生鮮食品の機能性表示においては、成分含量のばらつきを考慮することなどにより、1日の摂取目安量が多くなりがちですが、前述のように、今後はバランスの良い食生活の中で、より個人に合った食生活の構築が望まれます。
また、生産者サイドへは、国産たまねぎの付加価値を高め、国内生産と輸出も含めた関連産業の活性に役立つことを期待しています。
そのためにも、今後は一人ひとりの食生活を精度よく評価できるシステムの開発を目指し、機能性表示が認められた野菜をはじめ、健康を維持できる食生活とはどんなものかを研究していきたいと考えます。
文献等
(1)Shirota M. et al. (2022)Japanese-Style Diet and Cardiovascular Disease Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies. Nutrients, 14, 2008.
(2)Nishihira J. et al. (2021)The effect of 24-week continuous intake of quercetin-rich onion on age-related cognitive decline in healthy elderly people: a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group comparative clinical trial. J Clin Biochem Nutri, 69, 203‐215.
(3)プレスリリース:(研究成果)タマネギのケルセチンは認知機能の維持に役立つ(2021.5.農研機構)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nfri/141222.html
(4)プレスリリース:(研究成果) 北海道産タマネギブランド「さらさらゴールド」は 機能性表示食品としてオンラインで販売が開始されます(2023.2.農研機構)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nfri/157013.html
(5)Hayashi, Y. et al. (2023)Continuous intake of quercetin-rich onion powder may improve emotion but not regional cerebral blood flow in subjects with cognitive impairment. Heliyon, 9, e18401.
(6)プレスリリース:タマネギのケルセチンは文章表現の維持に役立つ ~ヒト介入試験で軽度認知障害や早期認知症に伴い低下する認知機能のうちの"表現"の維持に役立つ機能を報告~(2023.7.岐阜大学)
https://www.gifu-u.ac.jp/news/research/2023/07/entry26-12570.html
小堀 真珠子(こぼり ますこ)
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究センター・センター長
【略歴】
千葉大学薬学研究科博士前期課程修了。薬学博士。
農林水産省食品総合研究所(現 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門)研究員、ユニット長を経て、2018年より食品健康機能研究領域長として農産物・食品の健康機能と、おいしくて健康に良い食の提案に向けた研究に従事。2024年4月より(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部長、同年10月より、食品保健機能研究センター長として、健康食品を含めた食品の栄養・健康機能と安全性に関する研究に従事。