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産地紹介 野菜情報 2025年4月号

北海道 JAきたみらい 日本一のたまねぎ産地

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きたみらい農業協同組合 販売企画部
企画開発グループ マネージャー 守谷 研司
玉ねぎグループ 主査 中野 孝祐
たまねぎ

1 産地の概要

 きたみらい農業協同組合(以下「JAきたみらい」という)は、平成15年に八つのJAが合併して誕生した組織で、北見盆地の輝かしい未来を願い「北見(きたみ)」と「未来(みらい)」を併せ「きたみらい」と名付けられた(図1)。当地区の農業は、たまねぎ・ばれいしょを中心に麦類、てん菜、豆類、水稲などの耕種作物に加え、生乳をはじめとする畜産物など多品目を生産しているのが特徴で、その販売高は全道ではもちろんのこと、全国でも有数の取扱高となっている。
 都道府県別にたまねぎの生産量を見ると、1位は北海道であり、全国の生産量の約6割以上を占めているが、このうち約4割がJAきたみらい産となっており、日本一のたまねぎ産地と言えるだろう。自然豊かで広大な畑から収穫したたまねぎを毎年約26万トン、全国に出荷している。

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2 たまねぎ栽培の概要

 たまねぎ栽培は、まだ雪深い2月中旬ごろから始まる。専用のプラスチックケースに播種(はしゅ)を行い、育苗用のビニールハウスへ伏せ込み(温度や湿度を管理するためハウスの中に育苗マットを並べること)を行う。3~4月中旬まで育苗管理を行うが、外気はまだ低いため、2重ビニールでの温度管理や、水分管理を日々徹底する必要がある。4月中旬~5月中旬に定植し(写真1)、収穫までの生育管理期間へ入る。
 JAきたみらいのたまねぎの出荷期間は、8月~翌6月までと長期間であり、これに対応するため、極早生(ごくわせ)早生(わせ)中晩生(ちゅうばんせい)品種に分けて栽培しているが、作型ごとに生育ステージが異なるため、作型に合わせた生産管理を行っている。収穫はおおむね7月下旬以降に最盛期を迎え、10月上旬まで作業が続く。収穫に当たり、まず根切り機で根切り作業を行う。これにより天候により収穫時期がズレても、過度の肥大を抑え、変形や外皮の剝がれを防止し、品質・貯蔵性向上につながる(写真2)。次に、拾い上げ作業(ピッカー(写真3))と、茎葉処理作業(タッパー)を行う。最後にコンテナに入れ風乾することで安定した品質のたまねぎの出荷につながっている(写真4)。

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3 きたみらい玉葱(たまねぎ)振興会の取り組み

 きたみらい玉葱振興会(以下「振興会」という)では、「きたみらい」ブランドを確立するため、下記の取り組みを実施している。

(1)品質の高位平準化
 生産管理基準の敢行(かんこう)に当たり、圃場(ほじょう)巡回(写真5)や目揃(めぞろ)え会(写真6)、選果場巡回(写真7)を通じて、現品審査と選果基準の平準化を図っている。なお、現品審査結果については、地区ごとに個別順位の通知を実施し、生産者一人ひとりの立ち位置を示すことで、高位平準化への意識を醸成している。これらの取り組みや栽培講習会の開催(写真8)などにより、振興会全体の営農技術が向上し、生産性が大きく向上している。

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(2)販売推進・主産地視察
 振興会役員が中心となり、産地情勢や市場販売情勢などについての意見交換をし、市場の評価や他産地の情報を直接把握することで販売を推進している。
 
(3)玉葱振興会青年部への支援
 振興会の次世代を担うリーダーが各地区より選出され、振興会青年部を組織している。各種試験、視察研修、振興会との意見交換会を開催し、全国一のたまねぎ産地としての持続的発展に向けた取り組みを行っている。なお、試験結果や技術情報については、振興会へフィードバックされ、振興会全体の栽培技術水準の向上と品質の高位平準化に寄与している。
 
