抗酸化力)で示すマンゴーの力】
ESR法における抗酸化力を比較した図4で、宮崎産、台湾産、メキシコ産のそれぞれのマンゴーを見ていただきたい。メキシコ産のマンゴーの右下は一重項酸素の面積が広くなっている。この一重項酸素は紫外線をたくさん浴びた時に発生すると言われているが、一方でこのマンゴーは紫外線から身を守るためにフィトケミカルの成分を作っていると言われている。宮崎、台湾、メキシコの中で一番紫外線量が多いのはメキシコなので、メキシコ産のマンゴーは抗酸化力が強いということが言える。もう一点は、そこに住んでいる人たちも紫外線をたくさん浴びていることから言うと、メキシコの方はその分だけマンゴーを食べる必要がある。そのような目で見ると、地産地消という日本の風土にあったもので、その季節にあった物を食べることが必要であるということをもう一回考えていただきたい。
【収穫適期の時が活性酸素消去活性(抗酸化力)は一番高くおいしい】
次は、熟度の問題である。生産者さんにお願いして、すいかの未熟なものと適熟なものについて調べたところによると、熟度が高くおいしいものには活性酸素消去活性も高く出ていることが分かった(図5)。
また、バナナについてであるが、バナナは黄色い状態でスーパーマーケットの店頭で売られているものと、熟バナナと表示されて50%引きで売られているものがあるが、熟バナナの茶色の点はシュガースポットと言っておいしいマークであるし、活性酸素消去活性を測ると2倍から3倍高い(図6)。米国のスーパーマーケットを見ると、バナナが熟度別に、今日すぐにでも食べたい消費者は熟しているバナナを購入できるように、2~3日後に消費したい場合には少し青くてもいいように、それぞれ分けて売っていた。そこには値引きがない。日本においても、売り方を変えることによって、値引きをせずに販売できる。商売の方法が変わってくるのではないかと思っている。
【加熱と活性酸素消去活性(抗酸化力)とおいしさの関係~ねぎ~】
今度は調理方法の関係についてである。ねぎは、生でも、焼いても、ゆでても、蒸してもおいしいと思うが、我々が分析をすると、焼くという調理方法の方が活性酸素消去活性のデータが高くでている(図7)。
昔は、焼いたねぎを喉に貼るとか、焼いたねぎを味噌汁の中に入れて飲むとかしていたが、焼いた方が薬品的な効果があるという感覚を昔から持っていたのではないか。
【調理時間と活性酸素消去活性(抗酸化力)とおいしさの関係】
菜の花をゆでた場合に、時間の経過と食感と活性酸素消去活性の分析をした。ゆでる時間が30秒と話すと、皆さんは30秒で火が通るのかと疑問を抱くかもしれないが、30秒ぐらいゆでた時が一番食感がいいと感じた。活性酸素消去活性もそんなに悪い値ではない(図8)。ゆでる時間が長くなると、活性酸素消去活性の値も下がってくる。
ゆで方のポイントは、ゆでる時に葉先を持ち、軸を最初に鍋に入れて15~20秒ぐらいカウントする。それから全体を入れ、10~15秒ぐらいカウントしてからざるに上げる。さらに、水を掛けないで余熱で中まで火を通すことが大切である。この方法で行えば、食感もいいし、活性酸素消去活性も残っている。ポイントはゆですぎないことである。
【青果コーナーにて(アンケート)】
店頭において消費者に「野菜のチカラ」の表示のある野菜と、表示のない野菜の場合、どちらを購入するかアンケートをとってみたところ、8割の消費者が表示があるものを購入し、表示がないものをわざわざ選ぶ人はいなかった。それでは表示があって中身がよければ値段が高くても購入するか聞いたところ、1割程度高くてもいいよとの回答が38%、2割程度高くても購入が24%という回答だった。
【酵素のチカラのご提案】
野菜や果物には、でんぷんの消化を助ける酵素があったり、キウイフルーツやパイナップルのように肉を漬けると軟らかくするチカラがある。酵素は加熱してしまうと駄目になったり、お腹に入ってしまうと酵素は残らないという問題もあるが、肉や魚と一緒にサラダを食べたり、パンやパスタと、あるいは揚げ物と一緒にサラダを食べるのがお勧めであると考えている。人は加齢とともに身体の中で「消化酵素」を作りにくくなるため、野菜の持っている力を考える必要があると思う。
【毎日の食事で身体ができている】
米国の上院議員だったマクガバンさんが食原病と言っている生活習慣病、うつ病、不定愁訴については、原因は食べた物の代謝がうまくいっていないからであり、ビタミンとミネラルが食事の中で不足しているからだと考えられる。
ビタミンとミネラルはどこからくるのかというと、ビタミンは、植物が光合成をして作られるし、ミネラルは土壌中に含まれるミネラルを食物連鎖で、野菜や果物、牛、豚、鳥といった肉を介して得たり、海藻からとったりしている。生活習慣病が原因で発症する病は薬で治すことはできないので、分子栄養学で予防していく必要があると考えている。
【主な質疑応答】
Q:収穫してすぐに食べる野菜と、収穫してから数日経ったものを食べた場合の、鮮度が抗酸化力に与える影響を測定したデータはあるか。
A:貯蔵性のある野菜についてはそこまで差は出ていないが、葉物野菜は、鮮度が高ければ抗酸化力も高くなり、鮮度が落ちれば抗酸化力が低くなるデータは出ている。
Q:産地から同じ輸送日数を経た野菜でも、収穫後すぐに真空予冷してコールドチェーンを守っているものと、あちこちで常温にさらされているものでは違ってくると思うので、そういった鮮度を客観的に測れるものはあるか。
A:産地から店頭までさまざまな流通ルートがあるので、何日かかって店頭に並べられているかを表現するのは難しい。
【新たな機能性表示制度】
機能性表示の話は、平成25年の規制改革会議において、健康食品についてもっと表示すべきという話が出てきたのが始まり。今まであった特定保健用食品などは、許可までに非常に時間もかかり、多大な経費もかかるということで大企業しかできなかった。それではいけないということで、規制改革の観点から、中小企業や農家の方でも届け出できるようにした方がいいということになった。
機能性表示食品がなかった時は、一般食品と機能性をうたえる食品の間はグレーゾーンであったため、いわゆる健康食品というのがたくさんあった。
保健機能食品(図9)の中には特定保健用食品とか、栄養機能食品もあったが、このジャンルに新たに、自分が機能性を証明して消費者庁に届け出すれば、機能性を表示できる制度がスタートした。この制度ができたことによって、27年4月から機能性表示をする場合には機能性表示制度に則ることが必須となった。
【機能性を表示しうる農林水産物】
農林水産物に機能性表示をする場合には、こちらに記載されている項目の全てをクリアしていることが必要であるが、この中で一番大事なのは、機能性関与成分を明らかにすることである(図10)。
トマトにリコピンの機能性を表示したい場合には、リコピンが標準化された分析方法に基づいて測定できることが必要である。次に、作用メカニズムが分かっていなければならない。そして、臨床試験であるが、トマトを使用したヒト介入試験が必要となる。それができなければ、リコピンの機能性に関する文献を世界中から集めてきて、それを消費者の方に示すことが求められており、それがシステマティック・レビュー(注2)というものである。
機能性は疾病の予防、治療などのクレームが認められていないので、健康の維持増進に係ることだけということになる。
後は食経験になるが、日本人がどれだけ食べていたかを示す必要がある。
また、発売日の60日前までに消費者庁に届け出て受理されているということが必要である。
1日摂取目安量は、通常食べられる分量であるかということが必要である。みかんの届け出に際して、ヒト介入試験でみかんを1日に3個食べてくださいと話をしたが、本当に3個食べられるかが問題となった。そればかりを食べさせるのではなく、バランスよく食べさせることが必要なので、通常食べられる量なのかという問題のほかにも、塩分、糖分、飽和脂肪酸、コレステロールがたくさん入っていないとか、ここらへんがチェックポイントとなる。クリアしていれば届け出はできる。
注2:あるテーマに関する論文を系統的に収集し、個々の報告の質を吟味し、可能な場合には統計的に知見を統合して一定の結論を導く手法。
【ガイドライン(表示の範囲:消費者庁)】
研究レビューの対象は、疾病にかかっていない方、病者ではない方であることが必要であり、論文に病者の方が1人でも含まれているとその論文は使用できない。
そのほか、ルテインという成分があるが、論文として多いのはマリーゴールドのルテインを使ったヒト介入試験である。ほうれんそう(ルテイン)で表示したい場合には、ほうれんそうのルテインで研究している論文しか使用できない。仮にマリーゴールドのルテインを使用する場合には、マリーゴールドのルテインとほうれんそうのルテインが同じ物質であることを分析して明らかにしなければならない。