(4)適正品種の検討
 周年供給や長期出荷の実現のため、適正品種の検討と作付誘導に取り組むほか、品種検討会を開催している。また、早晩別の作付基準を設定している。
 
(5)「安全・安心」に関すること
 全生産者が、栽培履歴の提出を遵守し、残留農薬の自主検査を実施している。また、ポジティブリスト制度(注)に沿った対応を徹底し、農薬飛散防止に努めている。さらに、「JAきたみらい独自GAPチェックシート」を作成し、振興会が主体となって生産者のGAP(農業生産工程管理)の取り組みを推進している。
(注)許可された成分等をリスト化し、それ以外の成分や物質の使用は制限または禁止すること。

4 たまねぎ出荷の特色について

 JAきたみらいでは、8月~翌6月という長期間にわたり全国の消費者へ安定的にたまねぎを供給するため、施設型JAとして長期保管出荷を実施している。令和元年、西相内(にしあいのない)地区に国内最大規模のたまねぎ集出荷施設が完成し、隣接する冷蔵貯蔵庫と共に選果・乾燥・貯蔵を一手に担う一大拠点となった(写真9)。選果・出荷能力は、1日当たり400トンとなっており、JAきたみらいの保有する五つの選果場合計で1日当たり1100トンとなった(写真10)。また、冷蔵貯蔵能力は、1万1700トンあり、これまで10月は各産地からの倉入れ最盛期に伴い消費地への出荷も増大するため、需給  バランスの崩れから価格下落を招いたが、この貯蔵庫に保蔵できることにより価格の底支えが期待できる。
 また、北見・端野地区には、CA貯蔵庫(Control Atmosphere Storage)があり、この貯蔵庫は完全密封が可能であり、外気に影響されずに、酸素・窒素・二酸化炭素・湿度の調節を行うことでたまねぎの呼吸を抑え、休眠期間を長く保つことにより長期保存が可能となっている。
 その他の施設として、JAきたみらいはむきたまねぎ加工施設を二つ有している(写真11)。国内の野菜需要の約6割は加工・業務用とされるが、たまねぎも年々加工・業務用としての使用割合が増加している。現在、加工・業務用として中国から輸入されるのはむきたまねぎが大半であり、この国産シェアの向上が一つの課題となっている。こうした中、JAきたみらいでは地元加工業者を中心としてむきたまねぎに加工し出荷することで、国産シェアの向上に取り組んでおり、このような機運を醸成するためにも、産地を挙げた取り組みを主導している。また、生産者当たりのたまねぎ作付面積が増加していることから、生産者の作業軽減化や労働力不足対策を目的として、茎葉処理施設を設置し、茎葉処理作業を支援している(写真12)。

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5 販売するたまねぎについて

 JAきたみらいの出荷するたまねぎについて、それぞれのたまねぎの特徴や規格などを以下に紹介する。カーボンオフセットを取り入れた商品もあり、環境負荷の低減にも取り組んでいる(図2)。
 
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(注)さらさらゴールドの健康機能性については、野菜情報2024年12月号で紹介されて いるので、以下のURLからご参照いただきたい(https://vegetable.alic.go.jp/ yasaijoho/wadai/2412_wadai1.html)。

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◆一言アピール◆

 全国の中でも日照時間が長く、降水量が少ないJAきたみらいのたまねぎは、たくさんの太陽を浴びて成長します。黄銅色の薄皮をむくと中は白色で、球のしまりがよく、生では辛みがあるものの熱を加えるととても甘くなります。自然豊かで広大な畑から収穫したたまねぎを全国にお届けしているので、日々の皆さまの食卓や料理に使われるたまねぎは、「JAきたみらい」産かもしれません。

◆お問い合わせ先◆

担当部署:きたみらい農業協同組合 販売企画部
住  所:北海道北見市中ノ島町1丁目1番地8号
電話番号:0157-32-8790
FAX番号:0157-32-8779
ホームページ:https://www.jakitamirai.or.jp/