すでに消費者庁に受理された商品が400を超えており、表示についてご覧になった方もいると思うが、「本品には、Bの機能があります」と記載されたものは、届出者がヒト介入試験をしたものである。また、「Bの機能があることが報告されています」と記載されたものは、システマティック・レビューがなされたものなので、記載内容で届出者がどのように試験などを行ったのか判断できるようになっている。
【ガイドライン(容器包装表示:消費者庁)】
容器包装に表示してはいけないことは、疾病の予防効果があるとか、機能性関与成分以外の成分を強調する用語も駄目である。例えば、「ビタミンCはたっぷりです」はNGなので、栄養成分のところで注意しなければならない点がある。
生鮮の野菜であったり、しいたけをただ干したような、単一の農林水産物のみが原材料である加工食品は、機能性関与成分の含有量のバラツキが大きいことから、表示下限値を下回ってしまう可能性があり、表示がしづらいので、最終的に包装容器表示のガイドラインに注意書きを付けられることとなった。例えば、機能性関与成分の含有量が一定の範囲内に収まるように栽培などを行っていますが、これは生鮮食品なので、その年の天候などによって含有量が表示されている値を下回る場合がある、という表記のやり方もあるので利用していただきたい。
【農林水産物機能性表示】
農林水産物の機能性の表示ということで考えてみると、野菜では2つのことが考えられている(図11)。
ひとつは機能性のところで、一番バラツキがでてくるのが品種である。その品種でブランド化するという方法がある。
もうひとつは普通の品種でも、栽培法が非常に特殊であることをもってブランド化する方法。例えば、ほうれんそうを寒締めほうれんそうにして、ルテイン含量を上昇させて、そして表示するということである。
【農林水産物のサンプリング・分析について】
農林水産物のサンプリング・分析の指針については、昨年(平成27年)8月24日に「機能性表示に向けた技術的対応」として農林水産省ホームページに公表されている。これは、ある圃場にほうれんそうが植えられていた場合に、その中から何十点分析したら全体を推計できるのかということを、統計的に計算している。機能性関与成分含量の変動要因である品種、産地、生産者、栽培条件、栽培期間という条件をできるだけそろえてもらって、妥当性が確認された分析方法で30点以上の分析を行う。
品種をそろえて、産地をそろえなければ、成分含有量が0.79~2.4ミリグラムというデータになる。特定の県にすると0.96~2.2ミリグラムというデータ、県の特定の産地にすると1.7~2.2ミリグラムとバラツキが小さくなる。バラツキを抑えて、標準的なサンプルを取り出して、データが正規分布になることが必要である。推定できるエクセルファイル(農水省配布)を使って30点のデータを入力すると、下限値、上限値、中央値が算出されるので、その下限値が、システマティック・レビューの値と一致するか、それ以上であれば表示ができるということになる。翌年からはモニタリングをしなければならないわけだが、モニタリング分析は15点以上することとされている。
規格設定と実際にモニタリングで取得したデータ(図12)の分布は、表示を届け出した時の値は右側のグラフであり、翌年は左側のグラフであるが、下にブレて10%下限を下回ってしまった場合には、出荷を停止するなどの措置をとり、原因を究明することなどが記載されている。このような出荷停止の基準などを示すことによって、しっかりした物を出荷しているんだと消費者にアピールできるのではないかと考えている。
【野菜は何に良いの?】
次は、野菜は何に良いのかということである。図13は、がんの種類と食品などの区分である。一番決定的だと言われているのは、結腸・直腸がんと運動との関係である。運動をすると確実にリスクが低下する。β-カロテンであれば食道がんのリスクを減らし、カロテノイドであれば肺がんのリスクを減らすとか、野菜とがんとの関係は強いことが分かっているが、残念ながら機能性表示ではがんに効果があることを表示できないので、消費者には、野菜はがんのリスクを減らす効果がある可能性があることを知っていただきたい。
【野菜の機能性】
野菜の機能性をざっとまとめたのが図14である。
含有成分を見ていくと、ビタミン・ミネラルが多いが、大事なのは、食物繊維、カロテノイド、ポリフェノール、グルコシアネートの4つの成分である。
ほうれんそうなどに含まれているルテインの摂取量が多いと、加齢黄斑変性の発症リスクが低かったという結果が出ている。ほかにも白内障発症リスクが低かったという結果を使って、システマティック・レビューに生かされている。コホート内症例対照研究においても、乳がんの発症リスクが低下する可能性がでている。
ヒト介入試験で大豆イソフラボンを投与したところ、LDLコレステロールや血糖値が低下したり、骨密度が上昇したという結果が出ている。大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限は75ミリグラムと決まっており、どのように食べていくかが重要である。
アブラナ科の野菜に含まれるグルコシノレートは、解毒作用があることが知られているので、できるだけグルコシノレートの含有量の多い物を摂った方がいいと思う。残念ながらグルコシノレートは消失しやすい成分である。実際に野菜ジュースを分析してみたところ、グルコシノレートは全くなくなっていた。唯一、青汁として冷凍で供給されているものにはグルコシノレートが残存していた。自分が摂りたい成分によって、どのような物を選んだらいいのか考えることが非常に大事だと思う。
農研機構において分析している大豆タンパク質のβ-コングリシニンや、ニンニク抽出の硫化アリルは心臓血管系の疾病を予防するという報告がある。
【野菜の機能性(吸収)】
今度は吸収についてである。調理の仕方によっても吸収率が異なってくる。例えば、にんじんのβカロテンであれば、ジュースにするのが一番吸収率が高い。ほうれんそうはただゆでるのではなく、ミンチにした方が吸収率が高くなる。トマトは煮たりした方がリコピンの吸収率が上がるので、このような吸収のことも気を付ける必要がある。
【野菜と薬との関係】
次は、野菜と薬との関係である。ワーファリン(注3)を服用している方は多いと思うが、ワーファリンを服用している場合には納豆を食べないでくださいとの話はある。また、ワーファリンにはビタミンKは駄目なので、ビタミンKが多く含まれているほうれんそうも食べないでくださいとなるが、ワーファリンを服用していらっしゃる方の中にも、大豆やほうれんそうを食べたい方はいると思うので、今後は野菜と薬との関係も考え、ビタミンKなどが低い野菜を作るのも必要ではないかと考えている。
注3:ビタミンKの働きを抑えて血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ薬。
【機能性表示のメリット、デメリット】
機能性表示をするには、メリット、デメリットがある。
まずは、モニタリングをするために分析コストが非常に掛かる。機能性成分を1点測るのに3万円掛かるので、30点測ると100万円程度掛かる。ほうれんそうが200グラムで98円で売られているのに、どう100万円を出していくのかという問題もあるので、そのような場合には県と一緒に取り組まないと厳しい。そして、健康被害が出たときには、すぐに対応しなければいけないことから、それに向けてどう体制を組んでいくのか、生産者側で考えていくことが必要である。
また、消費者にとっては正しい情報が得られることが重要な点である。消費者庁のホームページは、この商品をこれだけ摂るとこの機能性があるということが分かるので、商品選択の機会が増える。新しい機能性表示制度を積極的に活用して、機能性農産物を上手く使って元気になっていけばいいと思っている。サクセスフルエイジング(幸せな老後)を達成していきたいと考えている。
【主な質疑応答】
Q:一般消費者に食品機能性表示をどのように伝えていけばいいのか、アドバイスをお願いしたい。
A:ヒト介入試験やシステマティック・レビューがそろうのであれば機能性表示をする方法もあるが、食品機能性から入ると消費者には難しい面もあるので、栄養成分の機能表示がいいのではないか。大切なのは店頭で消費者とのコミュニケーションをとって、栄養を知ってもらうことである。
Q:腎臓透析を行っている者向けのアレルギーフリーの野菜表示の規制はあるのか。
A:病者用を対象にした表示は、今回の新しい機能性表示ではできないことになっているので、病者用食品の表示になる。
Q:野菜の苦い、渋い、しょっぱいがどのように機能性と関係をしているのか。
A:苦み、渋みであれば、ポリフェノールになる。すっぱいは酸になるが、それが機能性があると断言はできない。